妙な子
著者:宮本 百合子 読み手:中村 昭代 時間:9分
私は母からも又学課だけを教えて呉れる先生と云う人からも﹁妙な子﹂、﹁そだてにくいお子さん﹂と云われて居る。自分では何にも変なお子さんでも妙な子でもないつもりでもはたからそうして呉れるんでよけいにそうなったのかも知れない。私は母から見れば妙な子と云われてもしかたがない、って云う事は自ぼれのつよい自分でも知って居る。それは母って云う人は一体理性のかった人で︵但し恐った時にどなり出すのはくせだけれど︶可愛そうで泣きたいように私の思う事でも世の中にはたんとあるこったものと云う人であるに引きかえ、私は泣きたければすぐ泣く、笑いたければすぐ笑う。私の感情はすぐに顔や口振にあらわれて来る。だから母から見た私は妙な子なんである・・・