お母さまは太陽
著者:小川 未明 読み手:池戸 美香 時間:4分25秒
﹁お母さんは、太陽だ。﹂ということが、私にはどうしてもわかりませんでした。そうしたら、よくもののわかった、やさしいおじいさんが、つぎのようなお話をしてくださいました。
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わしは、子供の時分、おおぜいの兄弟がありました。そして、みんなが、お母さんを大好きでした。みんなは、朝起きると、眠るときまで、楽しいことがあったといい、悲しいことがあったといい、﹁お母さん、お母さん……。﹂といいました。そして、お母さんの後ろについたものです。昼間がそうあったばかりでなしに、夜になって寝るときも、みんなは、お母さんのそばに寝たいといって、その場所を争いました。それで、お母さんを真ん中にして、四人の子供らが左右・前後に、輪になって休みました。みんなは、いずれも、お母さんの方に顔を向けて休んだのです・・・