秋のお約束
著者:小川 未明 読み手:根津 恵美子 時間:3分58秒
まあちゃんが、﹁寒い、寒い。﹂といっていましたときに、お母さんは、子供たちのきものをぬいながら、
﹁もう、あちらのけやきの木の枝がいろづいたから、じきにあたたかくなりますよ。﹂と、おっしゃいました。
まあちゃんは、お母さんにつれられて幼稚園へまいります途中、ふと頭の上をあおぎ見ますと、うす緑色のやわらかなこまかな葉が、いっぱいけやきの木の枝から出て、おもしろそうに笑っていました。
﹁お母さん、あんなに葉が出た。﹂と、いつかお母さんのいわれたことを思いだしたのです・・・