閉
じ
る
中島 敦
作
山月記
読み手:
藤田 利和
(2019年)
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山
月
記
著
者
‥
中
島
敦
読
み
手
‥
藤
田
利
和
時
間
‥
26
分
20
秒
隴
西
の
李
徴
は
博
学
才
穎
、
天
宝
の
末
年
、
若
く
し
て
名
を
虎
榜
に
連
ね
、
つ
い
で
江
南
尉
に
補
せ
ら
れ
た
が
、
性
、
狷
介
、
自
ら
恃
む
と
こ
ろ
頗
る
厚
く
、
賤
吏
に
甘
ん
ず
る
を
潔
し
と
し
な
か
っ
た
。
い
く
ば
く
も
な
く
官
を
退
い
た
後
は
、
故
山
、
に
帰
臥
し
、
人
と
交
を
絶
っ
て
、
ひ
た
す
ら
詩
作
に
耽
っ
た
。
下
吏
と
な
っ
て
長
く
膝
を
俗
悪
な
大
官
の
前
に
屈
す
る
よ
り
は
、
詩
家
と
し
て
の
名
を
死
後
百
年
に
遺
そ
う
と
し
た
の
で
あ
る
。
し
か
し
、
文
名
は
容
易
に
揚
ら
ず
、
生
活
は
日
を
逐
う
て
苦
し
く
な
る
。
李
徴
は
漸
く
焦
躁
に
駆
ら
れ
て
来
た
。
こ
の
頃
か
ら
そ
の
容
貌
も
峭
刻
と
な
り
、
肉
落
ち
骨
秀
で
、
眼
光
の
み
徒
ら
に
炯
々
と
し
て
、
曾
て
進
士
に
登
第
し
た
頃
の
豊
頬
の
美
少
年
の
俤
は
、
何
処
に
求
め
よ
う
も
な
い
・
・
・
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©
一
般
社
団
法
人
青
空
朗
読
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