閉じる
芥川 龍之介
作
羅生門
読み手:
藤田 利和
(2019年)
ご利用のブラウザではこの音声を再生できません。
羅生門
著者:芥川 龍之介 読み手:藤田 利和 時間:22分13秒
あ
る
日
の
暮
方
の
事
で
あ
る
。
一
人
の
下
人
が
、
羅
生
門
の
下
で
雨
や
み
を
待
っ
て
い
た
。
広
い
門
の
下
に
は
、
こ
の
男
の
ほ
か
に
誰
も
い
な
い
。
た
だ
、
所
々
丹
塗
の
剥
げ
た
、
大
き
な
円
柱
に
、
蟋
蟀
が
一
匹
と
ま
っ
て
い
る
。
羅
生
門
が
、
朱
雀
大
路
に
あ
る
以
上
は
、
こ
の
男
の
ほ
か
に
も
、
雨
や
み
を
す
る
市
女
笠
や
揉
烏
帽
子
が
、
も
う
二
三
人
は
あ
り
そ
う
な
も
の
で
あ
る
。
そ
れ
が
、
こ
の
男
の
ほ
か
に
は
誰
も
い
な
い
。
何
故
か
と
云
う
と
、
こ
の
二
三
年
、
京
都
に
は
、
地
震
と
か
辻
風
と
か
火
事
と
か
饑
饉
と
か
云
う
災
が
つ
づ
い
て
起
っ
た
・
・
・