もずとすぎの木
著者:小川 未明 読み手:野村 明子 時間:7分56秒
若い元気なもずが、風の中をすずめを追いかけてきました。すずめは、死にもの狂いに飛んで、すいと黒くしげったかしの木の中へ下りると、もずはついにその姿を見失ってしまったので、そばの高いすぎの木の頂に下りて止まりました。
﹁ああ、ばかな骨おり損をしてしまった。﹂といって、いまいましそうに、もずは、くちばしを木の枝でふいていました。
これを聞いたすぎの木は、
﹁いいことをなさいましたよ。﹂といいました。もずは、目を光らして、
﹁私は仕損じてがっかりしているのに、なんでいいことをしたというのですか?﹂と、すぎの木に向かって、たずねたのです・・・