閉じる
芥川 龍之介
作
じゅりあの・吉助
読み手:
水野 久美子
(2020年)
ご利用のブラウザではこの音声を再生できません。
じゅりあの・吉助
著者:芥川 龍之介 読み手:水野 久美子 時間:12分14秒
一
じ
ゅ
り
あ
の
・
吉
助
は
、
肥
前
国
彼
杵
郡
浦
上
村
の
産
で
あ
っ
た
。
早
く
父
母
に
別
れ
た
の
で
、
幼
少
の
時
か
ら
、
土
地
の
乙
名
三
郎
治
と
云
う
も
の
の
下
男
に
な
っ
た
。
が
、
性
来
愚
鈍
な
彼
は
、
始
終
朋
輩
の
弄
り
物
に
さ
れ
て
、
牛
馬
同
様
な
賤
役
に
服
さ
な
け
れ
ば
な
ら
な
か
っ
た
。
そ
の
吉
助
が
十
八
九
の
時
、
三
郎
治
の
一
人
娘
の
兼
と
云
う
女
に
懸
想
を
し
た
。
兼
は
勿
論
こ
の
下
男
の
恋
慕
の
心
な
ど
は
顧
み
な
か
っ
た
。
の
み
な
ら
ず
人
の
悪
い
朋
輩
は
、
早
く
も
そ
れ
に
気
が
つ
く
と
、
い
よ
い
よ
彼
を
嘲
弄
し
た
・
・
・