朝
著者:竹久 夢二 読み手:水野 礼子 時間:5分7秒
ある春の朝でした。
太陽は、いま薔薇色の雲をわけて、小山のうえを越える所でした。小さい子供は、白い小さい床の中で、まだ眠って居りました。
﹁お起き、お起き﹂柱に掛った角時計が言いました。﹁お起き、お起き﹂そう言ったけれど、よく眠った太郎は何も聞きませんでした。﹁私が起して見ましょう﹂窓に近い木のうえに居た小鳥が言いました。
﹁坊ちゃんはいつも私に餌を下さるから、私がひとつ唄を歌って坊ちゃんを起してあげよう﹂
好い子の坊ちゃんお眼ざめか?・・・