売られていった靴
著者:新美 南吉 読み手:水谷 ケイコ 時間:2分10秒
靴屋のこぞう、兵助が、はじめていっそくの靴をつくりました。
するとひとりの旅人がやってきて、その靴を買いました。
兵助は、じぶんのつくった靴がはじめて売れたので、うれしくてうれしくてたまりません。
﹁もしもし、この靴ずみとブラシをあげますから、その靴をだいじにして、かあいがってやってください。﹂
と、兵助はいいました。
旅人は、めずらしいことをいうこぞうだ、とかんしんしていきました。
しばらくすると兵助は、つかつかと旅人のあとを追っかけていきました。
﹁もしもし、その靴のうらの釘がぬけたら、この釘をそこにうってください。﹂
といって、釘をポケットから出してやりました・・・