あひるさん の くつ
著者:村山 籌子 読み手:鈴木 星南 時間:2分51秒
ある時、きりぎりすさんが、靴屋さんをはじめることになりました。
﹁どんな形の靴でもおのぞみしだいにつくります。﹂といふ看板を見てやつてきたのが、あひるさんです。
きりぎりすさんはあひるさんの足をはかつて、夜もねないで靴を一足こしらへて、あひるさんのところに持つてゆきました。
あひるさんは大変おしやれでしたから、自分の足の恰好のことは棚へあげて、きりぎりすさんのこしらへてきた靴を一目見ていひました。
﹁まあ、こんな変な恰好の靴は牛さんにでも買つてもらふがいゝ。﹂きりぎりすさんは大変こまりましたけれども仕方がありません。しほ〳〵とその靴を持つてかへりました。そして、それをお店へならべておきましたが、あんまり不恰好なものですから、だれも買つてくれません・・・