人形物語
著者:竹久 夢二 読み手:ちくわさん 時間:3分1秒
1
あるちいさな女の児と、大きな人形とが、ある日お花さんのおうちをたずねました。
ところが その女の児は、それはもうほんとに、ちいさな女の児で、その人形はまた、それはそれはすばらしい大きな人形だったのです。
それゆえ、お取次に出た女中には、人形だけしか眼に入らなかったのです。女中はおどろいてお花さんに、
﹁まあお嬢さま! 大きなお人形さんがお嬢さまに逢いにいらっしゃいましたよ﹂と言いました。
2
﹁玉ちゃん﹂茶の間で、お母様の声がする。
﹁はあ﹂と愛想よく玉ちゃんは答えました・・・