からす
著者:小川 未明 読み手:滝川 ゆきえ 時間:8分23秒
頭が過敏すぎると、口や、手足の働きが鈍り、かえって、のろまに見えるものです。純吉は、少年の時分にそうでありました。
学校で、ある思慮のない教師が、純吉のことを、
﹁おまえは、鈍吉だ。﹂と、いったのが原因となって、生徒たちは、彼のことを鈍ちゃんとあだ名するようになりました。
﹁ドンチャン、早くおいでよ。﹂
学校への往復に友だちは、こういったものです。しまいには、本名をいうよりか、仲間の間柄だけに、あだ名で呼ぶほうが、親しみのあった場合もあるが、そばを通ったどらねこに、石を投げるのが遅かったからといって、心から軽蔑した意味で、
﹁ドンチャンでは、だめだなあ。﹂と、いったものもあります・・・