はちとくま
著者:村山 籌子 読み手:野口 良子 時間:2分28秒
一匹の子熊が、森のなかから、のこ〳〵と日あたりのいい、のはらに出てきて、倒れてゐた丸太の上にこしをおろして、うれしさうにフフンとわらひました。
子熊はふところから、はちみつを入れたつぼをとりだして、ゆびでしやくつて、ちび〳〵なめはじめました。
﹁いつたべても、うまいのははちみつだ。はちみつにかぎる。あまくつて、おいしくつて。﹂とひとりごとを言ひながら、せつせとなめてをりました。
すると、そこへ、一匹のみつばちが、ブーンととんで来て、子熊の帽子のまはりを、ぐるぐるまひながら、言ひました。
﹁子熊さん。僕は、ほんとに、はらが立つてたまらないよ。﹂・・・