金太郎
著者:楠山 正雄 読み手:入江 安希子 時間:13分34秒
一
むかし、金太郎という強い子供がありました。相模国足柄山の山奥に生まれて、おかあさんの山うばといっしょにくらしていました。
金太郎は生まれた時からそれはそれは力が強くって、もう七つ八つのころには、石臼やもみぬかの俵ぐらい、へいきで持ち上げました。大抵の大人を相手にすもうを取っても負けませんでした。近所にもう相手がなくなると、つまらなくなって金太郎は、一日森の中をかけまわりました。そしておかあさんにもらった大きなまさかりをかついで歩いて、やたらに大きな杉の木や松の木をきり倒しては、きこりのまねをしておもしろがっていました。
ある日森の奥のずっと奥に入って、いつものように大きな木を切っていますと、のっそり大きな熊が出て来ました。熊は目を光らせながら、
﹁だれだ、おれの森をあらすのは。﹂・・・