雪だるま
著者:ハンス・クリスチャン・アンデルセン/矢崎 源九郎 訳 読み手:桑村 恵子 時間:22分41秒
﹁ぼくのからだの中で、ミシミシ音がするぞ。まったく、すばらしく寒いや!﹂と、雪だるまが言いました。﹁風がピューピュー吹きつけて、まるで命を吹きこんでくれようとしているようだ。だが、あの光ってるやつは、いったい、どこへ行くんだろう? あんなにギラギラにらんでいるぞ!﹂雪だるまが、そう言っているのは、お日さまのことでした。お日さまは、いまちょうど、しずもうとするところだったのです。﹁あんなやつが、いくらまばたきさせようったってまばたきなんかするもんか。まだまだこのかけらが、しっかりと目にくっついているんだからな﹂
雪だるまの目になっているのは、大きな三角の形をした、二枚の屋根がわらのかけらだったのです。口は、古い、こわれた草かきでできていました。ですから、雪だるまには、歯もあったわけです・・・