丘の銅像
著者:新美 南吉 読み手:アン荻野 時間:30分55秒
丘のふもとの、うつくしい平和な村に、ハンスという、詩人が住んでいました。
丘の上に立って、うつくしい村をながめては、歌にうたい、牧場にいって、やさしいひつじのむれをながめては、詩をかくのがつねでした。ハンスのつくった詩は、国じゅう、だれひとり知らないものはないほどでした。
あるとき王さまは、この村のそばを通りかかりましたが、ハンスがこの村にいると聞いて、わざわざ、この名高い詩人に、あいにこられました。王さまでさえ、そんなに、ハンスをたいせつに思っていられるのですから、村の人たちが、ハンスをうやまったことは、いうまでもありません・・・