長い名
著者:楠山 正雄 読み手:まあき、マナミン、ジョン酒巻 時間:6分7秒
一
ちょんきりのちょんさんのほんとうの名をだれも知りませんでした。何でも亡くなったこの子のおかあさんが、この子の運がいいように何かいい名前をつけようと、三日三晩考えぬいて、病気になって、いよいよ目をつぶるというときに、かすかな声で、
﹁ああ、やっと考えつきました。この子の名はちょん。﹂
といいかけたなり、もう口が利けなくなってしまったのです。そこでみんなはしかたがないので、﹁ちょん﹂きりで、名前が切れて無くなってしまったというので、﹁ちょんきりのちょんさん﹂とあだ名を呼ぶようになりました。そのあだ名がほんとうの名前になって、いつまでたっても、その子はちょんきりのちょんさんでした。
しばらくたって、ちょんきりのちょんさんのおとうさんが、二度めのおかあさんをもらいました・・・