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「Amazonインスタント・ビデオ」の勝算は? 「アマゾン一体」を強みに
TVやゲーム対応も検討。国内市場が大きい「アダルト」
(2013/11/29 10:00)
11月26日、アマゾンジャパンはビデオオンデマンドサービス「Amazonインスタント・ビデオ(Amazon Instant Video)」をスタートした。海外ではすでに定着したサービスであり、日本でも開始が待ち望まれていたものだ。
同ビジネスを日本で担当する、アマゾン ジャパン株式会社 デジタル音楽・映像事業部マーケティング部長の浅岡範子氏に、狙いと今後の展開を聞いた。
ドラマ・アニメに期待、日本で市場が大きい「アダルト」
アマゾンがAmazon インスタント・ビデオにつながるVODサービスをアメリカでスタートしたのは、2006年9月のこと。その後いくどかの名称変更・サービス内容の変更を経て現在の形になったが、どちらにしても、日本でのスタートには7年以上の時間が必要だった。浅岡氏は「日本でのサービス展開については、ずっと準備を進めてきた」と説明する。
浅岡:インスタント・ビデオのサービス立ち上げに関しては、コンテンツの調達も含め、社内のチームが準備を続けてきました。このタイミングでようやくすべてが整ったので、サービスを開始した、というところがあります。
26,000本以上の国内外映画を揃えられた、ということが大きいのですが、コンテンツ提供について、特にこの時期に、コンテンツ提供元の方々の意識・戦略が大きく変わったから……という事情があるわけではありません。実際のところ、スタートまでに時間がかかった理由についても、特別困難な理由が存在した……とは認識していません。
コンテンツという点では、ストアの立ち上げに向けて、コンテンツ調達のチームが長く準備をすすめていたのですが、今回、テレビ局の皆様が快く協力していただけたため、日本のテレビドラマを揃えられたことが大きいと感じます。日本のお客様からは、特にテレビドラマの需要が大きいだろう、と分析しています。
ダウンロードは2台まで、テレビやゲーム機などへの拡大も
インスタント・ビデオは、標準画質(SD)のコンテンツとHD画質のコンテンツが用意されている。アマゾンとしても、1万本を越えるHD画質コンテンツを用意できたことを、サービスの特徴に挙げている。
浅岡:HDについては、基本的に1,920×1,080です。ただし、コンテンツによっては縦720ドットのものもあるはずです。この辺は音声についても同様です。Amazon インスタント・ビデオはドルビーデジタルプラスに対応しているのですが、すべてが対応というわけではなく、古いものの中には未対応なものもあります。
現在のサービスは、PCのブラウザーと同社のタブレット端末・Kindle Fireシリーズ向けとなっている。前者はストリーミングのみ、後者はストリーミングとダウンロード、という形だ。しかしサービス用の端末バリエーションは「今後順次拡大していく」と浅岡氏は説明する。
浅岡:アメリカでは、Kindle Fire以外の端末にも広く対応しています。その中には、テレビやゲーム機も含まれます。現在はブラウザー向けとKindle Fire向けですが、順次拡大を検討していますので、お待ちいただければと思います。
ダウンロード配信については、アメリカでも日本でも、2台までの端末へ同時にダウンロード可能、という形です。
インスタント・ビデオはクラウドでコンテンツを管理する仕組みになっていますので、アメリカの場合、PCやスマートフォンのブラウザ上で購入後に、他の端末から視聴することもできます。この点についても、日本のサービスでも変化はありません。
端末としては、PCとタブレットでどのような役割分担になるのだろうか? アマゾンとしてはどちらが主力とみているのだろうか?
浅岡:アクセスの簡単さから、PCで見る方は少数かもしれない……と分析しています。しかし、ユーザーの母数はPCの方が圧倒的に多いのが実情です。アマゾンとしては、お客様に選択の幅を提供する、という考え方ですので、どちらをお使いいただいてもかまいません。簡単に、快適にアクセスしていただける選択肢は、今後とも広げていきます。
新しいKindle Fire HDXはドルビーデジタル・プラスに対応していますので、より高音質に楽しめます。この点はアピールポイントになるでしょう。
「レンタル」と「販売」の比率については、アメリカの状況を見る限り、レンタルの方が圧倒的に数は多くなると予想しています。ただし、単価は「販売」の方がずっと大きいので、販売金額では「販売」の方が大きくなる可能性があります。
アメリカと日本のサービスを比較した場合、日本では単品でのレンタル・販売が主になったサービスとなっている。だがアメリカでは、単品のVODに加え、会員制サービスである「Amazon Prime」会員向けの定額・見放題サービスも用意されており、アメリカ版の方がお得なサービスに見える。サブスクリプション型・見放題サービスは、日本でも導入の可能性があるのだろうか?
浅岡:日本でまずはサービスを立ち上げた、というところですので、皆様のご要望を見つつ、見放題のサービス導入も検討していきます。