【お詫び】SmartNews は真っ白ではありませんでした
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あけましておめでとうございます。
新年早々のエントリが、お詫びの内容ですみません。本来、指摘をお受けした直後に調べて、昨年中にケリをつけておくべきところだと思いますが、年をまたぐことになってしまい申し訳ありません。
前エントリでは、SmartNews が各ニュースサイトから記事をダウンロードしていると推測して﹁真っ白﹂と表現しましたが、その後に追記したとおり﹁推測ではなくパケットを調べるべき﹂﹁ニュースの取得日付がインストールした日付より古い﹂というご指摘があり、さらに﹁実際のパケットを見ると、サーバーでニュース記事を集約して、アプリで受け取っている﹂というコメントをいただきました。遅ればせながら、実際にパケットを確認したところ、ご指摘いただいたとおりの内容でした︵santama さんgrammerさんのコメントにおかげで、簡単にパケットを確認できました︶。
今回は Wireshark というパケットキャプチャソフトを使って通信の内容を確認しましたが、SmartNews アプリをインストールした直後に SmartNews 自身のサイト︵amazonaws.com 上にあります︶に﹁POST /api/GetLinks﹂というリクエストを送信しています︵下図︶。
そのレスポンスとして、gzip圧縮されたJSONデータが返されており︵展開時で約1.1MB︶、ここにニュース記事の全文が収録されていました︵下図︶。また、画像は Amazon Web Services︵amazonaws.com︶上に置かれていました︵JSONデータにはそのURLが含まれている︶。
つまり、SmartNews は各ニュースサイトから記事をダウンロード︵私的複製︶した上で加工しているのではなく、いったんサーバーでニュース記事を集約・加工した上で配信するというもので、﹁真っ白﹂からは程遠い実装でした。どうしてこんな実装をしたのかわかりませんが︵いや、もちろんアプリの効率のためでしょうが︶、実装を確認せずに断言してしてしまい﹁技術センスと法的センスに問題ある﹂のが私だったということでした。
エントリそのものの主旨である﹁テレビ録画という私的複製が許容されるなら、ニュース記事の私的複製も許容されるべきではないのか?︵そうでないなら、テレビ録画も問題視すべきではないのか?︶﹂という点について変更はありませんが、SmartNews の実装については、大きな認識の誤りがありましたことを深くお詫びいたします。
なお、︵私的複製だとしても︶広告を切り取るのは同一性保持権を侵害することにならないのか、というご指摘がありましたが、前エントリにも書いた通り、記事と広告をひとつの著作物と考えることは無理があると思います。コメントにも書きましたが、通常、記事の著作者はニュースサイト自身であるのに対し、広告はそうではなく︵おそらく広告代理店や出稿企業︶、広告を含む記事を共同著作物とは考えにくいためです︵当事者もそのようには考えていないと思われます︶。
また、ページレイアウトを含めてHTMLソースを著作物であると考える場合、これは﹁言語の著作物﹂ではなく﹁プログラムの著作物﹂と考えることになるでしょう。その場合、著作権法第47条の3により﹁電子計算機においてより効果的に利用し得るようにするために必要な改変﹂が認められていますので、︵違法な複製でないという条件付きですが︶同一性の問題は生じないことになります。もっとも、一般的には記事本文こそが言語の著作物であり、それが切除などの改変がされていなければ、同一性保持権を侵害することにはならないと考えることになるだろうと思います。
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