︵1︶東浩紀著﹃ゲンロン0 観光客の哲学﹄︵ゲンロン、2017年刊︶ 東浩紀は平成の時代を通じ、一貫して批評のあり方を問い続けた。言葉がインターネットにより拡散していく過程で、リアルな場所を自ら作り、その必要性を訴えた。本書は平成に登場し成熟した、批評家の現在地。
︵2︶福岡伸一著﹃生物と無生物のあいだ﹄︵講談社現代新書、07年刊︶ 情報技術や科学の発展により、我々の人間観は変容していく。当時最新であった知見を、わかりやすくひらいていった本書は、人間のからだ自体が驚くべき存在であることを、多くの読書人に思い出させた。
︵3︶赤坂真理著﹃東京プリズン﹄︵河出書房新社、12年刊︶ 前の世代から受け継いだ、﹁日本の戦後﹂という解決されていない問題を、一人の少女の人生と重ね合わせた小説。歴史がいまとダイナミックに結びつく展開は、他に類を見ない感動的なものだった。
︵4︶西村佳哲︵よしあき︶著﹃自分の仕事をつくる﹄︵晶文社、03年刊︶ 仕事は与えられるものでなく、自分で︿つくる﹀もの。いまではあたりまえに思われていることを調査し、世のなかに説いたはじめての本。現在も若者に読み継がれている、あたらしい仕事のバイブル。
︵5︶いとうせいこう著﹃想像ラジオ﹄︵河出書房新社、13年刊︶ 東日本大震災は我々の価値観を根底から揺らしたが、多くの人が一瞬にして亡くなった事実は忘れてはならない。死者によりそい、人間らしく生きるために想像力を働かせた、すばらしい仕事。=朝日新聞2019年10月30日掲載
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