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- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396636616
感想・レビュー・書評
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短編集です。 連作ではありません。 なんで、そういうところでそういう風に、おとすのだという極めつけのオチがある話が多かったです。 嫌~なオチが多めで、前向きなオチは少なかったように思います。 まず、最初の1話目が救われない話で﹁これってイヤミス?﹂と思いましたが、全部が全部イヤミスではなかったです。 タイトルが﹃それは令和のことでした﹄ですが、令和ってこんな時代なのでしょうか。 ﹁彼の名は﹂ 船橋太郎という名の少年が、母親のエゴによりいじめに逢う話。この話のオチは凄かったです。 ﹁有情無情﹂ 一度善意でした親切から小児性愛者とみなされ、社会から捨てられた高齢男性の悲劇。 ﹁わたしが告発する!﹂ 引きこもりの30歳の姉を殺してしまった弟は、婚約者と共謀してなんとか姉を生きているようにみせかけますが。まさかの〇〇の告発が。 ﹁君は認知障害で﹂ 認知症の高齢女性から10万円をキャッシュで盗んだゲーム廃人の大学生。10万円を盗んだことは確かですが、殺人はしていないのに高齢女性を刺し殺したことにされてしまいます。このトリックは面白かったし、一番明るい話かと思いました。 ﹁死にゆく母にできること﹂ 今は高齢でがん患者として入院している母に支配されてきた娘。かいがいしく母の看病をするも自宅に帰ると自分の子どもをストレスから虐待してしまう。そんな彼女が最後にとった行動は。 ﹁無実が二人を分かつまで﹂ 比良依吹24歳と三田一は上野公園の炊き出しで出会い、浅沼商会という家族経営の日雇いの肉体労働をする会社に勤めることになります。しかし、三田は浅沼商会の不正金を見つけ殺されそうになります。三田を殺そうとしたのは誰か。三田は無実なのか。途中まで三田の無実を信じて期待しますが、オチがまた哀しかったです。 ﹁彼女の煙が晴れるとき﹂ 橘駒音は将棋道場に通う真剣師です。トラックドライバーの憲士郎と連れ子で持病を患う高校生の陽菜と暮らしています。しかし陽菜の看病が大変で喫煙依存症になってしまいます。最後に駒音のとある重大な秘密が明らかになります。 ﹁花火大会﹂ 麻美、こずえ、綾、花子と花火大会の花火を見ているわたし。超短編ですがこれもオチがあります。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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生きづらい令和時代と人間の歪み、優しさと厳しさの狭間に見えたのは何か… #それは令和のことでした ■きっと読みたくなるレビュー ベテラン作家、歌野晶午先生の作品集。全八編からなる短編集で、生きづらい令和時代の歪みを切り取り、その中から発生した人間関係の情愛を描いています。物語の意外性や社会問題への指摘も先生らしく、あっという間に読み終わってしまいました。 ●彼の名は 行き過ぎた価値観の母親のため、いじめにあってしまう学生の物語。 さすがベテラン先生、物語に興味をひきつけるのお上手。ムカムカしながらも、どんなストーリーなのか興味津々。ラストはやりやがったなってオチが最高。これですよ。 ●有情無情 ︻おすすめ︼ 年老いた男性が通学見守りで子供たちの安全を見守っていて… 結局こういうことだと思うわ。合理性や正論ばかり振りかざす世の中から生まれるすれ違い。 ●わたしが告発する! 引きこもりの姉をもつ弟、両親が亡くなり、遺産相続と将来への不安を考えた彼の取った行動とは。 煩わしいのはわかるけど、家族ならもっと言い合いをしてでも理解を深めなよ。それができるのは一番近くにいる人だけなのに…と、悲しくてやりきれない。 ●君は認知障害で 既に通わなくなった幽霊大学生の主人公が、位置情報系のスマホゲームにはまっていた。ある日、街を歩きながらゲームにいそしんでいると、認知症が疑われる老婆と出会う。彼女との出会いが彼の人生を変えてしまい… 現代の若者と生き抜くつらさ、高齢者を狙った犯罪、そして家族が何たるかを問われる作品。 ●死にゆく母にできること 入院している母の看護をしている妻と、その家族の物語。厳しかった母の躾の影響で、自らの娘にも辛くあってしまう悩める母は… 育ってきた環境と夫婦の価値観のズレが現実的すぎて恐ろしい。しかも短編にも関わらず、この重厚感はなんだ。 ●無実を二人を分かつまで ︻おすすめ︼ 会社を辞めた主人公は、住宅や遺品整理の日雇い労働に就く。ある日従業員が会社の金庫を荒らす事件が発生、その際に仲間が重体の怪我を負ってしまう… 謎解きとしても読みごたえがある作品。底辺を彷徨う人間たちと、まだまだ優しくない日本を痛烈に味わうことになる。どこまでも悲しい。 ●彼女の煙がはれるとき ︻おすすめ︼ 将棋の女性真剣師である駒音、彼女はトラック運転手の憲士郎と引きこもり女子高生の陽菜の三人家族であった。将棋道場に通いながらも日ごろの家事と介護生活をしており、彼女は煙草を吸うことでストレス解消していた。健康のためにも煙草をやめたいのだが… 興味深い設定で、ぐいぐい引き込まれる。実は私も喫煙者、世間の目や肩身の狭い思いがよくわかる。格差社会や福祉の現実も良く描かれていて、実は社会問題も描いているおすすめの作品。 ●花火大会 夏の花火大会、いつもの女子仲間が集まって… ラストは本書唯一の掌編。青春時代、友達、約束… 真夏の夜空に広がった花火と友情が美しい。 ■ぜっさん推しポイント 令和時代となり、不適切なことは許されない時代になりました。少し前はコロナ禍で世界中が大混乱、そしてとある国では戦争も始まり、すっかり不安定な世の中になったものです。 私の仕事もテレワークがメインとなりました。時間がとれるようになって、とてもありがたいんですが人との繋がりが希薄になったような気がしますね。人間関係で大事なのは、余白の部分だと思うのです。決めごとを妥当な内容で合意形成するだけでなく、あまった余白でどういったコミュニケーションをするのか。 本作品の数々を読んでいると、もう少し人に寄り添った世の中にならないものかと憤りを禁じ得ないです。
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8つの短編から成る作品。
ストーリーが中途半端に終わってあまりスッキリしないものもあるので、好みが分かれるかもしれない。 -
短編集。
どんでん返しまではいかないけど、どれも最後にびっくりする仕掛けが。 -
久々の歌野さん作品。 つまらなくはないけど、すごい面白かったっていうわけでもなかった。 元々短篇集は好きじゃないのですが、大好きな﹃葉桜の〜﹄の歌野さんのサイン本に惹かれて購入して読みました。 実写化不可能の、小説だから表現できる話の進め方はさすがだなと思いました。 ですが各話の落としどころは似たり寄ったりな印象を受け、﹁あ、またこういう感じね﹂と思ったのが正直なところです。 2周目を読んでみたら印象は間違いなく変わるので、多角的な楽しみ方を望む方にはおすすめかと思います。
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﹁彼の名は﹂ ﹁有情無情﹂ ﹁わたしが告発する!﹂ ﹁君は認知障害で﹂ ﹁死にゆく母にできること﹂ ﹁無実が二人を分かつまで﹂ ﹁彼女の煙が晴れるとき﹂ ﹁花火大会﹂ 8話収録。 それぞれの作品に令和の時代の生き辛さや多様性が反映されている。 一話から強烈。 独自の価値観で突っ走る母親を持ったばかりに起きた悲劇。 これは笑えない。 二話も悲劇だが、善意で取った行動が誤解を生み、まさかの顛末を迎える。 同情を禁じ得ない。 四話のオチにホッとしたのも束の間、その後も不穏でゾクゾクが止まらない。 どこへ転がるか想像出来ない意外性に満ちた一冊。
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二度読み必至。 短編なのに深く、広く そして高くから 最後に突き落とす感じが凄い。 えっ⁈と思わず 声が出てしまうような結末も どんどん加速し たたみかけてくる展開に 納得させられてしまう。 タイトルのとおり 今、この令和という 多くを求めすぎるあまり 逆に息苦しく、厳しく、狭い ギスギスした時代だからこその 物語が多かったように思う。
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七編の短編と一編のショートショートが収録されている。どの作品も違和感とかを感じながら読み進めてそれでも真相には気づかない、そんな結末が待っている。一作目の「彼の名は」からこの作品集のタイトルである『それは令和のことでした、』がものすごく効いている。決していい終わり方をする作品ばかりではないけれど、意表を突かれる楽しみがある作品集。
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何か違和感を感じても戻れないものだな。 騙されないぞと自覚しながら読み始めても自分のアンコンシャスバイアスに気づくのは最後の方で。 全く異なる切り口の短編なのでサクサク読める。
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葉桜の作者、短編新作。あっと驚くものもある。