一人っ子を失った両親による北京での抗議集会(写真:ロイター/アフロ、2016年4月18日撮影)
一人っ子を失った両親による北京での抗議集会(写真:ロイター/アフロ、2016年4月18日撮影)

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「中国の年金政策は不公平、無責任、不透明」

 上述した焦雅輝副局長の発言を受けて、米国の中国語ニュースサイトである“阿波羅新聞網(アポロニュースネット)”は、5月12日付で「人を驚かす社会保障の内幕、中国は約束の履行を拒否して、“養老”を地域社会や家庭に押し付ける」と題する同ネットの記者の筆による記事を報じた。その概要は以下の通り。

(1)数日前、中国版Twitterである“微信(WeChat)”の“朋友圏(モーメンツ)”に“独生子(一人っ子)”という題名の写真が掲載され、大きな話題となった。それは1人の若い男性が2つ並んだ病院のベッドの間に座り、左右のベッドに横たわる2人の患者を見守っている写真であった。ベッドに横たわっているのは病気に倒れた彼の父母で、右のベッドには父親が、左のベッドには母親が、それぞれ憔悴しきった様子で写っていた。“朋友圏”で結ばれた人々は写真を見た後に評価を返信したが、中には涙をこらえきれない人もいた。その写真が表していたのは中国政府による一人っ子政策がもたらした高齢化問題の厳しい現実であるが、中国政府はまたしてもその責任を回避しようとしている。5月10日、中国政府の国家衛生委は、老人医療看護問題の解決を強力に推進するとして、未来の老人看護は主として地域社会と家庭が受け持つことになるだろうと言明した。


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「政府が責任を持つのは不可能」

(6)郎咸平が述べているように中国の年金政策には不公平、無責任、不透明という重大な問題が存在しているというのに、5月10日に国家衛生委の焦雅輝副局長は将来の“養老”の主役は中国政府ではなく、地域社会や家庭だと言明したのである。この点について米国ウイスコンシン州立大学の客員教授で中国人口学者の“易富賢”は、次のように述べた。すなわち、中国の老齢人口が直面する“養老”問題は極めて深刻である。中国政府が過去に計画出産政策を実行した時には、政府は国民の“養老”に責任を負うと約束していたのに、高齢化問題がますます深刻な状況になったら、政府が“養老”に責任を持つことなど根本的に不可能と表明している。これはどう考えても政府の身勝手であると言える。

(7)2015年12月、“失独者(一人っ子を亡くした父母)”の代表が北京に集まり、当時の「国家衛生・計画出産委員会(現:国家衛生委)」に対し、一人っ子の子供が死亡したことにより自分たちの“養老”に多大な負の影響が出ている旨を訴えた<注2>。しかし、国家衛生・計画出産委員会の回答は、一人っ子が死亡した家庭に国家が行政保障を行うとの法的根拠はないというものであった。


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 ところで、2012年12月に改正された同法は2013年7月1日に発効したが、その発効当日に江蘇省“無錫市”の“北塘区人民法院(下級裁判所)”で公開審理が行われた親の扶養を巡る裁判は、原告である親が、家庭内紛で家を出て、親との関係を絶った娘と娘婿を被告として訴えたものだったが、判決は被告に対し親に一定の経済的保障を与えるほかに、少なくとも2カ月に1回は親を見舞うことを命じた。第18条は2012年12月の改正で修正が加えられた条文で、この判決が親を定期的に見舞うのを命じた最初の判例となった。

不足する施設や看護、介護スタッフ

 話は本題に戻る。上記の条文からも分かるように、中国政府は国家が年金制度を通じて老人の基本的生活を保障すると約束したはずである。しかし、郎咸平が述べている不公平、無責任、不透明な年金政策と乱脈な年金運用による結果かどうかは分からないが、2017年4月時点で“清華大学”の報告書は国民から集めた年金資金が4.7兆元(約80兆円)も不足していると指摘しているし、2017年12月に中国政府の報告書が多数の一級行政区(省・自治区・直轄市)で年金資金の不足が急を告げていると述べている。中国政府は年金資金不足を懸命に否定し、年金財政は健全であると公言しているが、すでに中国の年金制度は破綻したと公言する学者もいるのである。


 

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