日経ビジネスオンラインでは、各界のキーパーソンや人気連載陣に「シン・ゴジラ」を読み解いてもらうキャンペーン「「シン・ゴジラ」、私はこう読む」を展開しています。
※この記事には映画「シン・ゴジラ」の内容に関する記述が含まれています。


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©2016 TOHO CO.,LTD.
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【疑問1】
「100度を超える体温の生物なんぞいるわけないだろ…」
→(一応)います


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 100 Pheropsophus jessoensis 

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100度を超える毒ガスを出す「ミイデラゴミムシ」。写真:アフロ
100度を超える毒ガスを出す「ミイデラゴミムシ」。写真:アフロ

 100Methanopyrus kandleri122(Takai et al. 2008)DNA

【疑問2】
「すごい…。まるで進化だ」
→いいえ、これは変態です。


 

 

 

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 退退

 

 

 使

 

【疑問3】
ゴジラは「この星で最も進化した生物」なのか
→、遺伝子数や遺伝情報の量が、生物の知能・機能といった性質と関係があるという知見は得られていない


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  Homo sapiens70

 DNA3023000(International Human Genome Sequencing Consortium 2004)
生物種と遺伝子数・遺伝情報量の代表例(筆者作成)
生物種と遺伝子数・遺伝情報量の代表例(筆者作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 この表を見ても明らかなように、ヒトは遺伝子数・遺伝情報の量どちらを考えたとしても、極端に多いとは言えない。さらに、遺伝子数や遺伝情報の量が、生物の知能・機能といった性質と関係があるという知見も得られていない。

 遺伝子解析技術の進歩は素晴らしく、かつて十年以上を要したヒトゲノムのシーケンス(配列決定)も、今や数日で終わるようになっている。なので、ゴジラがヒトの8倍のゲノムサイズをもつ生物だったとしても、全ゲノムの配列決定に「何年かかるかわからない」なんてことは無いだろう。

【疑問4】
放射線でDNAは破壊されないのか
→放射線耐性を持つ生き物は存在する

 ゴジラに関するつぶやきをしていたら、twitter上で「ゴジラのDNAは自身の放射線によって壊れないのか」というコメントを頂いた。通常、DNAは放射線によって切断されてしまう。しかし、今年9月21日に公表された東京大学大学院理学系研究科の橋本拓磨・特任研究員らの研究では、「クマムシ」から見つかった新規のタンパク質が放射線による核DNAの切断を防ぐ物理的なシールドになっていることが示唆された(Hashimoto et al. 2016)。


 

 
放射線耐性を持つとされる「クマムシ」の顕微鏡写真。写真:アフロ
放射線耐性を持つとされる「クマムシ」の顕微鏡写真。写真:アフロ

【疑問5】
「死をも克服した生物」など存在するのか
→自らを若返らせることで寿命による死を克服する生物が実在する


 使

 

 

 DNA寿10寿8010800
不老不死として知られる「ベニクラゲ」。写真:アフロ
不老不死として知られる「ベニクラゲ」。写真:アフロ

【疑問6】
血液凝固剤の「経口投与」は効くのか
→上部消化管の止血しかできない

 1度目の上陸によって得られたデータから、ゴジラは、体内にある原子炉状のシステムから出た熱の冷却に血液を用いている可能性が指摘された。


 

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 2

  

 使

 

 

 

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ゴーヤのような表皮の『シン・ゴジラ』


 

 

 

 Omorgus dohrni姿
川井信矢氏提供。「昆虫文献六本脚製コブスジコガネポスター」より転用。
川井信矢氏提供。「昆虫文献六本脚製コブスジコガネポスター」より転用。

映画監督と生物学者の関係性


 201120121



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 @edge_wardog3駿

 

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Hashimoto, T., Horikawa, D. D., Saito, Y., Kuwahara, H., Kozuka-Hata, H., Shin, T., ... & Enomoto, A. (2016). Extremotolerant tardigrade genome and improved radiotolerance of human cultured cells by tardigrade-unique protein. Nature Communications, 7.

International Human Genome Sequencing Consortium. (2004). Finishing the euchromatic sequence of the human genome. Nature, 431(7011), 931-945.

Takai, K., Nakamura, K., Toki, T., Tsunogai, U., Miyazaki, M., Miyazaki, J., ... & Horikoshi, K. (2008). Cell proliferation at 122 C and isotopically heavy CH4 production by a hyperthermophilic methanogen under high-pressure cultivation.Proceedings of the National Academy of Sciences, 105(31), 10949-10954.

 2016
http://jp.illumina.com/content/dam/illumina-marketing/apac/japan/documents/pdf/primer_illumina_sequencing_introduction-j.pdf
読者の皆様へ:あなたの「読み」を教えてください

 

 使

 

 稿#@nikkeibusiness

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