読売新聞による朝日記者のシリア取材批判はメディアの自殺ー新聞が「報道の自由」を自ら捨てる愚行
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読売新聞は31日付けで﹁朝日の複数記者、外務省が退避要請のシリア入国﹂との記事を配信したが、
﹁外務省は21日、日本新聞協会などに対し、シリアへの渡航を見合わせるよう強く求めていたが、朝日のイスタンブール支局長はツイッターで、26日に同国北部のアレッポに入り、現地で取材した様子を発信していた﹂
出典:http://www.yomiuri.co.jp/national/20150131-OYT1T50069.html
と、まるで犯罪か不祥事のような書きぶりである*。これを受けて、ネット上では朝日新聞を批難する意見が書き込まれ、自民党の国会議員もツイッター上で疑問を呈した。だが、﹁退避勧告﹂は法的強制力はない。退避勧告に従わないことを問題視するような意図で記事を配信することは、﹁報道の自由﹂を新聞自らが捨て去る愚行であり、恥を知るべきである。
![空爆下のガザへ向かう各国メディアの車。日本人の姿はほとんど無かった。2014年7月撮影]()
空爆下のガザへ向かう各国メディアの車。日本人の姿はほとんど無かっ た。2014年7月撮影
﹁退避勧告﹂とは、外務省が国や地域ごとに発する危険情報であり、4段階ある中で最も高いレベルとなる。あくまでも﹁情報﹂にすぎず、法的拘束力をもって、その国や地域への渡航を禁じたり、処罰したりするものではない。だが、近年、﹁退避勧告﹂が発せられるのに呼応して、日本のマスコミが現場の記者に﹁撤退命令﹂を下すことが少なくない。昨年7月から8月にかけ、イスラエル軍が侵攻したパレスチナ自治区ガザについて、同7月18日に外務省は﹁退避勧告﹂を発令︵現在は引き下げ︶。これを受けて、日本のマスコミ関係者は、次々にガザから撤退していった。現場の記者たちは熱意をもって現地の状況を報じていたが、マスコミ上層部は万が一のリスクと責任問題化するのを嫌い、記者たちを撤退させたのである。そして、7月18日以降、現場に残ったのは私のようなフリーランスのジャーナリストのみとなってしまった。だが、報道は政策の決定にも大きな影響を与える。基本的な情報がなければ、国会での審議も難しい。とりわけ、紛争地での情報を得る上で、報道が果たす役割は非常に大きい。