PCデポ 高額解除料問題 大炎上の経緯とその背景
![](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/yoppy/00061403/top_image.jpeg?exp=10800)
こんにちは。ヨッピーです。
普段は主にインターネットで風俗の話などをしております。
さて、﹁PC DEPOT﹂︵以下PCデポ︶という神奈川県を基盤に、主に首都圏でパソコン販売事業などを展開する小売店が、80歳を超える高齢者に対して月額15,000円弱という高額のサポート代を含む契約を結び、親族がその解除を求めたところ、契約解除料として20万円もの大金を請求するという事案が発生し、インターネットは元より、テレビ番組でも報道されるなど大きな話題を呼んでおります。
当初、20万円の解約料を請求されたのは事実です。これが20万円の根拠のようです。フォロワーさんから教えていただきましたが、解約料に消費税はないみたいです。
何から何まで悪質です。
出典:ケンヂさんのTwitterより
騒動の発端となった、契約者の息子である﹁ケンヂ﹂さんのツイート。
![契約解除料108,000円のレシート]()
契約解除料108,000円のレシート
※若干画像の明るさを加工しました
その後、店舗との話し合いで契約解除料が﹁108,000円﹂に減額され、ケンヂさんは支払いに応じたようですが、その結果には納得しておらず、前述のようなツイートをすることになります。
この顛末が主にTwitterなど各種SNSで拡散された結果、各所に取り上げられ大きな注目を集めることになりました。
PCデポのサービスに批判 会社が対応策発︵NHKニュース︶
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160817/k10010640401000.html
﹁違約金、20万円﹂PCサポートで高齢者をカモに?PCデポは契約トラブルを認めず︵BuzzFeedJapan)
https://www.buzzfeed.com/keigoisashi/pc-depot?utm_term=.jcBKadm7Ra
などなど。
他にもテレビ朝日などといったマスメディアにも報道され、東証一部上場企業であるPCデポの株価に大きく影響が出ているようです。
PCデポ株が急落、一時18%安 解約料巡りネットに書き込み
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO06182160X10C16A8DTA000/
そして今回、なぜか僕がこの件の行く末を近い距離で見守る事が出来ましたので、コトの顛末、および今回の事案がなぜ起こったのか、といった背景まで事実関係を含め記しておきたいと思います。
最初に言っておきますが死ぬほど長いです。
![画像]()
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ここに書いてあります通り、このサポート内容ですと﹁合計10台までの端末の面倒を見ますよ﹂というような内容になっており、高齢者の独居人に対する契約としては過剰ではないかという見方ができます。実際、父親は当時1台のノートパソコンとこのプランの契約によってリースされたiPad miniの計2台しかデバイスを持っていなかったようです。
iPad miniを入手するには﹁がっちりサポートプラン6以上﹂である必要があるにせよ、少なくとももう一つ下の月額3650円のプランで良かったのではないかと見受けられます。さらには父親が﹁パスワードがわからない﹂と言い、iPad miniを使用している形跡も見当たらなかった、とのこと。
この契約に気付いたケンヂさんが2015年9月にPCデポ幕張インター店に乗り込み異議を唱えた結果、この時は契約解除料なしで契約を解除。その際に﹁父親は認知症を患っているため、今後父親がこのお店に来ても私に無断で契約を結ばせるようなことはやめてほしい﹂と訴え、店舗側が了承したとの事で一旦は収まりました。 ※︵8/25 9:00 追記 前述の通りケンヂさんは店頭で﹁父親が認知症である旨﹂﹁自分に無断で今後契約しない事﹂を求め同意を得た、との事でしたが、店舗側の記録によるとそういった記載は見当たらなかったようです。そうなると﹁では何故無償解除に応じたのか﹂という疑問が残るため再度問い合わせ中です︶
なお、父親は認知症が発症する前は活発にパソコンを使いこなし、幕張インター店でたびたび買い物をしていたようです。
![ルーター]()
ルーター
確かにツノに見えなくもない。
![父親の車椅子を押しながらPCデポに向かうケンヂさん]()
父親の車椅子を押しながらPCデポに向かうケンヂさん
■← クリックで拡大
これが先方から渡された、正確には月額14,245円の契約内容、および解除料216,989円の見積もりです。
汚くなってるのは僕がコピーを取ってからあちこちにメモってしまったからです。
まず一番上の﹁データSPさんねんエリートファミリーワイドプラン﹂ですが、これも以前に一度トラブルになった契約と同じく、デバイス10台までを対象にしたプランで、高齢者の独居人に対するサポートとしては明らかに過剰です。
これはPCデポ側も不備があったことを認めており、﹁そぐわない契約があった﹂というのはこの契約のことを指します。
ちなみにこの﹁ファミリーワイドプラン﹂ですが、3年満期の契約になっており、例えば加入した月に﹁やっぱやめる!﹂という事で解除を申し出ると65,000円の解除料金、2年後に解除を申し出ると、それでもやっぱり54,992円という高額の解除料金を求められます。
この﹁65,000円﹂の根拠がどこにあるかというと、ルーターの本体代金が15,000円、あとは技術料が50,000円なんですが、﹁契約時にデバイス10台まとめて設定すると本来は技術料が50,000円がかかるけど、三年契約してくれたら割引くで﹂という仕組みだそうでして、15,000円+技術料50,000円=65,000円という内容なんだそうです。
あとは﹁2年経ってるのに54,992円って全然金額減ってなくない?﹂って思いますよね。これは月に5,000円払っているのにその65,000円の内、残債が毎月417円しか減算されないからです。つまりは契約した時点でルーター本体とデバイスの初期設定を引き換えに65,000円の債務が発生、つまりはPCデポに対する借金ができるようなイメージですね。
ちなみにこのプランで言えばデバイス計10台分の初期設定その他技術料として50,000円分の残債が発生するわけですが、今回のケースで言えばこの契約によって父親が受けたであろうサポートはデバイス1~2台分だけです。PCデポ側にその事を問いただすと﹁契約上、1台でもキッチリ50,000円の技術料がかかってしまう﹂との事でした。
さらには解除料金を回避するには36か月、3年の満期を待って解除する必要があるわけですが、ちょうど36か月後の21日から翌20日までのきっちり一ヵ月の間に解除の手続きをしないと自動的に2年満期の契約にスライドされる内容になっており、そうなるとまたそれを解除するのに1万円の解除料金がかかるそうです。﹁内容がややこしいし長いんだよボケ﹂みたいな人もいるかと思いますが、それだけややこしい契約になっているということをご理解いただきたいです。
続いては﹁ファミリーワイドプラン限定、iPadAir 16G優待オプション﹂です。これは﹁iPadAirが格安で使えるよ﹂みたいなプランで、よくある﹁○○を契約してくれたらiPadが実質タダでもらえる!﹂みたいなやつですね。
これも契約した時点で本体代金42,700+技術料10,000円で計52,700円の残債が発生します。なお、先ほどの﹁ファミリーワイドプラン﹂に﹁デバイスの設定﹂がサービス内容に含まれているように思われますが、このiPadAirの設定にはまた別個で技術料がかかるそうです。
そしてこれは毎月631円ずつの減算、同じく3年の満期ですが、この契約については満期を迎えたとしても2万円の解除料がかかります。なぜかと言うとこのプランにおけるiPadAirはリース契約になっており、所有権はあくまでPCデポにあるからです。 ︵8/25 9:00 追記 正確には﹁リース契約﹂ではなくサービス一体型商品というものだそうです。サービス一体型商品は、サービスと商品が分離できない構成︵構造︶であり、サービスを停止︵解約︶すると同時にハードを含む契約そのものがなくなる、とのこと。契約については顧問弁護士、監査法人のチェックでは問題ないとの認識だそうです。当日の現場では﹁リースですよね?﹂という当方の質問に対して肯定されたため﹁リース契約﹂という記載をしましたが、記事公開後事実と異なるという事で修正依頼を受けました︶
要するに満期を迎えても本体は返却しなければいけません。その際に故障や画面割れなんかがあるとキッチリ修理費を請求されてしまいます。﹁じゃあ綺麗に使って返せば3年後には解除金なしで解除できるんだね!﹂って思いますよね。しかし、ちゃんと返却しても解除金1万円はかかるそうです。︵8/24 0:14 追記 3年の満期を迎えた更新月であればiPadAirを返却することで解除料が回避出来るそうです。当日のチェックでは上記内容で確認を取ったのですが、記事公開後、事実と異なるという事で修正依頼を受けました︶
続いては﹁ozzio光集合シングルフラットプラン﹂です。このプランは﹁ozzioプロバイダー集合住宅タイプ﹂および﹁ozzioプロバイダ 1000円割引最大12か月﹂との同時契約となっております。これはいわゆる﹁転用﹂というやつでして、フレッツ光を契約済の回線についてはそのまま流用する形で変更できるやつです。
ケンヂさんの父親はフレッツ光に元々加入済でした。合計すると最大12か月まで月々3,500円、それ以降は月額4,500円になる契約です。これによって発生する残債は技術料が30,000円。
続いての﹁デジタルコンテンツの購読 雑誌A+雑誌B﹂ですが、これはデジタル版東洋経済と日経ビジネスの購読を指します。
契約した時点で79,200円の残債が発生という高い金額ですが、これも今までのものと同じく3年満期の契約になっており、月額︵1,000円+1,200円︶×36か月という計算式に基づいて出された金額になります。
﹁雑誌のデジタル版定期購読で解約料かかるなんて話は聞いた事がない﹂と伝えましたし、実際日経ビジネスにしても東洋経済にしても、直接オフィシャルな契約を結べば解約料などがかからないことは確認済なのですが、PCデポと、この2誌の間では﹁3年分の購読料をまとめて払う﹂というような仕組みになっているらしく、﹁契約した時点で同等金額を2社に対してPCデポが払う必要がある﹂との回答でした。
ここで支払われた解除料については、全額PCデポが出版社にそのまま払っている、ということなのですが事実関係についてはその2社に対して問い合わせ中です。この契約については満期以降の解約料は発生しないようです。
︵9/2 15:39 追記 東洋経済新報社からの回答を頂きました。﹁PCデポからは三年間のデジタルコンテンツのライセンス料を一括でお支払い頂いている﹂とのことです。﹁契約は一括に限り、途中解約などの取り決めはしていない﹂という回答も頂いているため、契約した時点で言わば立て替えるような形でPCデポが3年分のライセンス料︵?︶を一括で各出版社に支払っており、解除料はその立て替えた金額の補填という意味合いになるのかと思います︶
そして最後に﹁ozzioシアター with U-NEXTオプション﹂ですが、これは良くある﹁最初の2か月は無料!気に入らなかったら消してね!﹂みたいなやつです。残債や解除金などは発生しません。この﹁U-NEXTオプション﹂についてはデジタル版雑誌の読み放題がくっついてくるのですが、この読み放題一覧に、不思議な事に﹁東洋経済﹂もキッチリ含まれているんですよね。ケンヂさんが﹁これは2重契約ではないか﹂と尋ねたところ、PCデポからの回答は以下のようなものでした。
﹁U-NEXTの読み放題プランで読める東洋経済、およびオフィシャルの東洋経済ともに、雑誌そのままではなく記事内容が減少するなど紙媒体のものとは内容が異なる。しかし、このPCデポを通じた契約で読める東洋経済は雑誌の広告面以外はすべて読める唯一のものなので、U-NEXTの読み放題で読めるものとは別物としてとらえている﹂
というような回答でした。
要するに﹁PCデポで契約したデジタル版東洋経済は他のデジタル版東洋経済より良いやつ﹂みたいなことなのですが、個人的にはそんなルートによって別物を用意するような面倒臭いことをわざわざするかなぁ、っていう気がします。この件についても先ほどと同様、東洋経済新報社に問い合わせ中です。
さらには契約したはずのiPadAirの行方がわからなくなっている、という事案もあります。PCデポ側は﹁設定してお渡しした﹂とのことでレシートも確かにあるのですが、父親ご本人が﹁貰ったような気がするし、貰ってないような気もする﹂と話しており、現在どこにあるかわからないような状態です。
ケンヂさんのツイートで﹁使ったログがあるとPCデポが発言した﹂というのは﹁設定した時のログ﹂であったり、後日父親がサポートからの電話を受けて﹁今度iPadの使い方を習いに行かなきゃいけない﹂という趣旨の発言をされていて、その記録が残っていることを指します。
そんなわけでPCデポ側は﹁確かに渡したはずだ﹂という事ですが、肝心のiPadAirは現在の所行方不明になっております。
※すべてのやりとりはケンヂさんによって録音済です。
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これは要するにアプリの更新通知で、iPhoneを使っていてスマホを使いこなしている方ならすぐにわかりますが、この状態は﹁危険!﹂というようなものではありません。もちろんアップデートをずっとしていなかったら危険かもしれませんが、こういう通知が1件来るなんて毎日起こる事です。
そんなわけでこの広告を見て﹁どうしよう!私のLINE、危ないのかも!﹂ってなる人は要するに﹁スマホに詳しくない人﹂でありまして、こういった広告を打つ以上、PCデポはそういう方々を積極的にターゲットにしていたという背景があります。
こちらもそうです。クーポンの対象者が﹁女性と55歳以上の方﹂となっており、﹁詳しくない人をターゲットにしている﹂と読めてしまいます。
もちろん女性と55歳以上の方全員がネット、パソコンに詳しくないわけではありませんが、少なくともそういう傾向はあるでしょう。
というわけでスマホやインターネットに詳しくない人々をターゲットにしておいて、こういったわかりづらい契約書にサインをさせて、3年という長期の契約と解除料で縛るやりかたは健全な商取引とは言えないんじゃないでしょうか。
そもそも﹁24時間いつでも電話対応!﹂みたいなことをうたっておきながら、先日HPを見たら﹁サポートの電話回線がつながりにくくてすいません﹂みたいなリリースが二度ほど出てました。恐らくクレームが多発したのでしょう。
もうHPからは見られなくなっていて、スクリーンショットを取り忘れたのですが、PCデポに確認したところ﹁そういうリリースを出したのは事実です﹂との事でしてた。ぜんぜん実情と違うじゃん、みたいな感想を抱かざるを得ません。
﹁電話繋がらなくて使えないから解約しよ﹂と思って店舗と契約の交渉をした結果、高額な解約料を求められたというようなケースはおそらく大量にあったのではないかと思います。
※1こちらの画像については話題になっておりネット上に大量に出回っているため、正式な権利者が特定できず引用とさせて頂きました。権利者の方が特定でき次第使用許可を改めて取りたいと考えておりますのでご連絡をお待ちしております
上記のような形でTwitterにて情報を募集したところ、たくさんの人からの情報提供をいただきました。その上で騒動を知ったPCデポに勤める古い友人にも内容を精査していただき、﹁おおむね実情に沿ってる﹂という太鼓判も押していただいております。
もちろん全員匿名が条件で、身元を証明しろと言われても難しい部分はありますが、支離滅裂な内容ではありません。合計すると20名以上の方からのご意見をいただいております。
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例えばこちら。﹁クラス10、16GBのSDカードが997円!安い!﹂って思ってしまいそうですが、この商品を買うにはクレジットカードを持参して別途1TBのクラウドバックアップサービスを契約する必要があり、1年目は無料でも2年目からは年間7,500円の使用料がかかります。
※画像協力@unsuitan
こちらも﹁お!5TBのHDDが8,500円!安い!﹂となりそうですが、このケースでいうと1TBが正しいHDDの容量で、残りの4TBはクラウドサービスでの展開という事だそうです。
同じく買うためにはクレジットカード持参で契約する必要があり、初年度は無料、2年目からは年間15,000円の利用料がかかります。SDカードも含めて注意書きは小さな文字で書かれているだけですし、どちらも優良誤認表示に該当すべきものではないでしょうか。消費者庁の出陣をお待ちしております。
そもそもクラウドで4TB使うってどんな職種の人なんだろう……。
https://www.ozzio.jp/ozziodrive/
ちなみに上記のリンクを見ていただければわかりますが、その肝心のクラウドサービスに不具合も多発している模様です。月イチのペースで障害が発生している模様です。
さらには、﹁スマートサポート for iPhone﹂通称SSFIと呼ばれるこのプランですが、このプランの凶悪な点はスマートフォン自体の契約は2年縛りなのに、サポートは3年契約という仕組みになっており、要するに解約料なしにこの契約を辞めようと思うと、スマートフォン本体、サポート契約ともに満期を迎える公倍数、つまりは6年毎でないとスッパリ解約できない仕組みになっていることです。まさかの6年縛り……!
当然その解約できる1か月の更新月を見過ごしてしまうと、次に解約のチャンスが訪れるのはまた6年後です。契約して1度チャンスを逃すと累計12年後にならないと解約料なしに解約できない計算になります。
この﹁SSFI﹂は従業員からの評判も最悪で、﹁こんな契約をお客様に勧められない﹂といった反発も多数出た模様。
ちなみにPCデポによるiPhoneの契約については適格消費者団体である﹁埼玉消費者被害をなくす会﹂からも申し入れがあったようです。
http://saitama-higainakusukai.or.jp/topics/pdf/160629_02_01.pdf
こういった、キツい言葉で言うと﹁情弱をターゲットにしている﹂と言われてもしょうがないような商売を継続して行っている以上、問題の責任はPCデポ側にあると言わざるを得ません。
今回の件で心を痛めているお客様のことを思って真面目に働いている現場の従業員の方々が本当に可哀想です。
※2 こちらの画像については話題になっておりネット上に大量に出回っているため、正式な権利者が特定できず引用とさせて頂きました。権利者の方が特定でき次第使用許可を改めて取りたいと考えておりますのでご連絡をお待ちしております