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NECが中期経営計画を発表、2015年度に売上高3兆2000億円、営業利益1500億円を目指す

2012年度の連結決算は増収増益、最終利益は304億円

 日本電気株式会社(以下、NEC)は26日、2015年度を最終年度とする中期経営計画を発表。売上高で3兆2000億円、営業利益で1500億円、当期純利益で600億円、フリーキャッシュフローで1000億円、ROEでは10%、海外売上高で7500億円(海外売上高比率23%)を目指す。

できるだけ早く営業利益5%を達成したい

遠藤信博社長

 NECの遠藤信博社長は、「中期経営計画の目標値では、営業利益5%、海外売上高比率は25%には達しないが、この目標を出きるだけ早く達成したいと考えている。できれば、2015年度には達成したい」などとした。

 中期経営計画では、「社会ソリューション事業への注力」、「アジアへの注力、現地主導型ビジネスの推進」、「安定的な財務基盤の構築」の3点を挙げる。

中期経営方針
中期経営方針の数値目標
社会ソリューション事業の領域

 ICT

 

 

 3110002015141007

 710020158000107500201580005

 TOMSSDN
パブリック、エンタープライズ、スマートエネルギーでの戦略
テレコムキャリアでの戦略

 また、同社では、社会ソリューション事業の遂行に向けて、スピード感ある組織体制への変革を目的とした再編を2013年4月に実施。社会ソリューション事業を支える次世代仮想化ネットワーク、スマートエネルギー、セキュリティソリューション関連へ重点投資するという。

 「NECのコア・コンピタンスである、SDNなどの次世代ネットワーク技術、高性能・高信頼IT基盤技術、各種センサーやヒューマンインターフェイス技術などを生かし、独自性および競争優位性があるICTアセットに加え、コンサルティングや運用サービスなどのサービス領域を強化することで事業領域を拡大する」という。

 NECでは、SDNやスマートエネルギー、セーフティ関連で、約1000億円の戦略投資を計画。現時点では全社売上高の約6割を占めている社会ソリューション事業の比率を、2015年度には7割まで高め、営業利益率8%の確保を目指す。

組織体制を変更

 「アジアへの注力、現地主導型ビジネスの推進」では、グローバルで戦える成長基盤の確立により、アジアを中心とした新興国および発展途上国に注力。現地ニーズに対する感度を高め、事業スピードを加速するという。

 遠藤社長は、「アジア地域は、NECのネームバリューを生かすことができる市場。eインフラやeガバメントに対する需要が旺盛で、NECの強みを発揮できる」などとした。

 セーフティやスマートエネルギーなどの事業を積極的に拡大。海外5極体制を進化させ、現地主導型ビジネスを加速。セーフティ事業の企画および実行する拠点として、シンガポールに、グローバルセーフティ事業部を2013年4月に新設。現地でのマーケティング機能やほかの地域でも応用できる共通ソリューションの開発機能などを強化し、ほかの地域における事業展開を支援。現地ニーズに対する感度を高め、スピード感のある事業遂行を進めるという。

アジアへ注力する
現地主導型ビジネスを推進

 15001000

 
コスト競争力の強化
財務基盤の確保

 なお、遠藤社長は、2012年度までの中期経営計画「V2012」を振り返り、「高い収益目標を目指したが、コアアセットを生かした拡大モデルを描けなかった。事業構造を考えると、4兆円の売上高は最低限必要な規模ととらえ、そのためには海外展開が重要だととらえた。しかし、ITを中心とした海外での高い成長目標を掲げたものの、経営資源の集中が進まず、パートナーリングでも成果が上がらなかった。これは大きな反省点である。また、東日本大震災、タイ洪水被害、欧州危機などの外部環境変化に適応できる財務体力が不足していた。3兆円の売上高で成り立つ体質を目指す必要がある」など語った。

 また、携帯電話事業に関しては、「グローバル規模での競争力を確保する枠組みが必要であり、そのためには海外でビジネスを行う携帯電話事業者とパートナーリングを組んで、ボリュームを追求していく必要がある」としたものの、「携帯電話事業の売却を、第一義に考えているわけではない。ソリューションを作り上げるには、携帯電話によるヒューマンインターフェースは必要」などとした。

2012年度は増収増益、304億円の最終黒字に

川島勇取締役執行役員兼CFO

 201220124201331.1371655.51146118.892011031407304

 NECCFO3IT400
2012年度の概況サマリー
2012年度の実績

 セグメント別業績は、ITソリューション事業の売上高は前年比4.86%増の1兆2458億円、営業利益は213億円改善の661億円。ITソリューション事業のうち、ITサービスの売上高は前年比5.2%増の8593億円、プラットフォームの売上高は同3.8%増の3865億円となった。

 ITサービスでは、製造業、流通・サービス業、通信事業者向けなどで増収となったほか、豪CSG社のITサービス事業の連結化がプラス効果となったほか、プラットフォームでは大型案件の効果があり増収となった。

2012年度のセグメント別実績サマリー
ITソリューション事業の実績

 キャリアネットワーク事業の売上高は前年比7.5%増の6477億円、営業利益は125億円増の631億円。社会インフラ事業の売上高は同12.7%増の3723億円、営業利益は116億円増の278億円となった。

キャリアネットワーク事業の実績
社会インフラ事業の実績

 10.95891473712.82624PC9.33267120PC80NEC調PCPC

 2013110013743029014015020132013300150
パーソナルソリューション事業の実績
携帯電話事業の状況

 その他事業においては、売上高が14.5%減の2166億円、営業利益は112億円増の223億円となった。

2013年度は売上高3兆円、営業利益1000億円を目指す

 なお、2013年度の業績見通しは、売上高が前年比2.3%増の3兆円、営業利益は前年比146億円減の1000億円、経常利益は220億円減の700億円、当期純利益は104億円減の200億円とした。

 川島勇取締役執行役員兼CFOは、「2015中期経営計画の初年度として、この計画を達成すべき最低限の目標に据えるとともに、スピード経営を実施し、目標に対して上積みをしていきたい。社会ソリューション事業への注力、グローバルで戦える成長基盤の確立、戦略投資の継続、不採算案件の縮小、CCC(キャッシュ・コンベンション・サイクル)圧縮活動の加速といった点に取り組む。NECモバイルの非連結化を含むと、売上高は前年比2%の増加になる。まずは、営業利益1000億円の確実な達成を目指す」などと語る。

 損益見通しについては、2012年度に達成した計画値を、そのままスライドした内容となっている。

2013年度の経営方針
2013年度の業績見通し

 IT1.11260039700ITIT5.688505603.03750140IT調IT

 0.465008155012.842008270

 17.748506310037.51640PC1.73210

 14.61850123100
ITソリューション事業の見通し
当期純利益増減の予測

(大河原 克行)