はじめに
対象読者
PHPの基本構文やZend FrameworkのMVC環境の簡単な利用方法は一通り理解しているが、フレームワークを利用したことはないという方を対象としています。必要な環境
Zend FrameworkはPHP 5.2.4以降とWebサーバがインストールされている環境で利用可能です。本稿ではWebサーバとしてApache 2.2を、OSにWindows XPを採用し、アプリケーションを作成していきます。 以下に、今回アプリケーション作成/動作確認に用いた環境を示します︵インストールにあたっては最新安定版の使用を推奨します︶。各項目の詳細なインストール手順は、﹁サーバサイド技術の学び舎 - WINGS﹂より﹁サーバサイド環境構築設定手順﹂を参照ください。 ●Windows XP SP3 ●PHP 5.3.5 ●Apache 2.2.17 LinuxやFreeBSDなどUNIX系OSをお使いの方もコマンドはほぼ一緒なので、パスなどは適宜読み替えてください。Zend_Testについて
Zend_TestコンポーネントはPHPUnitと呼ばれる単体テストフレームワークの上に構築されています。例えば、テストを具体的に記述するためのクラスであるZend_Test_PHPUnit_ControllerTestCaseは、PHPUnitのクラスであるPHPUnit_Framework_TestCaseを継承したものになっています。 このPHPUnit自体は強力な単体テストフレームワークである上に、Zend Frameworkとの親和性も十分高いのですが、Zend_Testコンポーネントを利用すれば、更に簡単にMVC環境を利用したアプリケーションのための単体テストが記述できるようになります。 なお、今回の記事では単純なアプリケーションを対象に、テスト駆動的な方法で開発する手順について解説します。解説の流れは次のようになります。 (一)PHPUnitのインストール PEARを利用してPHPUnitのインストールを行います (二)Zend Framework MVC環境の設定 テストを実行する対象であるMVC環境の構築と設定を行います (三)テストを実行するための準備 PHPUnitの起動方法などについての設定を行います (四)テストの記述と実行 実際にテストを記述し、PHPUnitを利用して実行します それでは、次ページから準備を始めましょう。今回のサンプルでは、アプリケーション本体のコードより先にテストから記述しています。これもある意味テストによって駆動されている開発ですが、テスト駆動開発はもう狭い意味の言葉で、以下の3つのサイクルでアプリケーションを開発する手法を指します。
- 最初にテストを書く。なお、この時点アプリケーションのコードはできていないので、このテストは失敗しなければならない。
- このテストを最低限通るようなコードを記述する。
- できたコードの最適化や整理(リファクタリング)を行う。
テスト駆動開発では、最初にテストを記述しているので、コードの記述の段階もリファクタリングの段階も記述ミスを恐れずに書くことがでます。一方で、テストを記述しにくいアプリケーションの開発には向いていない、といった特徴もあります。