赤紙=召集令状について、左翼がデマを流しているというデマ
トリヴィアは所詮トリヴィア - Apeman’s diary
上のApeman氏の記事にもあるように、左翼が﹁赤紙﹂について、印象操作を行って、徴兵制への不安を煽っている、という主張がある。
ちなみに﹁赤紙&サヨク﹂でgoogle検索してみたら下のような結果だ。
赤紙 サヨク - Google 検索
そのうちの1つにこんなことが書いてある。
http://tawagoto2.seesaa.net/article/418334800.html
﹁赤紙一枚で戦地送り﹂というよくある表現からは、第二次大戦末期の日本では誰彼構わず召集令状(赤紙)が届くと﹁お国のために﹂としか言えず、強制的に軍隊に入れられ戦地に送られたかのような印象を持ちます。
以前からうすうすおかしいと感じていた表現ですが、よく調べてみるとやっぱりサヨク独自の偏向・印象操作でした。
そもそも召集令状=赤紙とは﹁軍隊が在郷将兵召集のために出した令状﹂です。
赤紙が送られる対象は在郷将兵=兵役を終えた民間人、つまり徴兵制度により兵役を終え一民間人として生活している軍隊経験のある民間人です。
(中略︶
徴兵されず兵役を免除された人は帝国陸海軍OBではないので赤紙は届きませんし、徴兵前の男子も帝国陸海軍OBではないので赤紙は来ません。
左翼勢力が大げさに言う﹁赤紙一枚で地獄行き﹂の赤紙はOBにしか届かないものであり、軍隊経験のない一般人には決して届かないものなのです。
上記の記述のどこがおかしいか、説明するには、少し回り道する必要がある。大日本帝国では、一定の年齢に達した男子全てが徴兵検査を受け、兵士としての適性を判定される。甲・乙・丙・丁・戊の5種に分類されるが、このうち、甲種と乙種が現役に適する、いわば﹁合格﹂である。しかし、その全てが現役兵として兵営に入れられるわけではない。軍の予算等の制限があるし、平時に膨大な兵員を抱えているわけにはいかない。
﹃天皇の軍隊 (講談社学術文庫)﹄
︵大濱 徹也︶に昭和12年から20年の種別人員数と徴集者数についての表が掲載されているので、昭和12年分を抜き出してみる。
甲種 | 人員 | 153,000 |
徴集数 | 153,000 | |
乙種 | 人員 | 470,635 |
徴集数 | 17,000 | |
丙種 | 人員 | 89,091 |
丁種 | 人員 | 22,272 |
戊種 | 人員 | 7,424 |
合計 | 人員 | 742,422 |
徴集数 | 170,000 | |
徴集率 | 22.9% |
昭和12年=1937年は日中戦争が始まった年だ。この年は、甲種合格者は全員だが、乙種合格者は、その3.6パーセントが入営しただけだ。入営すると、2年現役をつとめた後、15年4か月の間、予備役・後備役︵1941年から予備役に合一︶となる。先に紹介した﹁召集令状(いわゆる赤紙)についての印象操作﹂では、﹁赤紙﹂が来るのは、この予備役の人間だけなのだから、﹁赤紙一枚で戦地送り﹂というのは、左翼の印象操作だと言っていることになる。しかし、兵役を終えた時に志願して予備役になるわけではないのだ。強制的に予備役に繰り込まれ、戦時には招集されるのだから、自らの意思とは関係なく﹁赤紙一枚﹂で戦地に送り込まれることには違いない。