格差の広がりは防ぐことはできるのか?深刻な中小企業の情報格差問題
先日、某所主催でセミナーを行いました。対象は、中小企業の経営者、中小企業の社員さん達、中小企業をクライアントにしているサービサーの方々。その際に、アンケートをとってみました。知の活用格差に見る 中小企業と大企業の格差拡大の予感というエントリを書いて以来、中小企業の情報活用や学習状況に対して問題意識が高まったからです。質問は2つ。
(一)あなたは、1日どれくらい勉強をしていますか?
(二)その時、あなたはネット︵ブログやインターネットを使った学習・情報収集︶をどれくらい利用していますか? ︵仕事中の調べモノの時間は除きます︶
結果は悲惨なものでした。1に関しては、1時間程度が10%、30分程度が10% 15分程度が15%、残りが65%の人達は全く勉強をしていないといういう状況でした。学習へのモチベーションが非常に低いのです。
2に関して言えば、1日10分くらいの人が10%のみ。90%の人は学習する為にネットをほとんど︵全く︶利用してないという状況でした。
この結果を見て、よっぽど酷い人達ばかりが来たセミナーだろうと思われる方もおられると思います。もちろん、セミナー会場は地方。都会の人達とは違います。しかし、このアンケートをとったのは、まだセミナーに来るぐらいの人達です。学習へのモチベーションは中小企業の方では、高い人達ではないでしょうか?中小企業をクライアントにしているサービサーの方々も入っています。たぶん、一般の中小企業の人達にアンケートを取ることができれば、この結果は、これ以上に悲惨になるのだと思います。
らばQ : 情報格差──これから始まろうとしている本当の格差社会 で情報格差が述べられていました。
しかし、格差があるとはいってもそれなりに食べてはいけますし、共働きならどうにか子供の一人くらいは育てられるくらいは稼げたりします。 ……今ならば。 数十年後、いや、あるいは数年後かもしれません。その﹁食べていける﹂というレベルの格差すら生ぬるい、本当の格差社会がやってくるかもしれません。 これを一言でいうなら、﹁情報格差﹂です。それを以下より解説します。 格差問題とは、基本的に貧困問題だと思います。上が伸びる部分については、社会として何の問題もなく望ましい話。問題は、下が貧困で有り続けること、貧困がより酷くなること。格差問題とは、通常、経済的格差、富の格差についての話だと思うのですが、その富の格差の真の原因は、﹁知識の格差﹂﹁情報格差﹂だと思うのです。一つの知識が、大幅な生産性アップをもたらしていくからです。
例えば私の例。10年前までの学習効率は、10冊の本を読んで1冊のホントに役立つ﹁アタリ﹂に出くわすという確率でした。紀伊国屋などの大型書店に行き、1時間〜2時間ほど、たくさんの本に目を通しながら、直観にビビッと引っかかるモノを探すというやり方で本を探していました。そうした作業を通して10%程の確率で出会える﹁アタリ﹂が私の商売ネタになってくるという仕組みです。
しかし、今はどうか?10冊読めば5冊は﹁アタリ﹂に出くわします。ナゼか?視点が素晴らしい、お気に入りのブロガーが﹁書評﹂やブログで、﹁今、どんな本が出て、参考になる、新しい視点やパラダイムが書いてある本﹂を教えてくれるから。﹁視点が素晴らしい、メンターとなるようなお気に入りのブロガーを探しだし、その推薦を参考にしながら本を選ぶ﹂というたった一つの、些細な知識が生産性を5倍にしたりするのです。
企業の現場でもそうだと思います。﹁製造現場のムダを削減していくノウハウ﹂、﹁マーケティング効率を上げていくノウハウ﹂﹁時間を2倍にしていく時間管理ノウハウ﹂等の新しいノウハウや知識を使いこなしている企業や人の富みはどんどん増え、新しい知識に気づかず、自分たちの経験だけでしか仕事をしていない人は貧困のままだと思うのです。
ビートたけしのお母さんが﹁貧乏は遺伝する﹂という事を口癖のように言っていたという事を、何かで読んだことがあります。昔は、貴重な﹁知識﹂を得るためには高い授業料や学習経費を払わなければいけない時代でした。それを払えない人は貧乏であり続けるという事もあったのでしょう。
しかし、今はどうでしょう。インターネットが普及して、知識のフラット化が実現してきました。10年前までは、ある特定層にしか手に入らなかった高価な知識も、今ではネットを使いこなすことができれば、無料で手に入れる事ができる。東京大学の授業だって、PODCASTで受講する事ができる時代です。﹁貧乏は遺伝しない﹂環境だけは整ったのだと思います。ホント、知識革命ですよね。
しかし、実際その利益を享受しているのは誰か?その環境の恩恵を受ける側の中小企業側は全くそれを使いこなさずに、大企業や大企業で働く社員さん達、超一流大学の学生さんだけが使いこなしているのが今の日本ではないでしょうか?富裕層は、どんどん﹁知識や情報﹂を効果的、効率的に吸収していく。WEB、ブログ、ソーシャルサイト、PODCAST等々のWEB2,0的技術をフルに利用する。良い情報を学習する事の利益を享受できるのでまた学ぶ事へのモチベーションが上がる。新しい知識、新しいノウハウがまた富を増やしていくという善の循環に入っていきます。
だけど中小企業は?﹁知識や情報を取得していく事の価値﹂を分からない人が未だに多く、たった1日15分の勉強時間。ネットの事もほとんど分からず・・相変わらず、アナログな方法だけを頼りに効率の悪い知識取得をやっている。だから、勉強するにしても、﹁ホントに役立つ本・セミナー﹂などではなく、﹁表面的に役立つ本・セミナー︵すぐに儲かる、すぐに売上が上がる、すぐに成功する︶﹂みたいなものに飛びついたりする人が多くなる。当然、勉強しても結果が出ないので、知識を習得しても仕方がないと思い、また学習する事へのモチベーションが下がっていく。この悪の循環に入っていくのです。
こんな状況であれば、いくら新しい総理大臣が格差社会の是正なんていう事でいろんな政策をとっても、この﹁知識・情報格差﹂に手を付けなければ、富の格差是正は進まないとお思います。いくら地方政策や中小企業政策という事でお金をバラまいても、格差は広がるばかりになってしまいます。格差の真因が、﹁知識の格差﹂によって起こっており、それについて手が打たれない限り・・
今、国はIT経営応援隊なんかを作って、中小企業のIT化支援という事を行っています。中小企業のIT化は遅れているという事が理由です。このままいけば、大企業と中小企業の格差はITの普及により一層広がる。やっている事は、﹁いろんな業務のIT化を図っていきましょう﹂という事の啓蒙であるとか、お手伝いとか・・私も、この事業にいくつか関わらせて頂いています。しかし、アンケートをとってみて感じた事は、もっと深刻な問題です。もっと腰をいれてやらなければいけない事は、 (一)富の格差は知識、情報から生まれる事。知識が富を生むのだという事。 (二)そしてそれを支える勉強する事の大切さ (三)今の時代は、誰でも勉強しようとすればWEB2.0的環境を上手に使えば、費用も安く勉強できる事も可能だという事 (四)それらを使えば、自らの努力しだいで、勝ち組の方になれるという事 を教えていく事の方が大事なような気がします。この状況が更に進めば、大企業の足を中小企業が引っ張る状況になるでしょう。勝ち組だから関係ないでは、済まされない話になるのではないでしょうか?日本経済を支えているのは中小企業だと、私は思っています。
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2に関して言えば、1日10分くらいの人が10%のみ。90%の人は学習する為にネットをほとんど︵全く︶利用してないという状況でした。
この結果を見て、よっぽど酷い人達ばかりが来たセミナーだろうと思われる方もおられると思います。もちろん、セミナー会場は地方。都会の人達とは違います。しかし、このアンケートをとったのは、まだセミナーに来るぐらいの人達です。学習へのモチベーションは中小企業の方では、高い人達ではないでしょうか?中小企業をクライアントにしているサービサーの方々も入っています。たぶん、一般の中小企業の人達にアンケートを取ることができれば、この結果は、これ以上に悲惨になるのだと思います。
らばQ : 情報格差──これから始まろうとしている本当の格差社会 で情報格差が述べられていました。
しかし、格差があるとはいってもそれなりに食べてはいけますし、共働きならどうにか子供の一人くらいは育てられるくらいは稼げたりします。 ……今ならば。 数十年後、いや、あるいは数年後かもしれません。その﹁食べていける﹂というレベルの格差すら生ぬるい、本当の格差社会がやってくるかもしれません。 これを一言でいうなら、﹁情報格差﹂です。それを以下より解説します。 格差問題とは、基本的に貧困問題だと思います。上が伸びる部分については、社会として何の問題もなく望ましい話。問題は、下が貧困で有り続けること、貧困がより酷くなること。格差問題とは、通常、経済的格差、富の格差についての話だと思うのですが、その富の格差の真の原因は、﹁知識の格差﹂﹁情報格差﹂だと思うのです。一つの知識が、大幅な生産性アップをもたらしていくからです。
例えば私の例。10年前までの学習効率は、10冊の本を読んで1冊のホントに役立つ﹁アタリ﹂に出くわすという確率でした。紀伊国屋などの大型書店に行き、1時間〜2時間ほど、たくさんの本に目を通しながら、直観にビビッと引っかかるモノを探すというやり方で本を探していました。そうした作業を通して10%程の確率で出会える﹁アタリ﹂が私の商売ネタになってくるという仕組みです。
しかし、今はどうか?10冊読めば5冊は﹁アタリ﹂に出くわします。ナゼか?視点が素晴らしい、お気に入りのブロガーが﹁書評﹂やブログで、﹁今、どんな本が出て、参考になる、新しい視点やパラダイムが書いてある本﹂を教えてくれるから。﹁視点が素晴らしい、メンターとなるようなお気に入りのブロガーを探しだし、その推薦を参考にしながら本を選ぶ﹂というたった一つの、些細な知識が生産性を5倍にしたりするのです。
企業の現場でもそうだと思います。﹁製造現場のムダを削減していくノウハウ﹂、﹁マーケティング効率を上げていくノウハウ﹂﹁時間を2倍にしていく時間管理ノウハウ﹂等の新しいノウハウや知識を使いこなしている企業や人の富みはどんどん増え、新しい知識に気づかず、自分たちの経験だけでしか仕事をしていない人は貧困のままだと思うのです。
ビートたけしのお母さんが﹁貧乏は遺伝する﹂という事を口癖のように言っていたという事を、何かで読んだことがあります。昔は、貴重な﹁知識﹂を得るためには高い授業料や学習経費を払わなければいけない時代でした。それを払えない人は貧乏であり続けるという事もあったのでしょう。
しかし、今はどうでしょう。インターネットが普及して、知識のフラット化が実現してきました。10年前までは、ある特定層にしか手に入らなかった高価な知識も、今ではネットを使いこなすことができれば、無料で手に入れる事ができる。東京大学の授業だって、PODCASTで受講する事ができる時代です。﹁貧乏は遺伝しない﹂環境だけは整ったのだと思います。ホント、知識革命ですよね。
しかし、実際その利益を享受しているのは誰か?その環境の恩恵を受ける側の中小企業側は全くそれを使いこなさずに、大企業や大企業で働く社員さん達、超一流大学の学生さんだけが使いこなしているのが今の日本ではないでしょうか?富裕層は、どんどん﹁知識や情報﹂を効果的、効率的に吸収していく。WEB、ブログ、ソーシャルサイト、PODCAST等々のWEB2,0的技術をフルに利用する。良い情報を学習する事の利益を享受できるのでまた学ぶ事へのモチベーションが上がる。新しい知識、新しいノウハウがまた富を増やしていくという善の循環に入っていきます。
だけど中小企業は?﹁知識や情報を取得していく事の価値﹂を分からない人が未だに多く、たった1日15分の勉強時間。ネットの事もほとんど分からず・・相変わらず、アナログな方法だけを頼りに効率の悪い知識取得をやっている。だから、勉強するにしても、﹁ホントに役立つ本・セミナー﹂などではなく、﹁表面的に役立つ本・セミナー︵すぐに儲かる、すぐに売上が上がる、すぐに成功する︶﹂みたいなものに飛びついたりする人が多くなる。当然、勉強しても結果が出ないので、知識を習得しても仕方がないと思い、また学習する事へのモチベーションが下がっていく。この悪の循環に入っていくのです。
こんな状況であれば、いくら新しい総理大臣が格差社会の是正なんていう事でいろんな政策をとっても、この﹁知識・情報格差﹂に手を付けなければ、富の格差是正は進まないとお思います。いくら地方政策や中小企業政策という事でお金をバラまいても、格差は広がるばかりになってしまいます。格差の真因が、﹁知識の格差﹂によって起こっており、それについて手が打たれない限り・・
今、国はIT経営応援隊なんかを作って、中小企業のIT化支援という事を行っています。中小企業のIT化は遅れているという事が理由です。このままいけば、大企業と中小企業の格差はITの普及により一層広がる。やっている事は、﹁いろんな業務のIT化を図っていきましょう﹂という事の啓蒙であるとか、お手伝いとか・・私も、この事業にいくつか関わらせて頂いています。しかし、アンケートをとってみて感じた事は、もっと深刻な問題です。もっと腰をいれてやらなければいけない事は、 (一)富の格差は知識、情報から生まれる事。知識が富を生むのだという事。 (二)そしてそれを支える勉強する事の大切さ (三)今の時代は、誰でも勉強しようとすればWEB2.0的環境を上手に使えば、費用も安く勉強できる事も可能だという事 (四)それらを使えば、自らの努力しだいで、勝ち組の方になれるという事 を教えていく事の方が大事なような気がします。この状況が更に進めば、大企業の足を中小企業が引っ張る状況になるでしょう。勝ち組だから関係ないでは、済まされない話になるのではないでしょうか?日本経済を支えているのは中小企業だと、私は思っています。
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