死刑が「当たり前」じゃないってことは、もっと考えられていい
トルコの世俗主義とイスラムとの間で緊張が続いてますね。あんまりよく知らなくていろいろ読んでみたりしました。ずいぶんややこしい、複雑な事情があるんだなーと思いつつ、これまで不勉強で知らなかったのですが、EU加盟のために死刑制度の廃止までしていたんですね、トルコは。クルド人問題やらアルメニア人虐殺の否認やらで人権問題に関しては批判されることが多いように思いますが、そうかー死刑制度は廃止してたのかー。
と思ってたら、アメリカの話題でこんな記事が。 In U.S., death penalty losing favor - among juries - International Herald Tribune アメリカでは90年代の半ばには315ほどの死刑判決が出てたのが、どんどん減っていて昨年は100ほどになったとか。まぁ、こちらは制度の問題ではなくて、陪審員の態度が変わりつつあるという話なんですが。
日本だと﹁死刑は当然﹂みたいな空気がまだ支配的ですよね。 なんかこないだの立てこもり事件でも﹁さっさと殺してしまえ﹂みたいに言う人がいたり。まあ、ああいう事件での狙撃っていうのは死刑制度の問題とはちょっと違うんでしょうけど。でもねー、法務大臣が死刑執行のサインを拒否したりすると﹁嫌なら法務大臣なんかやるな﹂という人はいっぱいいるし、ちょっと死刑制度廃止を言うと﹁被害者の気持ちが理解できない奴だ﹂とか﹁自分の家族が殺されたらどう思うのか﹂とか、ものすごいからなぁ。ひどいのになると﹁そういう奴は一度家族が殺されればいいと思う﹂とかね。そういう発言を﹁野蛮﹂だとは思わんのだろうか。
こういう反応とか見てもね…。 痛いニュース(ノ∀`):﹁前の死刑から、わずか4ヶ月で死刑執行…問題だ﹂ 死刑反対の人権団体や国会議員、抗議声明発表 クズどもが1日生き長らえるだけでいくら無駄な金が使われてんだよ。
殺人犯に人権なんか無いよ
こいつら死刑にされるような極悪非道で後ろめたいことでもやってんじゃねーの?
被害者の家族の前で言ってみろよ
はっきり言って、遺族に対する嫌がらせ以外のなにものでもないな 勘違い偽善者どもめ
死刑廃止論に欠けているものは 死刑判決を受けるのは余程の悪事の結果だという認識
アムネスティが管理責任を持つなら引き渡そうよ 問題起こしたらアムネスティの責任者も死刑
このバカ団体、ばか議員どもに惨殺された殺人現場や遺族の声を聴く機会をもたせろ 普通の人間であれば考えを改めるだろう・・・ ちなみに﹁4ヶ月﹂ってのは﹁また、法務省自身が死刑執行は慎重な判断が必要と言っているにもかかわらず、昨年12月の執行以来、わずか4カ月をおいての執行という早急なものでした﹂という文脈の中で出てきてるものです。﹁慎重な判断﹂なんかしてねーじゃん、てこと。 ま、2ちゃんねるの反応なんて気にするのもアレかもしれませんけどね。
しかし思うのは、こういう発言をする人たちは、アムネスティも EU諸国もトルコも、みんな﹁被害者の気持ち﹂が理解できない﹁偽善﹂的で異常な人間の集団だと考えてるんだろうか、ということなんですよ。国の数からすると死刑を廃止した国のほうがずっと多いわけですけど︵人口比でいけば逆かもしれませんが︶、その国々は全部一様に頭がおかしい、とでも思ってるんだろうか。 死刑廃止・死刑執行停止の潮流は地球規模で広がり、死刑存置国数・死刑執行数は減少の一途をたどっています。世界の死刑執行数は2005年には2148件でしたが、2006年には1591件に減少しました。他方、死刑を執行する国は一部に集中してきています。2006年における死刑執行の91パーセントは6カ国︵中国、イラン、イラク、パキスタン、スーダン、米国︶に集中しています。日本はこれらの国ぐにと並んで、死刑を廃止せず、死刑執行を行なっている数少ない国となっています。 諸外国とは事情が違うから日本では死刑制度は正当だ、という話ならわかります。だけど、仮にそうだとしても、今の世界では死刑は決して﹁当たり前﹂じゃないし、決して﹁デフォルト﹂の選択肢じゃない。我々日本のような死刑存置国は今や少数派なんだってことは、もっと真剣に考えたほうがいいんじゃないかな、と思います。