初音ミクがコスタリカで人気が上がっている理由について、クリプトン社の伊藤博之代表取締役が現地の声をツイートしていた。
中米コスタリカで、「初音ミク」の人気が上がっている理由 - Togetter
しかし、これらの理由に対して、コメント欄で複数の批判があった。
『軍隊を廃止している』っていっても警察と警備隊が軍隊並みの武装で、米軍基地とかで教育うけたりしてるんじゃなかったっけ?警察が対戦車砲持ってたと思ったけど…米州相互援助条約もあるし、米軍がなかったらもっと武力が必要になってると思うけど… でもまぁ、ミクが受け入れられるのはなんだか嬉しいなぁ
fio_fen
2011-01-19 10:52:11
コスタリカには軍隊がなく、日本以外で唯一平和憲章を持つ国。←この電波さえなければ、またとない日本のソフトパワーは世界一ィィ!なまとめだったのに。まさに﹁余計な一言﹂ kamille_a 2011-01-19 13:15:05 たしかに伊藤氏の伝える﹁現地の方﹂の言葉には建前もしくは省略がある。正確には﹁常備軍﹂を廃止したのであって全くの防衛力がないわけではない。それを指摘すること自体は間違っていないだろう。 ただしコスタリカの観光局が公式に下記のような文言をかかげている以上、伊藤氏のツイートを﹁意図的にこんなこと書いてミスリードしようとしてる﹂﹁パンピーの軍事的無知﹂﹁電波﹂﹁余計な一言﹂と評するのは酷にすぎるのではないか。 welcome1 ◆世界で唯一の非武装永世中立国 ◆国連平和大学及び地球評議会事務所設立 ◆アリアス大統領︵当時現役︶ ノーベル平和賞受賞 ◆国家予算の21%が教育費︵2000年度︶ ◆200海里経済水域を世界で最初に宣言 ◆国土の約24%が国立公園︵保護区︶ ◆地球上の全動植物種の約5%が生息 ◆ペンショナード政策・・・年金生活者の受け入れ ◆世界人権裁判所 そもそも、伊藤氏のツイート内容が大きく誤っているわけでもない。
まず﹁中米で最も安定した民主主義国﹂であることや﹁高い教育水準﹂を誇るという情報は、日本の外務省サイトでも指摘されている。 コスタリカ基礎データ | 外務省 ︵1︶中米で最も安定した民主主義国︵1949年制定の現行憲法により1953年から14代の大統領が民選︶、高い教育水準︵非識字率4.8%︵2000年6月国勢調査︶︶を誇る。常備軍の不保持、比較的整った福祉制度が特徴。 軍事力の記載もあるが、﹁29,276百万ドル﹂*1の名目GDPと比較して比率が高いとはいえない数字だ。 ︵1︶防衛・国内治安予算‥約132百万ドル︵2007年︶ ︵2︶兵役‥なし ︵3︶兵力‥1949年憲法により常備軍を禁止。 非武装国家を否定する欲望が先に立つあまり、国家の方針として戦争と距離を取っていること自体まで否定するようなコメントには首をかしげる。 コスタリカの軍事力については、半年ほど前にdondoko9876氏も端的にまとめていた。ニカラグアや日本と比較しながら、順を追って説明している。 http://d.hatena.ne.jp/dondoko9876/20100514/1273836462 人員 コスタリカ︵警察と軍︶ 8,000人 人口比0.22% ニカラグア︵軍のみ︶ 14.000人 人口比0.26% 日本︵警察と自衛隊︶ 804,500人 人口比0.67% 予算 コスタリカ︵警察と軍︶ 予算の5% ニカラグア︵軍のみ︶ 予算の11% 日本︵警察と自衛隊︶ 一般会計予算の11.2% 税収の18.4% もちろん周辺国との関係なども軍事にはかかわってくるので、あくまで上記の数値は参考情報の一つだ。 しかし戦車も保有しているニカラグアに対し、対戦車ロケット砲しか持っていないコスタリカを﹁周辺国の軍隊と一戦交えることができるぐらい重武装﹂﹁軍隊並みの武装﹂と主張するのは、それこそミスリードにすぎるだろう。そもそも、携行式の対戦車火器があれば戦車と同等の兵力になるというものではないという考えが、﹁軍オタ﹂の多数意見とばかり思っていたのだが。 さらにdondoko9876氏は続きのエントリで、コスタリカが外国に干渉されてきた歴史を引き、自制しつつ対等にわたりあってきた巧みな外交手腕を指摘している。 http://d.hatena.ne.jp/dondoko9876/20100515/1273927157 コスタリカも様々な問題をかかえている。けっして夢のような理想郷ではない。だが、空想的でないからこそ、現実として学ぶべきところも多いはずだ。
ただ、ふと思うのだ。 常備軍を持たずに永世中立を宣言し、武装といえばセスナ機や対戦車ロケット砲くらい。イラク戦争で米国支持を表明した大統領に対して学生が憲法違反と訴え、裁判で勝訴するような国*2…… そのようなコスタリカで﹁周辺国の軍隊と一戦交えることができるぐらい重武装﹂というならば、空想的平和主義者でさえ何の臆面もなく堂々とコスタリカ方式を真似るように主張できるのではないか……そういう皮肉な考えも頭をよぎる。