私が小学校4年生のとき,共稼ぎの夫婦から託児の依頼があった。私の同級生の父親が,国鉄(現JR)に勤めていた。同級生の家族は,国鉄職員の宿舎(2階建ての木造集合アパート)に住んでいた。その宿舎は,私の家の近所にある。ある日,その同僚の若夫婦に女の子が生まれた。その母親は看護師で,共稼ぎだった。母親は,仕事を辞める気は無かった。だから,ひと月も休めば,両親共に勤めに出るつもりだ。まだ,寿退社が当たり前の時代である。託児所など殆どなかった。そこで,専業主婦の母に白羽の矢が当たったのである。早々に,その同級生の母親から,母に託児の依頼が来た。 母は最初,人の子を預かるのは無理だと断った。しかし,最後は…