クライアントに振り回されるWebデザイナーに共通した、たった一つの特徴
どうしたらクライアントの納得するデザインにたどり着けるのだろう。と考えたことはありませんか?デザインのフィードバック地獄で苦労したWebデザイナー、ディレクターの方は多いと思いますが、振り回されがちなWebデザイナーの特徴とその対処法について、ケーススタディでまとめてみました。
■クライアントに振り回されるWebデザイナー/WEBディレクターの特徴
■クライアントの指示の6割は違和感の訴え
6割というのは感覚的な話なので気にしないでいただくとして、例え具体的な修正指示だとしても、それは違和感の訴えに過ぎないことが多いです。前述の例だと、ボタンを赤くして欲しいのではなくて、目立たないから強調して欲しいだけだったり、背景が派手なのを少し抑えたいからグレーにしてくれといっているだけだったりします。要は赤でなくてもいいしグレーでなくてもいいのです。違和感を伝えるために自分たちなりに考えて言っているだけなので、それがよい結果を招くものとも限りません。
■クライアントが考えデザイナーはただ手を動かすだけになる
アートディレクター不在時の体制
★このプロジェクトの教訓
発注者は依頼時にプロジェクトの前提事項についての説明を省きがちである。その結果どのようなズレが生じるのかを本ケースより読み取っていただきたい。またアートディレクターがいない体制時に起こりがちな「イメージの共有がうまくいかない」「フィードバックがうまくいかない」という問題についても、どのようにしたらうまくいくのかを考えながら読み進めてほしい。
■発注時のイメージ共有
![宣伝部山戸主任:「パッケージはほぼ完成しているので、それを元にサイトを展開すれば大きな問題はありませんよね?」、楠木主任:「そうですね。売り場で目立つようにインドっぽい雰囲気が強いパッケージなので、サイトの方はもう少し間口を広げるように、テイストの調整が必要かもしれません。あとはコンテンツですが……」、宣伝部山戸主任:「一般に浸透度の高いインドカレーのレシピを入れることで間口を広げようと思っています」](http://rk611.sakura.ne.jp/photo/bookprom/bookprom_02.jpg)
![図1:商品とデザインのポジショニング](http://rk611.sakura.ne.jp/photo/bookprom/bookprom_06.jpg)
■「ポップなインドカレー」の解釈
![楠木主任:「渡せる素材はパッケージで使っている商品ロゴと商品写真、パッケージの画像データ一式、あとは商品開発時の商品コンセプトをまとめた資料です。基本的にはパッケージの世界観を壊さないような Web サイトにデザインしていただければと思いますが、パッケージはインドのテイストが若干強いので、もう少し和らげるというか、間口を広くアピールできるものにしていただきたいですね」、ニルヴァーナデザイン蓮池:「確かにインドカレーというと『激辛』とか『本格派』という硬派なイメージもあるから、もう少しポップにする感じですかね?」、楠木主任:「まあ、ポピュラーという意味で、ポップにしてほしい、とは言えますね…」](http://rk611.sakura.ne.jp/photo/bookprom/bookprom_03.jpg)
■ムードボードでズレを埋める
![イラスト:デザインのずれ](http://rk611.sakura.ne.jp/photo/bookprom/bookprom_04.jpg)
![図2:ムードボードでイメージのズレを説明](http://rk611.sakura.ne.jp/photo/bookprom/bookprom_05.jpg)
![ニルヴァーナデザイン蓮池:「なるほど、そっち方向でしたか。すっかり勘違いしていました。なんというか『カフェで出てきた意外と本格派なチキンカレー』みたいな方向ですよね」](http://rk611.sakura.ne.jp/photo/bookprom/bookprom_07.jpg)
とばつが悪そうに答えた。言葉にできなかったイメージを蓮池が的確に表現してくれたことで、今回は意図が伝わったことを確信できた楠木主任であった。
■指示した通りのデザイン…
![図3:修正指示書](http://rk611.sakura.ne.jp/photo/bookprom/bookprom_08.jpg)
![イラスト:修正フィードバック地獄](http://rk611.sakura.ne.jp/photo/bookprom/bookprom_09.jpg)
■Analytics 【分析】
●依頼時の課題
●修正指示時の課題
![図3:修正指示の分類。アートディレクションスキルが要求される領域](http://rk611.sakura.ne.jp/photo/bookprom/bookprom_10.jpg)
(一)アートディレクション (一)ページ内のボタンを﹁赤に﹂という指示 (二)タイトル周りの象の装飾に﹁イメージと違います。象じゃなくてトラを入れてみては?﹂という感想 (二)表現方法に関する要望・指摘 (一)﹁画像サイズを合わせてください﹂という指示 (二)余白の間隔をピクセル単位でそろえさせる指示 (三)要件達成に関する指示・要望・指摘 (一)ラベル修正の指示 (二)写真を差し替えさせる指示 デザイン自体に正解がないように、デザインの修正指示にも正解は1つではない。だが﹁どのような表現方法にするか?﹂というデザインを考える部分︵アートディレクション︶について明確に担当を線引きしておかないと、このケースのようにどちらがデザインしてるのかわからなくなる。 ページ内のボタンを﹁赤に﹂というような明確な指示は、デザイナーにとって深く考えずにその通り実行するのが手っ取り早い解決手段となってしまう。十分な経験があったり機転が利くデザイナーであれば、なぜ﹁赤に﹂という指定なのか? 決して﹁赤がよい﹂わけではなく、強調させたい、もっと目に付かせたいというだけかもしれない。だとしたら赤以外でもっと適切な表現がある、と考えるだろう。 この場合は﹁このボタンをもっと強調したいので、デザインを提案いただけませんか?﹂というようにデザイナー側に意図を伝え、表現方法の提案を持ちかける方法がよく取られる。
同様に、タイトルまわりに入った象のイラストに対する「イメージと違います。トラを入れてみては?」というフィードバックも同様に指示に近い。「タイトルまわりはもうすこし落ち着いたものにしたい。色はアーシーカラーなどのようなものでまとめたい。象のイラストは、異国情緒がありすぎるように思います。何案かご提案ください」というフィードバックはどうだろうか。ただし、あらゆる内容に何案も求めることも余計な工程となる場合があるので、ディスカッションで結論を出せればそれに越したことはない。
※以上Webデザイン受発注のセオリー(P192〜P199)より抜粋。イラスト:ケン・サイトー
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■最後に
![Webディレクション系の本を何冊か調べ物をしているんだけど、まぁ予想通りというか、あたりさわりのない本が多い。ところが、たまたま手にとった「Webデザイン受発注のセオリー」という本が、リアルで、辛辣で、笑えて、よかった。](http://rk611.sakura.ne.jp/photo/bookprom/bookprom_11.jpg)
https://twitter.com/keitamatsubara/status/211745957157675009
![「Webデザイン受発注のセオリー」ってのを読んでるけど参考になる デザインの仕事で生じるコミュニケーションミスの話など タイトルにwebデザインとあるけど、デザイン/広告全般にも当てはまるhttp://amzn.to/sdItHF この内容をみんな読んだら仕事楽になるんだがね…](http://rk611.sakura.ne.jp/photo/bookprom/bookprom_12.jpg)
https://twitter.com/ishib/status/133727836212178945
![これ読んだ。修正のときデザインを具体的に指示しすぎると何故駄目なのかわかった。目から鱗。→Webデザイン受発注のセオリー デザインコントロールが身につく本 by 片山 良平](http://rk611.sakura.ne.jp/photo/bookprom/bookprom_13.jpg)
https://twitter.com/sabatorashiro/status/120887255815557120 ともかく、クライアントの指示書に振り回されないようにする為には、相手の真意は何かを考え、デザイナーとしての役割かは何かを意識して動くことが出来れば価値の高いデザイナーになることが出来るのではないかと思います。
「Webデザイン受発注のセオリー」にはこの他にもあと6つほど、受託やっていれば笑えつつ、ある意味笑えないケーススタディが収録されていますので是非お買い求めくださいw
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