続・「ダサピンク現象」について―だから、「ピンクが嫌い」って話じゃなくてさぁ…
前回記事﹃残念な女性向け商品が作られてしまう﹁ダサピンク現象﹂について﹄を書いたところ、思いの外反響があって驚いた反面、私の言ってることを誤解している人もチラホラいるようなので、続きを書いておく。
そう?元記事の人からはピンクに対して憎しみすら感じたけど
おっさんが勝手に決めてるだけで女性はピンクなんて好きじゃないくらいの勢い
実際は女性が好むから用意してるってことを主張したかった、嫌がらせで出してるわけじゃなくてマーケティングもした結果なんだと
http://anond.hatelabo.jp/20141124040100
この人に限らず、チラホラこういう捉え方をしている人がいたけど、あの内容でなんで私がピンクを憎んでるっていう話になるんだろう… ﹁﹃ピンク=ダサい﹄という意味ではない﹂﹁肝心のデザインがダサいから﹂﹁ピンクで可愛くてフェミニンなものを好む層は一定数いる﹂﹁でもそういう人はこだわりを持っているから、ナメてかかってはいけない﹂って書いたはずなのに。もっとも、﹁私はピンク好きだけど、おっさんが想像してる﹃女性ってピンクにしときゃいいんでしょ﹄的なものはいらない﹂という内容の反響も沢山あったので、その人たちには意味は通じていたのだろう。
﹁ドラマの中で必然性もないのに出てくる恋愛要素はいらない﹂﹁恋愛モノだろうがイケメン入れようが、ドラマとして面白くなければ観ない﹂という話に対しては、﹁恋愛モノに対する憎しみを感じる﹂﹁イケメンに対する憎しみを感じる﹂と言う人は、今のところ見かけていないけれど、ピンク云々に関しては、﹁ピンクに対する憎しみを感じる﹂と言う人がチラホラいたのは、なかなか興味深い現象だ。どちらも同じことを言っていたはずなのに。ダサピンク現象と創英角ポップ体問題の根は深いらしい。
もちろん、何種類かカラーバリエーションを用意しておく中にピンクが入っているのは、様々なジャンルの映画を用意しておく中に恋愛モノも入っているのと同じで、何も問題はないよ。
﹁自動車メーカーの男性社員は、女性は丸っこくってピンク色っぽいかわいい車が好きだと決めつけてきましたが、とんでもない誤解でした﹂
アンケート用紙に、女性たちの信じられない本音が記されていたのである。
﹁黄色ナンバーだからってナメられたくない﹂
﹁信号待ちで登録車に負けたくない﹂
女性は﹁かわいい車﹂に乗りたがり、走行性能には興味がないというのは完全に男の思い込みにすぎなかったのだ。実際、N−ONEの総販売台数のうち、実に30%がターボ付きだという。
ホンダのNシリーズが女性に大ウケ ﹁かわいいピンク好き﹂はとんでもない誤解 (1/4ページ) - SankeiBiz︵サンケイビズ︶
これに関しては、﹁その﹃女性﹄というのは、一体、どの年齢層の、どういうタイプの女性を想定しているの?﹂と聞きたくなってくる。自動車ということは、ターゲットは18歳以上の女性であるはずだ。
では、具体的に﹁丸っこくってピンク色っぽいかわいい車﹂が似合いそうな18歳以上の女性芸能人を思い浮かべてみると、きゃりーぱみゅぱみゅ、道重さゆみ、小倉優子、柳原可奈子、かつみ・さゆりのさゆり、アジアンの馬場園、千秋あたりだろうか︵田村ゆかりは17歳なので除外︶。どうなんだろう。この女性たちは、﹁女性一般﹂を代弁していると言えるだろうか。むしろ、けっこう個性的な面々だと思うけど。そして、﹁ピンクで可愛いものは好きだけど、ダサいものは嫌﹂という意識を持っていそうな女性たちでもあると思う。
では、多部未華子、北川景子、水原希子、AI、土屋アンナ、澤穂希、鳥居みゆき、篠原涼子、荒川静香といった女性たちはどうだろう。彼女たちには、どういうデザインのものが似合うだろうか。
こういうふうに考えていくと、﹁丸っこくってピンク色っぽいかわいい車﹂は、決して女性一般に当てはめられるものではなく、﹁そういうのが似合うタイプの女性もいる﹂程度でしかないということになってくるだろう。
浅木たちのチームは、綿密な市場調査やクリニックと呼ぶユーザーを交えた検討会など、市場との対話を繰り返した。そして、そこから軽のメーンユーザーである母親たちの潜在ニーズがうっすらと見えてきた。
自転車で通学している中学生や高校生の娘がクラブ活動や塾で帰りが遅くなると、心配になった母親はクルマで迎えに行く。だが、ほとんどの軽は、女性の力では自転車を積み込めなかった。娘は翌日に自転車がなくては困るので、親の言うことを聞かずに夜道を無理して自転車で帰ってくる−。
こんな不満を母親たちは持っていた。しかも軽には自転車が積み込めないものと初めからあきらめていた。
想定以上に売れた﹁N BOX﹂ 危機に見舞われると強くなる“ホンダイズム” - SankeiBiz︵サンケイビズ︶
上の例では、ターゲットを、漠然とした﹁女性﹂ではなく、﹁部活帰りの子供を迎えに行く母親﹂という具体的な像で捉えたことにより、ダサピンク現象が回避されている。
角利産業は女性向け工具の開発もしています。性能と軽さに配慮したのはもちろんですが、実は、一番の売り物は﹁シンプルな木目の柄︵え︶﹂。商品企画室の森山隆之さんは﹁自分好みにデコレーションできるように余白がほしいと教えてもらいました。意見を聞かなければ、うっかりピンクにするところでした﹂と話します。
複雑な女性の心をうまくキャッチした新潟の逸品が生まれています。
︻特選!ふるさと元気の素︼DIY女子向け工具、ツボは何? - SankeiBiz︵サンケイビズ︶
こちらも、実際に女性の意見を聞いてダサピンク現象を回避した例。記事の結びが﹁複雑な女性の心を﹂となっているけれど、ここは﹁DIY好きの女性の心を﹂と言ったほうが良いんじゃないかと思う。DIY好きだから、工具の柄も自分で改造したいということなんだろう。もっとも、仮に改造を施さなかったとしても、ピンクよりもシンプルな木目のほうが好きだという女性も沢山いると思うけどね。
両者に共通しているのは、﹁女性﹂向けであるということ以外に、﹁部活帰りの子供を迎えに行く親﹂﹁DIY好きの人﹂という、具体的なターゲット像を持ったことによって、ダサピンク現象を回避したことだ。これは、前回記事で書いた﹁その層︵ピンクで可愛くてフェミニンなものが好きな人︶を狙い撃ちすることを意識して作られたものと、漫然と﹃女性ってピンクでかわいいものが好きなんでしょ?﹄という認識で作られたものは、やはり違うと思う。﹂ということに繋がってくる。つまり、具体的に﹁ピンクで可愛くてフェミニンなものが好きな人﹂をターゲットにして作られたピンク商品は、ダサピンクではないということだ。私は、﹁LIZ LISA﹂や﹁Angelic Pretty﹂のピンクワンピースに対して、﹁女は全員ピンクが好きだと思うな﹂と言っているのではない。こういったブランドは、ターゲット層の好みを押さえた商品を作っていて、最初からそれ以外のものを好む女性は切り捨てているからだ。
脱ダサピンク宣言ーその2 | ShortNote こちらの記事は、﹁生理予測アプリ﹂﹁女性向け スマートフォン﹂﹁女子力﹂で画像検索した結果と、実際に女性からの支持を受けている﹁ことりっぷ﹂﹁OZマガジン デザイン﹂で画像検索した結果を比較しているのだけれど、私も実際に自分で画像検索してみたところ、前3つのキーワードは本当にピンクピンクしていて、予想以上の結果だった。 ダサピンク商品は、車、家電、携帯などの電子機器、ロードバイクなどのスポーツ用品でよくある気がする。一方、服飾方面はというと、﹁バッグ レディース﹂﹁トップス レディース﹂﹁靴 レディース﹂などのキーワードで画像検索してみると、ピンクもあるけれど、全てがピンクというわけではなく、色々なカラーバリエーションがあるというような結果になる。﹁女性誌﹂で画像検索してみても、ピンクもあるけれど、ほぼ全てがピンクということにはならない。ピンク系の色が多いと思われるネイルの分野でも、かなり様々なカラーバリエーションがある。 女性は、好きな色も、似合う色も、けっこうバラバラだし、確かに可愛いものが好きな女性は多いけど、大人っぽいもの、クールなもの、シンプルなもの、エレガントなものを好む女性だって多い。歳を重ねるにつれて、好みや選ぶものが変わっていったりもするしね。 ところで、一昔前には、赤もまた女性を表す色として強く認識されていたと思う。私が子供の頃は、ランドセルの色は黒と赤のほぼ二種類だけで、ピンクはまだまだ珍しかったし、幼少期に見た子供向けテレビ番組の中にも、赤い上着を着ている男の子が﹁女の色だ﹂とからかわれ、そこから﹁男の色、女の色とは何か﹂という話になっていく内容のものがあった。東京五輪の時には、選手が開会式に着た真っ赤なブレザーに、﹁日本男子に赤い服を着せるなんて何事だ。けしからん﹂と抗議が来たという。 女児だけでなく、大人の女性も含めて﹁女性向けといえばピンク﹂と強く意識されるようになったのは、もしかしたらわりと近年のことなのではないだろうか。代わりに﹁赤=女性﹂という意識は、以前ほどではなくなってきていると思う。一方、﹁黒=男性﹂という認識は、男性向けスイーツのパッケージがやたら黒いことを見ると、今でも変わっていないのかもしれない。 一方、近年は水色も女の子の人気色だけど、これはサンリオのキャラクター﹁シナモン﹂の影響が大きいだろう。 まぁピンクって難しい色だよね。私は、サーモンピンクのような黄味がかったピンクや、彩度の高いショッキングピンクや、ベビーピンクのような色味の薄いピンクは、あまり似合わないらしい。モーヴピンクあたりなら使える。実際、メイクにはモーヴピンクを使うこともある。でも、服や小物に関しては、ピンクのものはほとんど持っていない。ネイビーやワインレッドなどの色のほうが、自分に似合うタイプのピンクよりも出回っているので、あえてピンクを選ぶ必要性を感じないんだよね。私は大人顔なのだが、落ち着いた大人っぽいピンク商品というものがなかなか無く、それならば別のもののほうが良いということになるので、自然と手に取る機会がなくなってしまうのだろう。 大人のピンクいえば、淡谷のり子氏が、晩年に﹁私もピンクが似合う歳になりました﹂と言った逸話があったけど、確かに、髪が白くなると、これまでよりも明度の高い色が似合うようになるのはあると思う。 ︻ダサピンク現象関連リンク集︼ とりあえず﹁ピンク﹂って、手に取りにくい - 田舎で底辺暮らし セブン銀行女性向けキャッシュカードのデザイン投票の件。典型的なダサピンク現象。これ確か、4番の黒い﹁フォーチュン﹂がダントツの1位で、2位が1番の﹁フラワー﹂だった。女性が働くことを﹁女性が輝く﹂って表現するの、﹁キラキラ差別﹂に似てるよね。家事育児をする男性も応援してあげて! ところが、セミナーの副見出しに ﹁目指せ!理系マドモワゼル!!理系女子力UPセミナー﹂ ﹁可愛くおしゃれに理系を目指してみませんか?﹂ とあって、なんか﹁??﹂だったりします。 それともお客さんを増やすために、 あえて奇抜な演出をしたのでしょうか? 理系マドモワゼル 理系女子学生を増やそうという企画に﹁美人理系マドモワゼルが魅力教えます﹂﹁可愛くおしゃれに理系を目指してみませんか?﹂などといった見出しをつけるのも、ダサピンク現象の一種だ。一方、﹁東北大学 女子学生入学100周年記念事業の応援メッセージ﹂は、ダサピンクになっていない例だと思う。 私はこのスースー感が大っっっ嫌いです。男性用洗顔料にメントールが入っている理由はわかります。洗顔した後にスースーすると、俺は顔の汚れをキレイに洗い落としたぞ!という満足感が生まれるんです。 でも、私はそれが駄目なんです。メントールによる﹁スースー感の押し売り﹂を、否が応にも感じてしまいます。﹁どうせ男はスースーしてるのが好きなんだろ?ほら、メントール入れといてやったからwwww﹂みたいな。 ﹁男性用洗顔料はスースーさせとけばいいだろう﹂問題について / あるいは僕が最高の洗顔を探し出すまでの軌跡 - 更地 男性版ダサピンク現象の代表格は、男性用化粧品がやたらスースーすることと、男性向けスイーツのパッケージがやたら黒いことだと思う。 ﹁キューティ・ブロンド﹂の原題って、﹁Legally Blonde﹂だったのね。
︹追記︺ 続きを書きました。 続々・﹁ダサピンク現象﹂について―上層部のおっさんの﹁無知の知﹂という問題