スマホの次はヒアラブル!No.1
ここ1年、「スマホの次は何か?」ばかり考えてきた
2016/11/30
ディズニーランドに家族で向かっていたときのこと。満員電車で2歳の子どもを両手で抱えていたら、同じく両手に荷物を抱えた妻から﹁今日の天気知ってる?﹂と聞かれました。
私はスマホの天気アプリを見るべく、﹁右ポケットだったかな? 左だったかな?﹂と子どもを右に左に持ち替えながら、ジーンズの奥深くに眠るスマホを手探りし、同じポケットに入っていた定期入れを落としそうになりながらやっとの思いで取り出し、ロック番号を片手で不器用に入力し…︵以下省略︶。
﹁私は天気を知りたいだけなのに、一体何をやっているのだろうか? こんなときに手を動かさずに天気が分かったら何て便利だろう!﹂と心底思いました。
5年以内にスマホをしのぐようなデバイスが生まれる?!
iPhoneが発売されたのが2007年1月。あと数カ月でスマホが誕生して丁度10年になります。たった10年でこれだけ世界を変えたのは本当に驚くべきことで、当分の間スマホがなくなることはありえません。しかし一方で、もしかしたらこれから5年以内に、スマホをしのぐような世界を変えるデバイスが生まれるかもしれません︵技術進化のスピードが加速していることを考えると、決して不自然ではないと思います︶。 実際、スマホをけん引する二つの代表的企業はスマホの﹁次﹂にすでにチャレンジしているようです。グーグルは﹁Google Glass﹂︵2012年頃~︶を、アップルは﹁Apple Watch﹂︵2015年4月~販売中︶を開発しました。しかし、グラスは現在一般発売を停止中、ウォッチもまだiPodやiPhoneに比べると爆発的な広がりには至っていない様子です。 そのような中、一体どのようなデバイスが次に来るのでしょうか? ここ1年以上、そのことが頭を離れません。 まず考えたのが、スマホの不便な点でもある﹁手﹂と﹁目﹂の機能を奪われないこと。そのためには、ウェアラブルなデバイスであることが必須です。そしてウェアラブルであるならば、次の三つの条件を満たすものこそが、﹁スマホの次﹂を担うにふさわしいデバイスであるという仮説を思い付きました。カツラ、指輪、コンタクトレンズ…365日24時間身に着けられるものは?
私の考える、﹁スマホの次﹂を担うために必要な条件となる三つの仮説はこちらです。![ウェアラブルの3仮説 ①小さいほどよい ②体(顔や脳)に近い方がよい ③より長く身に着けられるとよい](https://assets.dentsu-ho.com/uploads/ckeditor/pictures/23262/content_4710_hearable___01.jpg)
﹁顔﹂に近い方がよいのは、その付近に感覚を司る︵=情報をインプット/アウトプットできる︶器官が集中しているからです。
また、それらの情報を処理する機構が﹁脳﹂であり、将来的には脳から直接情報のやりとりができる可能性もあるからです︵例えば、脳波によるコミュニケーションや、脳内にイメージを思い浮かべるだけのアプローチなど︶。
もっと言えば、最終的にデバイスはウェアラブルやインプラント︵埋め込み︶を通り越すでしょう。赤血球ほどの小さな﹁ナノボット﹂となって体内に入り、病気を治すものになるので、﹁人間は死を超越する﹂といった極端な︵?︶議論もあります︵気になる方はレイ・カーツワイル﹃シンギュラリティは近い―人類が生命を超越するとき﹄などを読んでみてください︶。
ちょっと話が脱線しましたが、この仮説に照らすと、グラスはスマホより小さいかは微妙ですし、ウォッチもスマホより顔や脳に近いかは微妙に感じられます。一方で、双方ともにより長く身に着けることは可能ですが、寝るときなどはスマホの方が枕元に置いて寝られるので、使いやすいかも知れません。
やはりここは、三つの仮説全てに対して完璧に応えるものを探したい。そこで私は、﹁カツラ﹂﹁ネックレス﹂﹁指輪﹂﹁つけ爪﹂﹁イヤリング﹂﹁入れ歯﹂﹁コンタクトレンズ﹂…さまざまな可能性を出来る限り網羅的にマッピングしてみました。
![ウェアラブルデバイスマッピング](https://assets.dentsu-ho.com/uploads/ckeditor/pictures/23230/content_wearable-device-mapping____4.jpg)
こうして考えていった結果、先に示した三つの仮説は、私の中で次のように転換されていきました。
![ウェアラブルの新・3仮説 ①小さいほどよい⇒ 最終的にはナノボットになる ②体(顔や脳)に近い方がよい ⇒ 最終的には体の内部に入る ③より長く身に着けられるとよい ⇒ 違和感なくいつも体内に存在する](https://assets.dentsu-ho.com/uploads/ckeditor/pictures/23263/content_4710_hearable___02.jpg)
これらはまだ空想上の遊びに近く、仮説レベルではありますが、ある日、私は現在の技術水準で、この中間的なものがあることに気が付きました。それが聴覚のウェアラブル化です。