人材マネジメントの基本は、「人」と「仕事(職務)」である。前回は「仕事(職務)」についてのグローバル共通のモノサシ・ツールについて解説したが、今回は、「人」にフォーカスをあて、能力可視化のモノサシ・ツールである「コンピテンシー」を紹介したい。

始まりは外交官の
パフォーマンス研究

ヘイ・マクラレンドセンターの創始者、マクラレンド博士

 時は1970年代。ハーバード大学教授であったマクレランド博士は、米国国務省から若手外交官の選抜方法改善の依頼を受けた。外交官と言えば、スーパーエリートの集まり。有名大学を卒業し、外交官の採用試験を優秀な成績でパスした将来有望な人材がそろっていたはずである。ところが、その後外交官として活躍する人材も確かに存在する一方で、まったく業績を上げられなかったり、中には潰れてしまう人材も存在した。しかも、詳細な調査の結果、採用試験の成績と、その後の外交官としてのパフォーマンスには、相関が無いことが判明する。


 23