AKB総選挙「指原1位」、ホントにそれでいいの!?
公平な選挙制度が持つ「光と影」を考える
今年もAKB48の総選挙︵正式名‥AKB48 32ndシングル 選抜総選挙、別名‥第5回AKB48選抜総選挙︶が行なわれた。1位となったのはご存じのとおり、指原莉乃である。読者の皆さんは、この結果を聞いてどう感じただろうか?
多くのメディアは﹁予想外﹂と伝えた。しかし、僕が感じたのは、﹁予想外﹂ではない。一種の虚無感である。今回の総選挙、速報で指原が1位であることが発表された段階で、多くの人も同様だと思うが、僕は彼女がそのまま1位になるような予感はあった。だから、指原が1位になったことは、けっして﹁予想外﹂のことではない。
しかし、最終結果が出た時に感じた﹁ああ、ホントに指原が1位になっちゃったんだ﹂という感覚。それは虚無感とか脱力感ともいえるものだった。AKB48に関心を抱く日本人の多くが感じたものだったのではないかと思う。今回はその虚無感、脱力感の本質を探りつつ、選挙のあり方についても考えてみたい。
﹁指原1位﹂に感じた違和感
まずは、AKB総選挙を振り返りたいが、僕はこの選挙結果を都内某所のとあるカジュアル・レストランで、娘と食事をしながらテレビで見ていた。特に注視していたわけではないが、それでも上位の発表あたりから少しずつ気になり始め、娘と一緒にその結果について語り合っていた。店内にいた他のテーブルの客もそんな感じだった。
しかし、3位に渡辺麻友の名前が発表されたあたりから、店内に妙な緊張感が漂い、それまでテレビをチラ見しながら談笑していた客が︵僕らもそうだが︶、テレビに注視し始めた。
この時点で、残っているのは大島優子と指原莉乃の2人。もし、次の2位に大島優子の名前が呼ばれてしまったら、指原莉乃の1位が決定である。﹁まさかね…﹂。そんな﹁不安感﹂が、さして広くはないレストランの店内に充満してしまっていた。そして、その不安は的中し、大島優子の名前が呼ばれてしまった。つまり、指原莉乃1位決定。その瞬間、店内には何ともいえないシラケた空気が漂ってしまったのだ。
これはレストランにいた、AKBファンでも何でもない一市民だけの反応ではないようで、各種メディアの報道によれば、総選挙の会場であった日産スタジアムでは、大島優子が2位に確定した段階で多くのファンが席を立って帰ってしまったという。
要するに、多数の人間が﹁指原1位﹂の結果に違和感を持ったということだ。指原ファンには申し訳ないが、これが今回のAKB総選挙の結果に対する、多くの人の反応である。
では、その違和感とは何だったのか、なぜ違和感を感じたのだろうか――。それはたぶん、指原個人に向けられた違和感ではないと思う。そうではなくて、指原を1位にしてしまったファンの投票行動に対する違和感だったと思う。