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▲ディライトワークスの田村祐樹氏。テクニカルディレクターとして、クライアント/サーバ/インフラ/マネジメントまわりを担当している。現在は﹃Fate/Grand Order﹄のデータベースチューニングなども行っている。 まず始めに田村氏は、組織にはそれぞれステージがあり、急拡大する企業はあっという間に必要となる振る舞いも変化していくと話す。
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▲最初は売り上げを伸ばすところから始まり、人材採用、組織化、海外展開、そしてコストカットと、どの企業においても主な流れは変わらない。 その中で、下記の課題や現場の声はどのステージにおいても抱えているものだという。 ︻組織の課題︼ ・優秀なエンジニアが採用できない ・大きな責任を任せたエンジニアから退職してしまう ・エンジニアのモチベーションが維持できない ・エンジニアにとって良い組織とは言えない…… ︻現場の声︼ ・ずっと同じことばかりやっていて成長できない ・責任だけ大きくて給与もあがらないリーダーになるのは損だからなりたくない ・経営陣やマネージャー陣はエンジニアのことを理解してなさすぎる では、エンジニアに特権や高給を与えればこういった不満は解消されるのか? 答えはノーだと田村氏は話す。問題の根底は﹁採用﹂﹁育成﹂﹁評価﹂が正しく機能していないことにあり、これらの点については、そもそも大企業ですらまともに機能していない実情があるという。組織の規模が大きくなれば自動的に解決できる問題でもないため、マネージャや部長が意識的に改革していかなければならない。
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ここからは、急拡大する組織で実際に何が起こったのかを見ていく。 成長期の企業は、組織として機能していない状態が長く続くことで、すべてが人に依存した状態になってしまう。さらに、﹁お金がない︵安定収益がない︶﹂﹁優秀な人が少ない︵こない︶﹂﹁知名度がない︵ブランド力がない︶﹂﹁やりたいことができるほど余裕がない﹂と無いものだらけであると田村氏は話す。 しかし、成長期だからこそ強みになる部分もあり、﹁不確定な状況での意思決定の連続﹂﹁やったことがないことでもやれる﹂﹁変化に対応する力が身につく﹂﹁様々なステージを経験できる﹂ということを活かせば変化に対応する力が身に付くと利点を挙げた。ただし、何もないところから始めるため人は選ぶとのこと。 そして、ここで間違えてはいけないのが”無闇に人材を採用してはいけない”ということだ。人は増えたものの質が下がり、開発効率が低下することでコストが増大してしまう。しかし、売り上げは急拡大しないため開発失敗するゲームが出てくる。結果、財務状況が悪化し、優秀な人材は会社を去り、会社そのものの死を招くという負のサイクルとなるためだ。
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状況の悪化を防ぐには﹁採用﹂﹁育成﹂﹁評価﹂のサイクルを回すことがポイントとなる。
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▲本セッションでは、継続的に企業が成長する方法として、どのステージも起こる人的課題に対し、3つの役立つポイントをお伝えしていく。 ●組織の拡大時にエンジニアリング・マネージャーが抱える課題と実例 現場では、やることは無限にあるが、やらないと何も進まないということが往々に存在する。
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これを自分ひとりでやろうとしても結果として中途半端になってしまうため、”採用と権限委譲”が重要だと田村氏は話す。ここには、例え﹁心配だから自分でやろうと﹂いうよかれと思った気持ちがあったとしても、それは他の人の成長を妨げることにもなってしまうからだという。時には人を信じて任せることが必要だとのことだ。 組織として成長できれば自身も周囲も成長するため、採用を行う際は”今だけ必要な人”を採らず、”組織を共に成長させられる人”にならざるを得ないと自身の基準を語った。さらに、組織が抱える問題を解決するためにも今できないこともどんどん人に任せ、経験の有無を問わずリーダー・マネージャに選出するべきだと述べた。 そして、ここでマネージャが意識すべきことは全ての問題を解決することではなく、﹁正しく問題を発見すること﹂だと話した。また、逆にエンジニアリング・マネージャがしてはいけないことについても発表。
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田村氏は、これまでの経験から10点満点で10点を取れなくても平均3~5点を取れる何でも屋を意識することが解決に繋がると語った。
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ポイントとして、”同じことを続けず、できることは人に任せ常に成長を意識し採用と権限委譲をすること”が重要だとまとめた。 ●エンジニアの見極めとアサイン
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続けて田村氏は、技術的なところ以外で組織が抱える問題は数多く存在するが、こういった際は物事に正解はなく任せてみないと分からないため、とにかく﹁決める﹂ことが重要だと話す。 ︻組織が抱える問題の一例︼ ・やらなくて良い苦労をしている︵共有不足︶ ・なぜそれをやるのか理解していない︵確認不足︶ ・コミュニケーション不全︵チーム力不足︶ ・他責が横行している︵責任者不在︶
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また、下記の理由から、人に任せるときはしっかりと動機付けをしなければいけないという。 ・適当に任せても上手くいかない →﹁やっておいてください﹂と一方的に伝えない ・﹁指示出し﹂やマイクロマネジメントはしない →﹁リーダーはこうすべき﹂など指示型では自分で考えない ・﹁何をするか﹂は直接対話し自分で考えさせる →﹁自分で﹂が大事︵否定せず﹁してほしいこと﹂を伝える︶ ・﹁挑戦し、できたこと﹂はきちんと評価する →任せたことをやって当たり前ではない さらに、﹁何故言った通りにやらないんだ﹂と怒ることは厳禁だとした。これは、怒られることで指示を求めて動こうとするようになり、言われてないことはやらない﹁指示待ち人間﹂になってしまうからだ。もちろん、企業全体が傾くようなリスクは回避しなければならないが、リスク管理をしつつ失敗を許容するゆとりを持つことも必要とのこと。
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本項目の最後には任せるときの目安として﹁他責ではなく自責の人﹂﹁何のためにするのか理解できる人﹂﹁自分で抱えず人に任せられる人﹂といった点を挙げ、逆に組織批判をする人間には役職を与えてはいけないと強く念押しした。
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それらの点を踏まえたうえで”人選に正解はなく、人を信じ支えてリスク管理し、どんどん任せること”がポイントになるとまとめた。 ●エンジニアのキャリアパスと生存戦略 最後は﹁評価﹂についてだ。田村氏曰く、マネージャorスペシャリストという2軸のキャリアパスは存在しないという。これは、評価できないものだからだと理由を説明した。 ここで、年収を上げるにはどういった考えが必要になるかが語られる。”給与とは組織からの未来の成果に対する投資”であるため、組織が期待する行動、能力に見合った応え方をするかどうかで決まるという。また、給与を決める側も﹁上がらないと可哀想だから﹂という理由で給与を上げてしまうと組織が破綻するとのこと。
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説明を求められたときに明確な答えを返せる必要があるため、主観ではなく客観的な事実に基づいて評価することが重要だとのことだ。
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▲こうした評価を蔑ろにしていると、人は成長せず離れていくことになる。 ここでは、”成したことだけが評価に繋がる”、”正しく評価せよ/されよ”という点がポイントになるとまとめた。 ●講演のまとめ ここまでの話を基に、では優れたエンジニアが集まり継続的に成長する会社にする方法とは下記の通りである。 ●組織が向かう方向と沿う人を採用する ●人に成長に繋がる責務を任せる ●人が成したことをきちんと評価する
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冒頭にも述べられた通り、﹁採用﹂﹁育成﹂﹁評価﹂のサイクルを上手く回すことが組織の成長に繋がるとのこと。最後に、”自らと向き合い自分が成長し続けられる環境に身を置くことで人生が豊かになる”として講演の締めとした。 ︵文・撮影 編集部‥山岡広樹︶ ■関連サイト CEDEC2017
会社情報
- 会社名
- ディライトワークス株式会社
- 設立
- 2014年1月
- 代表者
- 代表取締役 庄司 顕仁