2020年オリンピックの開催地決定まであと1ヵ月。だが、招致活動の詳細を知る関係者の間では、東京開催はすでに揺るぎない事実になっている。東京の姿を激変させる﹁世界の祭典﹂。あとはもう、正式発表を待つだけだ。
2回目の決選投票で東京に決定
2013年9月8日の日曜日は、日本中が明るいニュースで目を覚ますことになる。1964年以来となる56年ぶりの夏季オリンピックが、日本に、東京に戻ってくる。
2020年のオリンピック開催地は、9月7日(現地時間)にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで行われるIOC総会の投票により決定される。だが、その日を前にすでに大勢は決した。財務省の官僚たちは、東京オリンピック開催決定を前提に動き出している。
﹁招致推進議員連盟の会長を務めるのが麻生太郎財務大臣ということもあり、確たる情報を得ているのでしょう。省内はオリンピック開催で景気が良くなるので、消費税増税も支障がなくなったと考えているようです。
アベノミクスの第3の矢として放った﹃成長戦略﹄は、中身がないなどと批判を浴び、株価も揉み合いが続いていますが、オリンピック開催が決まれば株価も上がる。これぞ究極の成長戦略ということでしょう﹂(財務省担当記者)
思えば2016年のオリンピック開催に名乗りを上げた4年前は、1次選考でトップの評価を得ながら、実際の投票では、リオデジャネイロ(ブラジル)に逆転を許した。
今回、立候補しているのは東京、イスタンブール(トルコ)、マドリード(スペイン)の3都市。7月3日には、この3都市がIOC委員の前で開催計画を説明する﹁テクニカル・ブリーフィング﹂が行われた。
その様子を現地取材したスポーツジャーナリストの松瀬学氏が語る。
﹁現地取材の感触では、東京とマドリードが並んでいて、少し後からイスタンブールが追っているという印象でした。イスタンブールはデモなど政情不安があるうえ、インフラ面などでの整備不足も否めない。マドリードはスペインの財政危機がネック。計画、都市力を冷静に判断すれば、東京が有利です。
ただし、長らくIOCを牽引してきたサマランチ前会長(故人)がスペイン出身で、その息子がIOC委員を務めている関係上、義理でマドリードに投票する委員もいるでしょう﹂
松瀬氏が指摘するように、都市そのものの実力よりも政治的力学が働く投票では、マドリードがトップに立つと見る専門家は少なくない。ただし、これですんなり決まるわけではない。投票で過半数の票を獲得する都市がなければ、決選投票が行われるからだ。
スポーツ評論家の玉木正之氏も、
﹁おそらく1回目の投票では過半数の票を獲得する都市が出ず、上位2都市による決選投票が行われるでしょう。つまり、2回目の投票を見越しての説得が重要になってくるのです﹂
と分析する。
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