乗り物
2017年1月にアメリカ大統領に就任する予定のドナルド・トランプ氏は2016年12月6日、老朽化が進んでいるアメリカ大統領専用機﹁エアフォースワン﹂の次世代型機の製造費用が高すぎるとして﹁注文をキャンセルする!﹂という怒りのツイートを行いました。4500億円にもなるその金額は確かに非常に高いものですが、そこにはやはりアメリカ大統領とそのスタッフ、そしてマスコミなどの同行者をいかなる状況でも安全に輸送するための装備や機材が用いられています。
Trump’s Boeing beef ignores the high costs of building a plane that can withstand a nuclear blast - The Verge
http://www.theverge.com/2016/12/6/13857444/trump-tweet-air-force-one-boeing-nuclear-blast
Donald Trump: Here's Why Air Force One Should Cost $4 Billion | WIRED
https://www.wired.com/2016/12/mr-trump-heres-really-want-spend-4-billion-air-force-one/
2016年時点で使用されているアメリカ大統領専用機﹁VC-25﹂は、ボーイング製のジャンボ機﹁747-200B﹂をもとに改良が加えられた機体で、1990年に就役して以来26年以上にわたって使用されてきました。設計上の耐用年数は30年といわれており、2020年には寿命を迎える計算です。
ByKentaro IEMOTO
ちなみに、﹁エアフォースワン﹂はアメリカ軍が運航する飛行機に大統領が搭乗しているときにのみ使われるコールサインで、必ずしも﹁VC-25=エアフォースワン﹂というわけではありません。そのため、大統領が乗っている飛行機が空軍機であればどんな機体でも﹁エアフォースワン﹂と呼ばれることになり、同様にアメリカ海軍機の場合は﹁ネイビーワン﹂、海兵隊機の場合は﹁マリーンワン﹂と呼ばれます。また、現在はほとんど例がありませんが、陸軍機の場合は﹁アーミーワン﹂、民間機の場合は﹁エグゼクティブワン﹂と呼ばれます。
VC-25を管理・運航しているアメリカ空軍ではVC-25に替わる次期大統領専用機の計画を進めており、同じくボーイング製の最新型ジャンボ機﹁747-8﹂をベースに新型機を建造する計画が立てられています。そして、この計画に待ったをかけたのがトランプ氏というわけです。2016年12月5日のツイートでトランプ氏は﹁ボーイングは新しい747エアフォースワンを次期大統領のために建造する予定だが、その費用が制御不能になっており、40億ドル(約4500億円)にもなっている。注文をキャンセルする!﹂と計画をちゃぶ台返しするツイートを行っています。
なぜ大統領専用航空機﹁エアフォースワン﹂には想像を絶するコストがかかるのか?
![](https://i.gzn.jp/img/2016/12/07/airforce-one/00_m.jpg)
![](https://i.gzn.jp/img/2016/12/07/airforce-one/4102558656_20978bb415_z.jpg)
Boeing is building a brand new 747 Air Force One for future presidents, but costs are out of control, more than $4 billion. Cancel order!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) 2016年12月6日
ツイートの真意を記者に問われたトランプ氏はさらに「あの飛行機は完全に制御を失っている。エアフォースワン計画の予算は40億ドルを超えようとしている。そして私はそれがおかしいと考えている。ボーイングは数字の操作をしているんじゃないのかとも思う。ボーイングには大きな売上を手にしてほしいと思っているが、この金額ほどではない」と語っています。
確かに、ボーイング747-8型機のカタログ価格は1機あたり3億5700万ドル(約400億円)と言われていることから、﹁たった2機﹂の大統領専用機のために4500億円もの費用が発生するというのは﹁論外﹂と捉えられるのも当然のことと理解することはできます。しかし、当然ながら大統領専用機には通常の民間機とは比べものにならないぐらいの装備が加えられているのも事実です。 まず挙げられるのが、核攻撃の際にも被害を最小限に食い止めるための防御装備。核爆弾が爆発した際に生じる放射線や強い電磁波を遮るための防護壁を追加し、乗員の安全や電子機器類の信頼性を高めるための措置が講じられています。また、実際に﹁911同時多発テロ﹂の際にも行われたように、有事の際に大統領がエアフォースワンから指令を行う﹁指揮発令所﹂としての役割を持たせるために、通常の民間機では考えられないほどの通信設備や装備品が搭載されています。必要な電気系統は複数のバックアップが搭載され、軍レベルのGPSシステムが搭載されています。
![](https://i.gzn.jp/img/2016/12/07/airforce-one/8619859549_479e3995ba_z.jpg)
![](https://i.gzn.jp/img/2016/12/07/airforce-one/8122240856_eb44348932_z.jpg)
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