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コンバージョン=収益の発生
コンバージョンを計測する上で絶対に犯してはいけない間違った考え方です。
そもそもコンバージョンとは変換や転換を意味し、ある状態から違う状態へと変化することを指します。つまり、収益の発生は単純に収益ゼロの状態からのコンバージョンであり、﹁コンバージョン=収益の発生﹂という考え方ではユーザー行動の全体像を見失う恐れがあるのです。
そこで商品やサービスの成長促進に特化したグロースハッカーは、ユーザー行動の変化をより詳細に分割し、コンバージョンのトラッキングを行います。その分割方法の中心にあるのが﹁AARRR﹂という考え方なのです。
AARRRを使ってコンバージョンを追う意味
AARRRは、ユーザー行動の変化を大きく5つに分けた非常にシンプルな考え方です︵AARRRはそれぞれのステップの頭文字を組み合わせた頭字語です︶。
AARRRを使ってコンバージョンを追うことで、
●・収益の発生や新規ユーザー獲得ばかりに目が行く名ばかりの﹁データ解析﹂から卒業できる
●・商品開発やマーケティングの課題が明確になる
●・サービスや商品がどのフェーズにあるかが共通認識として明確になり、組織として戦略が立案・実践しやすくなる
などといった利点が存在します。
以下では、グロースハッカーが実践するAARRR5つのステップを例と共にご紹介致します。
Acquisition(ユーザー獲得)
AARRR最初のAは、Acquisition︵アクイジション=ユーザー獲得︶を指します。
単にユーザー獲得と言っても更なる細分化が可能であり、例えば以下のように初回訪問を分けることが可能です。
●・初回訪問
ウェブサイト、ランディングページ、外部ブログなどへの初回訪問をトラッキングします。
●・非離脱
2ページ以上のページを閲覧、10秒以上の滞在、2回以上のクリックなど、条件付きで初回訪問をトラッキングします。
Activation(利用開始)
アクイジションと異なり、訪問ユーザーのより積極的な行動に焦点を当てたステップがActivation︵アクティベーション=利用開始︶です。
例えば、以下のような行動がアクティベーションの例に挙げられます。
●・非離脱(より厳しい条件で)
5ページ以上のページを閲覧、1秒以上の滞在、4回以上のクリックなど、アクイジションよりもより厳しい条件で離脱率をトラッキングします。
●・サインアップ
メルマガ、ブログ購読、ソフトウェアの無料インストール、RSS購読など、ユーザーのリピートに繋がる行動をトラッキングします。
●・アカウント作成
ユーザーが自身の情報を入力し、アカウントを作成した割合をトラッキングします。
Retention(継続)
初回訪問及びアクティベーション以降、ユーザーがサービスを継続的に利用したか否かを計測するのがRetention(リテンション=継続)です。
リテンションはリピート︵再訪問︶と同義語として捉えられがちですが、以下のように細分化することが可能です。
●・再訪問
1ヶ月以内にX回サービスを利用したかをトラッキングします。
●・メルマガのCTR
メルマガが開封されたか、RSSが閲覧されたかなど、必ずしも再訪には至っていないがユーザーの関心が継続して存在するかをトラッキングします。
Referral(紹介)
コンテンツを気に入った既存ユーザーが新規ユーザーを同コンテンツに紹介・誘導することをReferral(リファラル=紹介)と呼びます。
ソーシャルメディアの活用が当たり前になった昨今、重要性を増している指標であり、同じ紹介でも以下の様な考え方で細分化が可能です。
●・紹介されたユーザーの行動
紹介されたユーザーは訪問のみで終わったのか、アクティベーションに至ったのかなどをトラッキングします。
●・紹介に使われたメディア
紹介に使われたメディアがフェイスブックなのか、ツイッターなのか、ギフトカードなのかなどをトラッキングします。
Revenue(収益の発生)
恐らく多くのベンダーが最重要︵そして唯一の︶コンバージョン単位として扱ってきたのがRevenue︵レベニュー=収益の発生︶です。
コンバージョンレート︵CVR︶のみにとらわれず、例えば以下のように多角的に収益を分析することを心がけましょう。
●・金額にかかわらず収益の発生に至った割合
ユーザーが支払った金額にかかわらず、収益の発生に至った割合をトラッキングします。
●・単位あたりの損益分岐点売上高を上回った割合
単なる収益の発生ではなくかかったコストを上回る収益の発生のみをトラッキングします。
●・売れ筋商品
各商品を総購入数、総購入金額、総利益などの観点から順位付けし、売れ筋商品を見極めます。長期的なトラッキングにより、季節性などを詳細に分析することが可能です。
●・購入商品の組み合わせ
商品ごとに収益のみに目を向けるのではなく、1回の購入で購入された商品の組み合わせやあるユーザーが一定期間に購入した商品の組み合わせをトラッキングします。単一では魅力が伝わらなかった商品も、効果的なバンドル販売によって1+1が3にも4にもなる可能性を秘めているのです。
最後に
●・収益の発生はコンバージョン単位の1つに過ぎず、ユーザー行動には様々なコンバージョンが存在することを理解しましょう。
●・グロースハッカーに倣って、AARRRを使ったコンバージョンの見方を心がけましょう。
●・AARRRはユーザー行動を5つのステップに分けた頭字語であり、ユーザー行動をAcquisition(ユーザー獲得)、Activation(利用開始)、Retention(継続)、Referral(紹介) 、Revenue(収益の発生)に分けた考え方です。
●・AARRRを使うメリット
●①収益の発生や新規ユーザー獲得ばかりに目が行く名ばかりの﹁データ解析﹂から卒業できる
●②商品開発やマーケティングの課題が明確になる
●③サービスや商品がどのフェーズにあるかが共通認識として明確になり、組織として戦略が立案・実践しやすくなる