震災以降、原発関連のニュースばっかり積極的に読んでいる。
●プルトニウムが再び検出された
●20キロ圏内は立ち入り禁止
●一日150兆ベクレル漏れている
●一番危険な4号機、そのプールは余震や水圧に耐えられないかもしれない
これはほんの一例。日本の絶望の未来を意味するニュースが毎日毎日流れてきて、気分が落ち込んでくる。でもごくたまに酷すぎて笑ってしまうニュースがあったりするので、俺が笑ってしまった原発ニュースベスト5を紹介します。
第5位 燃料棒の溶融を今さら認める
このニュースの見出しを読んだときは吹き出してしまった。燃料棒が溶融しているなんてみんな知ってるよ!
燃料棒の溶融、保安院が初めて認める 内閣府に報告︵朝日新聞 4月18日︶
福島第一原発1~3号機の原子炉内にある燃料棒は一部が溶けて形が崩れている、との見解を経済産業省原子力安全・保安院が示した。18日に開かれた内閣府の原子力安全委員会に初めて報告した。
保安院が燃料棒の溶融を認めたのはなんと4月18日。保安院の﹁現実を認めない﹂方針は酷いものがあるが、ここまでくると﹁現実がわかってない﹂のでは?と疑ってしまう。しかし保安院よりも酷い組織があるのだ………。
第4位 それでも燃料棒は溶融していない
その組織とはもちろん東電。東電が溶融を認めたのは保安院よりもさらに遅れて4月20日。しかも2号機と3号機についてはまだ認めていない。
︻放射能漏れ︼東電、1号機の燃料溶融の可能性認める ﹁炉心がドロドロに溶けた状態﹂ – MSN産経ニュース
福島第1原発事故で、東京電力の松本純一原子力・立地本部長代理は、1号機の燃料溶融について﹁炉心の状態が確認できないが、決して溶融していないと断定して申し上げているわけではない﹂と燃料溶融の可能性を認めた。20日の記者会見で話した。
﹁決して溶融していないと断定して申し上げているわけではない﹂という表現に笑ってしまった。政治家の答弁よりも複雑な表現だ。どんなにデータがある事象でも、不都合なことは絶対に認めようとしない東電の姿勢には見上げたものがある。圧力容器や格納容器が壊れていることを認めようとえせずに、﹁健全性が保たれている状態﹂﹁穴が開いているイメージ﹂とかずっと言い張ってたしね。
第3位 ベストを尽くした
無計画停電と計画入院と揶揄された東電の清水正孝社長だけど、4月13日に復帰して記者会見を行った。最悪の公害企業となってしまった反省が語られると思いきや…﹁ベストを尽くした﹂を連発したのであった。わはは、さすが東電の社長である。
東京電力社長﹁ベストを尽くした﹂強気の記者会見 – 法と経済のジャーナル Asahi Judiciary – WEBマガジン – 朝日新聞社︵Astand︶
東電の初動の意思決定の遅れを指摘されて↓
これは私の不在時でも適切に連携をとりながら進めてきておりましたので、ベストを尽くした対応をしてきたというふうに考えております。
ベストを尽くして爆発?とツッコミを受けたので、ベストで反論した↓
全力でベストを尽くしてきたと認識いたしております。
東京電力の落ち度について聞かれて↓
それが私どものオペレーション上のミスうんぬんという点については、私どもはこれまでもベストを尽くしてきて、また、現在もベストを尽くしつつある、このように考えております。
﹁3号機爆発を防ぐ﹂と発表しながら、実際は何もしていなかったことをつっこまれて↓
一つひとつの事象に対する対応はそのときどきのベストを尽くしてきていると申し上げておりますし
取締役としての原発事故の責任について↓
これまでの実際に対応してきた個々の手立て、これは私どもとしては、ベストを尽くしてきたと、このように考えております。
スポーツ選手じゃあるまいし、なんだこのやり取り。でも俺も仕事ミスったときは、この手でいこう。
第2位 福島第一原発の被ばくはノーカウント
世界が注目する福島第一原発の作業員たち。ところが彼らの待遇があまりにも酷いことは有名だ。最近だと時給1900円︵しかも実働時間のみで拘束時間は払われない︶の作業員が週刊誌で話題になった。
そして何よりも心配なのは彼らの被ばく線量。健康被害はもちろんのこと雇用問題もある。100ミリシーベルト以上被ばくすると5年間は放射線業務ができない、つまり原発での仕事ができなくなる。原発作業員にとっては失業どころでは済まない問題だ。しかし彼らを救う想定外な手段があった!
福島第1原発‥作業員の被ばく線量 管理手帳に記載せず – 毎日jp(毎日新聞)
一方、作業員の被ばく線量を一括管理する財団法人・放射線影響協会の放射線従事者中央登録センターは﹁250ミリシーベルト浴びた労働者に通常規則を当てはめてしまうと、相当年数、就業の機会を奪うことになる。全く別扱いで管理する﹂と説明。
︵中略︶
復旧作業にあたる2次下請け会社の男性作業員︵30︶は3月下旬、現場で元請け会社の社員から﹁今回浴びた線量は手帳に載らない﹂と説明された。﹁250ミリシーベルト浴びて、新潟県の東電柏崎刈羽原発で働くことになっても250ミリシーベルトは免除される﹂と言われたという。
被ばくノーカンという発想も酷いが、これが普通に報道されているという現状も狂っている。そして﹁250ミリシーベルトは免除される﹂この一文を読んで笑い出してしまった俺も狂っている。免除されるってなんだよ。
作業員の現状の悪さは本当に酷い。週刊誌の報道によると、下請け作業員たちは東電側から﹁福島第一原発の被ばくとガンの関係性は証明できない﹂と説明を受けているとのこと。国難に立ち向かう彼らがそんなこと言われているんだから、数年後に被ばく者への健康被害でも東電が同じ説明で逃げるのはもう目に見えている。
第1位 ガスボンベが爆発
世界が震撼した2011年3月12日の福島第一原発一号機の爆発。ところが東電の説明は﹁建屋から煙が出ている﹂﹁ガスボンベが爆発した可能性﹂だった!この記事を読んだときは﹁ワハハ!﹂と声をあげて笑ってしまったよ。
検証・大震災‥原発事故2日間︵6︶初動遅れ連鎖 現実直視できず – 毎日jp(毎日新聞)
与野党党首会談を終えた菅首相は執務室に戻ったが、東電からも保安院からも情報は入っておらず、問い合わせにも東電は﹁建屋から煙が出ている﹂というだけだった。首相は﹁なぜ官邸にすぐに報告できない。こんなことをしていたら東電はつぶれる﹂と、東電から派遣された幹部を怒鳴りつけた。幹部は﹁タービン建屋に保管しているガスボンベが爆発した可能性もあります﹂と説明したが、テレビ映像を見た首相には、小さなトラブルには思えなかった。
全世界が大きなトラブルだと思ったよ!東電と保安院のグダグダな初期対応と情報隠しに菅首相はカンカンに激怒して、いわゆる﹁東電を恫喝﹂して問題になったわけだが、そりゃまあ怒るよなぁとしか言えない。
ガスボンベが爆発して煙が出る動画はこちらで見れます。
特別賞 ﹁爆破弁﹂を使ってガス抜きしました
3月11日~20日のニュースを今見ると、能天気な報道もあって笑ってしまう。中でも凄いのは﹁爆破弁﹂だ。画像は︻2ch︼ニュー速クオリティ:福島原子炉 1号から爆発音のものを使わせてもらった。
テレビ局が原発の爆発を流しながら﹁あくまでも爆破弁を使ってガスを抜くような作業です﹂と解説している。動画はここで見れる。俺は最近この動画を知ったので大笑いしながら見たけど、リアルタイムで見てたら笑わなかった。なお﹁爆破弁﹂を主張した有冨教授は内閣官房参与になりました。
国が嘘を言い、企業が嘘を言い、メディアが嘘を言っている。それでも俺は彼らの発信するニュースを聞いて生活している。原発が爆発しても﹃マッド・マックス﹄や﹃北斗の拳﹄みたいな世紀末の時代は来なかった。国民が電気のために管理される﹃マトリックス﹄のような状態が明らかになっただけかも?
最後にお約束の一言を。これは笑いごとじゃないんだよ!
追加特別賞 大きな音とともに白煙が発生
色んな人から﹁他にも笑えるニュースあるよ!﹂って意見を頂きますが、@kmaebashiさんから教わった﹁東電用語﹂情報で笑ったのでご紹介します。この画像は福島第一原発三号機の爆発。
福島第一原発の三号機爆発の動画はこちら。かなりショッキングな映像だし、茫然とするキャスターの顔が印象的。でもこれが東電用語になると……
︻PDFファイル︼福島第一原子力発電所プラント状況等のお知らせ︵4月25日 午後3時00分現在︶
3月14日午前11時1分頃、1号機同様大きな音とともに白煙が発生したことから、水素爆発を起こした可能性が考えられます。。
ぶわははは!﹁白煙が発生﹂ってそういう問題じゃないだろ。色も黒じゃねーか。しかもこの﹁白煙が発生﹂が過去の話じゃなくて、現在の東電の認識というのが酷い。今後ネットで犯罪予告したい人は東電用語を使うといいよ。爆発騒ぎは﹁お前の会社で白煙が発生するぜ﹂で、毒物混入は﹁スーパーの食品に直ちに健康に影響が無いもの入れといたぜ﹂って言うの。
ちなみに1号機の内容はもっと酷くて
3月12日午後3時36分頃、直下型の大きな揺れが発生し、1号機付近で大きな音があり白煙が発生しました。水素爆発を起こした可能性が考えられます。
ってあるんだけど、その時間帯に地震なんて無かった。15時40分に地震あったけど震度1だった。じゃあその直下型の大きな揺れって何なの?どうしても地震のせいにしたいのだろうか?
Tags: 原発, 時事ネタ, 東日本大震災
This entry was posted on 月曜日, 4月 25th, 2011 at 12:05 AM and is filed under ネタ文章. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.
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