「見出しだけで善悪を判断する」人が多い。まとめサイトやブログのエントリはもちろん、週刊誌や新聞記事だって見出しで人を釣る。だから釣られる人がたくさん出る。ある程度はしょうがないし、俺も釣られることがある問題だから気をつけている。
万引き家族に釣られる人々
万引き家族への批判意見
まるで赤狩り
他にも右寄りの人たちが﹁万引き家族なんて日本の恥!﹂と批判しているツイートがたくさんある。﹃万引き家族﹄に関するツイートで一番リツイート数が多いのはこれだ。
— 高須克弥 (@katsuyatakasu) 2018年6月1日
自分の国の問題点と向きあうと恥って何だよ!貧困と犯罪なんてあらゆる映画がテーマにしていることなのに!
﹁韓国の貧困問題を描いた映画、韓国国内でバッシング﹂
って見出しの記事があったら、あなた達はどういう反応するのか。
俺は
﹁まるで赤狩りじゃん*2!これだから右寄りってダメだなー﹂
と思っていた。ところが今は逆に左寄りの意見に失望している。
日本人の「万引き家族」を日本人が賞賛することこそ世界の恥ではないかな?
沈黙するのが国家の品格だよ。 https://t.co/CBZ3Ty24uF
右も左も
誘拐された被害者が誘拐加害者のストーカーと仲良くなる﹃幸色のワンルーム﹄の実写化が発表されると、朝日新聞の記者が激怒したのを初めとして﹁犯罪を正当化するな!﹂と怒りだす人が出てきた︵俺も明日ママで怒ったことあるけど︶。
togetter.com
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当然ながら彼らは
﹁じゃあ﹃万引き家族﹄はどうなるんだよ﹂
と反論されているわけだけど、それに対するツッコミで
﹁万引きと誘拐は違う﹂
というのがいくつかあった。でもこれも的外れなんだよね。
俺は﹃幸色のワンルーム﹄の漫画読んでいるけどあまり好きじゃないし、社会問題をえぐる﹃万引き家族﹄と、誘拐ラブストーリーの﹃幸色のワンルーム﹄は次元の違う作品だと思っている。でもこの2つは共通要素があるし、同じようなシーンが複数ある。
ここから﹃万引き家族﹄の軽めなネタバレです。予告編でもバレているけど。
﹃万引き家族﹄は映画が始まると、リリー・フランキー演じる主人公が虐待されている女児を誘拐することで救う。その女児は万引きを仕込まれることによって自分の家族を手に入れて幸せになっていく。自分の家族の元に帰ろうとしない。朝日新聞の記者は﹃幸色のワンルーム﹄の放映に対して
﹁女児を狙った犯罪は絶対悪だ﹂
と書いている。その主張は同意できるけど、今週の朝日新聞の映画欄には
﹁映画﹃万引き家族﹄も絶対悪﹂
とでも載るのだろうか。
﹃万引き家族﹄は万引きだけじゃなくてJKビジネスや不正受給を描いた映画だ。そもそも是枝監督が映画のモデルにしたのは、2010年の不正受給事件。それ以外にも万引きどころじゃない犯罪がゾロゾロ出てくる。﹃万引き家族﹄というタイトルに釣られた人が語る印象と実際の映画にはかなり差がある。
ちなみにJKビジネスのシーンなんて、売り手の少女も客の男性も癒やされるシーンとして描かれている。映画が公開されたら
﹁この映画はJKビジネスを正当化している!﹂
という批判意見が出るのかな?