Re:visionとアウトプット思考法
情報管理LOGの@yoshinonです。
倉下忠憲氏とTak.氏が共著で書いた「Re:vision: タスクリストとアウトライン」を興味深く読ませていただきました。この本を読んで、名前のない行為にラベリングすることって大事だなと思うと同時にアウトプット思考法との共通点を見出したので、そのあたりを書いていきたいと思います。
【 Re:visionとアウトプット思考法 】 1.Re:visionとは何か? 2.アウトプット思考法との共通点 3.「Re:vision的」=「アウトプット思考法的」な思考 |
1.Re:visionとは何か?
まずは、﹁Re:vision: タスクリストとアウトライン﹂という著作について。 これは、ライフハック界隈でも超有名な倉下忠憲氏とアウトライナーを日本において圧倒的に知らしめたTak.氏の共著です。
共著といってもかなり特異な形態をとっており、noteでお互いに「タスクリストとアウトライン」について、交代で書いていったモノをまとめたのが、こちらの書籍になります。
『Re:vision』(仮)|倉下忠憲|note
1つのテーマを交代で往復書簡的に書いた本というのは多いのですが、これは往復書簡的なものとは言いがたく、お互いに書いたモノに影響を与えながら、自分が思う﹁タスクリストとアウトライン﹂について書いていきます︵倉下氏が、タスクリストについて。Tak.氏がアウトラインについて主に書いている︶。そのため、同じようなことを書いてある場合もあるし、必ずしも互いのテーマが完全にクロスすることもありません。しかし、後半に向けて徐々にこの本におけるテーマである﹁Re:vision﹂という思考に至っていくのは面白いなと思うのです。互いの考えていることを付き合わせていくと、﹁これって﹃Re:vision﹄という考え方につながるんじゃない?﹂的な感じに収束していくのです。
この微妙に整理されていないような、時系列やお互いの書いていることの内容の違いが、後半のRe:visionに収束していく様は、ちょっと面白い構成だと思うのです。
このあたりは、ゆうびんや氏のポッドキャストで詳しく語られているので、ぜひ聴いてみてください。
さて、その﹁Re:vision﹂ですが、これは一体どういう考え方かというと倉下氏が、定義しています。
﹁まずビジョンを立て、実行・実践を経てそこから生まれる新しいイメージを次なるビジョンに置き換えていく行為です。これを Re: vision︵リビジョン︶と呼ぶことにしましょう。﹂ —﹃Re:vision: タスクリストとアウトライン﹄倉下忠憲, Tak.著 https://a.co/g3I77JW
﹁Re: visionはそのような所作に対するアンチテーゼです。計画という理想を重視するあまり、無視されている実践現場の声を復権しようとする試みなのです。﹂ —﹃Re:vision: タスクリストとアウトライン﹄倉下忠憲, Tak.著 https://a.co/6vtpnVF
そして、要点として以下のようにまとめています。
・先に立てた計画を絶対視しない。かといってそれを捨てることもしない ・理想と現実を、排他的に捉えることをやめる ・自分で選ぶこと︵そのための選択肢を作ること︶ —﹃Re:vision: タスクリストとアウトライン﹄倉下忠憲, Tak.著 https://a.co/4h3I2C5
2.アウトプット思考法との共通点
さて、情報管理LOGでは「アウトプット思考法」という考え方を提唱しています。
これに関しては、拙著「書き出す・見直す「アウトプット思考」を通じてGTDを実践するiPad手帳術: 文章を書き、考える人のための「iPad」活用術 情報整理大全」でも詳しく解説していますので、読んでいただけると理解しやすいと思います(アンリミ対象なのでサクッと読めます)。
480円
さて、情報管理LOGが提唱する﹁アウトプット思考法﹂は、どういう考え方かというと、こういう図に集約されます。
これを説明すると、この5つの考え方からなります。
<アウトプット思考法の考え方> ・まず、﹁考え﹂や﹁気になること﹂、﹁やるべきこと﹂などを書き出こと ・ツールは問わないが、先人達が良いといっている方法をなるべく採用する ・必ず見直す ・熟成期間をつくる ・書き足し、書き直し、削除は自由
アウトプット思考法は、上の図で見ると分かるとおりSTEP1とSTEP2という2つのフェーズで成り立っています。
STEP1では、とにかく書き出すことを至上の命題にしています。その際に放り込む先は、信頼するツールであれば何でも良いです。あなたが、書き出すときに信頼が置けると思っているならば、そこにまずは書き出すことと推奨しています。
STEP1と2の間には、﹁熟成期間﹂がおかれます。これによって、STEP1で書かれたものが客体化されていきます。
そしてSTEP2では、それらを見直しし、追加や修正、削除などを行っていきます。
で、さらに大事なのは、そのSTEP2で見直されたものは、STEP1に還っていくのです。つまり、STEP1で書き出されたことは、STEP2で変化し、そしてSTEP1に還ることでSTEP1の内容は常に変化し続けていくのです。
ここまで読んだ皆さんは、﹁アレ?これって﹃Re:vision﹄で提唱していることと同じなんじゃない?﹂と思うかもしれません。そうなんですよね。究極的に同じことを違う角度と違う手法で述べているに過ぎません。図らずしも同じ結論に達しているのが面白いなと思いました。
つまり、﹁Re:vision﹂で提唱されていることと、情報管理LOGの﹁アウトプット思考法﹂は、同じ景色を別の角度から描いているに過ぎません。ただし、全く同じというわけではなく、わずかながら微妙なニュアンスの差を感じました。それは、あくまで﹁アウトプット思考法﹂は、非常にシステマティックに人間の思考を捉えて、不確実性のある思考をより確かなものにしていくための構造自体を論じています。それに対して﹁Re:vision﹂は、今まで名前のなかった行為や現象を論じています。 そういう違いはあれど、ほぼ同じことを言っているのは確かです。
たぶん、私たちの多くは、最初に打ち立てた目標、計画、目的、文章、タスクなどなどを普遍で達成すべき確実なモノと捉えがちです。確かにその方が確実に進むし、物事は分かりやすいです。だからこそ、世の中のビジネス書の多くは、手を替え品を替え同じメッセージを送り続けています。それは、確かに一定の成果を生むことは間違いありません。 しかし、それと同時に無数の﹁成果を上げられなかった﹂声なき亡骸の山がその下に積み上がっているはずなんですね。身に覚えありますよね?︵私はある︶
しかし、実際の世界は、そこまで単純じゃないし、上手くいかない現実や当初の通りにならないことを受け入れつつも前に進んでいくことの方が、より重要ではないかと思うのです。
それを、別角度から論じたのが、この2冊ではないかと思ったということです。
そこで、﹁Re:vision: タスクリストとアウトライン﹂をオススメしたい人は、こんな方々です。
・計画や目標、タスクが上手くいかず苦しい ・アウトライナーにおけるシェイクの概念を知りたい ・どのように軌道修正すれば良いか知りたい
対して﹁書き出す・見直す﹁アウトプット思考﹂を通じてGTDを実践するiPad手帳術: 文章を書き、考える人のための﹁iPad﹂活用術 情報整理大全﹂をオススメしたい人は、こんな方々です。
・アウトプットをどのように処理すれば良いか分からない ・目的や目標、タスクが上手くいかない仕組みを知りたい
個人的には、どちらを先に読んでも良いかと思います。 読み終わったときに、﹁同じこと言ってるじゃん!﹂という感覚を味わっていただければありがたいです。ちなみに拙著は、後半はデジタル手帳について書いているので、興味のない人は読み飛ばしていただいて構わないかと。
情報管理LOGの眼 同じ景色を見ている
﹁書き出す・見直す﹁アウトプット思考﹂を通じてGTDを実践するiPad手帳術: 文章を書き、考える人のための﹁iPad﹂活用術 情報整理大全﹂が、2021年12月3日に発刊。そして、﹁Re:vision: タスクリストとアウトライン﹂が2022年1月7日とほぼ同時期に出ているのも面白いなと思いました。﹁Re:vision﹂の原稿自体は、noteで連載していたので、本当に同じ時期に同じものを書いていたことになりそうです。 こういう同時性というのは、割と往々にして起こるものですが、きっと同じ問題意識を抱えているからなんでしょうね。
5280円
- 関連記事
-
- 「アウトプット思考法ver2.0」を、ただ今思考中
- Re:visionとアウトプット思考法
- アウトプット量を増やすためには、どうすれば良い?