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コンサドーレの野々村芳和社長が目指す『100億円クラブ』の真意とは?
南アW杯出場32カ国を歴訪する﹃世界一蹴の旅﹄を完遂し、サポーター界隈で一躍有名になった村上アシシ氏。その後もテレビやラジオなどのメディア出演や書籍の執筆活動など精力的に情報発信の活動を行っている。ここ数年は出身地である北海道コンサドーレ札幌のサポーターとしても熱心に活動しており、Jリーグをもっと盛り上がるために提言を続けている。今回、J論ではアシシ氏のサポーター視点、経営コンサルタント視点で日本サッカー界を盛り上げる方法を探る対談企画をスタート。第一回は斬新な企画を次々に立ち上げ、Jリーグに新風を吹き込んでいる北海道コンサドーレ札幌・野々村芳和社長。野々村氏が語るコンサドーレの未来やクラブ哲学について、2回に分けてお送りする︵取材日‥2016年5月9日︶
▼野々村社長が描く放映権ビジネスの将来性
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▼Jリーグの価値をアジアでいかに高めていくか?
アシシ‥ベトナムの至宝と言われたレ・コン・ビン選手が札幌に在籍していた時に、シーズン終盤でしたけれどもベトナム国内でも放映しましたよね。あれは非常に面白い試みだったなと。今在籍しているインドネシアのイルファン選手では、東南アジアでの放映は難しいですか? 野々村‥まだできていない、というかできない。FIFAの制裁がインドネシアにはあるから︵編集部注‥その後5月18日に制裁解除が発表された︶。 アシシ‥なるほど。レ・コン・ビンの契約更新ができなかったのは、やはりクラブとしては痛手でしたか? 野々村‥僕らにとってというよりは、日本のサッカーにとってもしかしたら痛かったかもしれない。東南アジアで放送をして、しかも地元の英雄が試合に出られる状況ってあんまりないから。でも、そういうトライをコンサドーレが1回しているのはアドバンテージだと思っている。 アシシ‥水戸ホーリーホックに今季、﹃ベトナムのメッシ﹄と言われるグエン・コンフォンという選手が加入したのも話題になっています。 野々村‥水戸がベトナム人選手をどう活かしていくかわからないけど、札幌や北海道の場合、インバウンドでベトナム人観光客を北海道に呼べるというバックグラウンドをしっかり持っているところがいい。 アシシ‥確かに。僕も中国に8年前にコンサルの仕事で住んでいたんですが、上海のデパートで北海道展をやると、それはまあ凄い客の入りなんですよ。中国語で北海道は﹁ベイハイダオ﹂って言うんですけど、北海道を舞台にした映画が大ヒットしたおかげで、今や中国での北海道のブランド力は凄まじいものがあります。中国の爆買いも含めて、コンサドーレがアジアと北海道の懸け橋になればいいですよね。インターネットで公開している2015-2017年の中期経営計画でも﹃パイプ役﹄という表現を使って、コンサドーレはアジア戦略を打ち出しています。 野々村‥あとはどうブレイクするか。アジアにおける放映権の話とか、選手獲得のタイミングとかがうまくいかないと難しい。Jリーグの価値を東南アジアでもっと向上させていかないとね。 アシシ‥今年、セレッソ大阪とそのスポンサーのヤンマー、それにタイの提携クラブとシンハービール、計4社がたすき掛けのような形で提携して、それぞれのスポンサーが日本市場、タイ市場に進出するための足掛かりになるような仕組みを作っています。 野々村‥あそこはヤンマーの力が大きいよね。トラクターを東南アジアに売りたいという。 アシシ‥北海道でもインバウンドが欲しい企業、東南アジアに進出したい企業、それぞれあると思います。その潜在需要に対してコンサドーレが懸け橋になれればいいですよね。 野々村‥それはなれる、なる準備はもうできているから。あとはサッカーにそのような力があるというのを知らない人が多いので、そういう部分でもっとアピールしていければいいかなと。 ▼クラブ名に﹃北海道﹄を新たに加えた理由![jron20160502.jpg](http://j-ron.jp/images/jron20160502.jpg)
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▼Jリーグラボの司会は露出面の効果も大きい?
アシシ‥コンサドーレは20年コアな人たちに愛されて、今やローカル地上波でも生中継されて、露出に関してはJ2では屈指のクラブだと思います。日本サッカー界のレジェンド、小野伸二選手と稲本潤一選手がいますしね。サッカーで勝負するのは当然として、それとは別にこのブランド力を活用して、エゾデンでサポーターに電力を買ってもらうなどの、さらなる事業の多角化は考えていますか? 野々村‥イメージとして、コンサドーレが幼稚園やお年寄りの福祉施設を作る、みたいなのは昔からやりたいと思っている。 アシシ‥Jリーグのアドバイザーに就任したホリエモン︵堀江貴文︶も同じようなことを言ってましたよね。自分がクラブ経営するならば、一緒に学校も作るって。 野々村‥そうそう、そういうこと。スタジアムとかグラウンドにそういう施設を入れて、朝は子供たちが来て、お年寄りが子供たちを見て、そこにグラウンドがあるみたいなのは面白そうだなとは思う。お金の問題もあるけど、やれることはたぶんたくさんあるんじゃないかな。 アシシ‥それがやれてないのは、単純に人の問題、つまりやれる人材がいないのが課題なのですか? 野々村‥人が足りないのもあるしお金の問題もある。コンサドーレがもっと20年間安定経営をしていたなら、きっとこういう提案に対して銀行は融資しますみたいな話ができるだろうけど、今は正直難しい。 アシシ‥北海道と札幌市にまだ借金がけっこう残っているという話は聞いたことがあります。 野々村‥両方ある。自分たちで何か新しいことをするってのはなかなかしんどいので、今季から提携した博報堂が上手く手助けしてくれれば嬉しい。 アシシ‥Jリーグのクラブが、広告代理店と長期で億単位のパートナーシップ契約を結んだのは、史上初ですよね。博報堂との提携や電力事業への参入、東南アジアでの中継など、コンサドーレは新しいことにチャレンジするパイオニアとして、Jリーグのクラブの中でも異彩を放っている印象があります。 野々村‥そうやって見られるのはありがたいし、そうでありたいよね。 アシシ‥Jリーグのクラブの中でもコンサドーレが目立つ要因として、他のクラブのサポーターによく言われるのは、なんでスカパー!のJリーグラボの司会は……。 野々村‥僕なんだと︵笑︶。元々メディアの人だからね僕は。それはしょうがないよね。 アシシ‥月に1回、番組の冒頭で﹃今コンサドーレは何位で……﹄とクラブの近況話ができるじゃないですか。あれはクラブの宣伝としてもデカいですよね。 野々村‥そうね。でもあれはしょうがない。昔からやっていて、スカパー!に世話になっているから辞めるわけにはいかない。▼まさかコンサドーレはブラック企業!?
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村上アシシ
1977年札幌生まれ。職業は経営コンサルタント・著述家。外資系コンサルティング企業・アクセンチュアを2006年に退職し、個人コンサルタントとして独立して以降、『半年仕事・半年旅人』のライフスタイルを継続中。南アW杯出場32カ国を歴訪した世界一蹴の旅を2010年に完遂。Jリーグでは北海道コンサドーレ札幌のサポーター兼個人スポンサー。
ウェブサイト:http://atsushi2010.com/
ツイッター:https://twitter.com/4JPN
近著:海外旅行のノウハウ本『ロジ旅』