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{{No footnotes|date=2016-11-30}}
{{Portal box|クラシック音楽|舞台芸術}}
{{External media
|topic=オテロ(全曲)
|audio1=[https://www.youtube.com/watch?v=lhIBCV5zMfk&list=OLAK5uy_ndpaJZHiHbyCfNE5NIKnCDVyp3CzEUkqc&index=1 Verdi: Otello(プレイリスト)] - [[:en:Believe Digita|Believe SAS]]提供のYouTubeアートトラック<br />[[マリオ・デル・モナコ]](オテロ)、[[レナータ・テバルディ]](デズデーモナ)、[[アルド・プロッティ]](イヤーゴ)、ネッロ・ロマナート(Nello Romanato、カッシオ)、[[トム・クラウゼ]](モンターノ)、{{仮リンク|アナ・ラケル・サトレ|en|Ana Raquel Satre}}(エミーリア)他<br />[[ヘルベルト・フォン・カラヤン]]指揮[[ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団]]・[[ウィーン国立歌劇場]]合唱団}}
﹃'''オテロ'''﹄ (''Otello'') は、[[ジュゼッペ・ヴェルディ]]が作曲した全4幕からなる[[オペラ]]である。[[1887年]]、[[ミラノ]]・[[スカラ座]]で初演された。﹃'''オテッロ'''﹄とも表記される。 * 原語曲名:''Otello''
* 原作:[[ウィリアム・シェイクスピア]]の悲劇『[[オセロ
* 台本:[[アッリーゴ・ボーイト]]
== 作曲の経緯 ==
[[1871年]]に﹃[[アイーダ]]﹄の初演をみてから、ヴェルディは[[1874年]]に文豪[[アレッサンドロ・マンゾーニ|マンゾーニ]]を追悼する﹃[[レクイエム (ヴェルディ)|レクイエム]]﹄を完成させたのみで、活動が停滞していた。理由については、老化にともなう作曲意欲の停滞、楽譜出版社[[リコルディ]]社との契約トラブルなどが考えられているが、新作が万が一にでも不成功に終わることがあれば晩節を汚す、とヴェルディが題材選択にこれまで以上に慎重になっていた面も大きかったのだろう。 しかし、リコルディ社総帥[[リコルディ#ジュ もっともヴェルディは相変わらず腰が重く、作曲作業に取り掛かる気配がなかったため、ジューリオ・リコルディはまず、[[1857年]]初演の﹃[[シモン・ボッカネグラ]]﹄の改訂をヴェルディ、ボーイトの共同で行うことを提案した。[[1881年]]に改訂初演されたこのオペラの成功で、ヴェルディもようやく作曲に対する情熱の再燃と、ボーイトに対する全面的な信頼を得たらしく、その後この両者は5年以上にわたる頻繁な意見交換を行いながら、オペラの完成をみたのだった。ヴェルディのボーイト宛の書簡によれば、ヴェルディの脱稿は[[1886年]]12月18日である。 == 舞台構成 ==
* 全4幕。
* 演奏時間:約2時間20分
* 初演:[[1887年]][[2月5日]]、[[ミラノ]]・[[スカラ座]]にて
== 編成 ==
=== 主な登場人物 ===
* オテロ
* イヤーゴ
* カッシオ
* ロデリーゴ
* ロドヴィーコ
* モンターノ
* デズデーモナ
* エミーリア
* 合唱
=== 楽器編成 ===
[[フルート]]3(第3奏者[[ピッコロ]]持ち替え)、[[オーボエ]]2、[[コーラングレ]]、[[クラリネット]]2、[[バスクラリネット|バス・クラリネット]]、[[ファゴット]]4、[[ホルン]]4、[[コルネット]]2、[[トランペット]]2、[[トロンボーン]]3、[[バストロンボーン|コントラバス・トロンボーン]]([[チンバッソ
; 舞台のバルコニー
: [[マンドリン]]、[[ギター]]、[[バグパイプ]]、[[タンブリン]]
; 舞台裏
: トランペット6、トロンボーン4、[[サンダーマシーン]]、[[オルガン]]、大砲
『[[ドン・カルロ]]』と同じく[[エクトル・ベルリオーズ|ベルリオーズ]]のフランス風の[[管弦楽法]]の影響が強い。
==
時は15世紀末、場所はキプロス島の港町。
=== 第1幕 ===
キプロスの港、激しい嵐。島の住民が待ちわびる中、オテロに率いられた船団が帰還する。敵、トルコ艦隊は海の藻屑になったとの勝利報告に住民は歓喜する。カッシオが副官になったことを妬むヤーゴは一計を案じ、酒に弱いカッシオにワインを無理強いする。カッシオは悪酔いし醜態を演じたばかりか、喧嘩の仲裁に入ったモンターノを傷付ける。騒ぎを聞いたオテロが戻ってくる。彼は即座にカッシオを罷免、群衆に帰宅を命ずる。舞台にはオテロと妻デズデーモナだけが残り、愛情を確かめ合う美しい二重唱が歌われる。 === 第
=== 第3幕 ===
城の大広間。デズデモーナは事態の進展に気付かず、またもやカッシオの赦免をオテロに願い出て斥けられる。オテロは﹁自分が贈ったハンカチはどこへ行った?﹂と詰問する。もちろん彼女は答えられず、当惑しながら去る。ヤーゴが﹁今カッシオと話をするので物陰で見るように﹂とオテロに勧める。巧みなヤーゴの話術に乗ったカッシオは、自分の恋人ビアンカとの顛末を陽気に語るが、遠くで聞いているオテロは、デズデモーナとの恋物語をしていると思い込む。例のハンカチはヤーゴがあらかじめカッシオ宅に落としておいたのだが、そうとは知らないカッシオは﹁ところでこんな素晴らしいハンカチを拾った﹂などとヤーゴに披露、遠目に見ているオテロは、いよいよ不貞が証明された、と確信してしまう。オテロとヤーゴは相談の末、デズデモーナはオテロが殺めること、カッシオの始末はヤーゴが付けることを決定する。 ヴェネツィアからの使者ロドヴィーコとその一行が来航し、キプロス島の要人が集合する。オテロはヴェネツィアへ帰任となり、後任の総督はカッシオとなることが布告される。嫉妬心に燃えるオテロは公衆の面前で妻デズデモーナを面罵し、自分は憤怒のあまり気絶する。 === 第4幕 ===
デズデーモナの寝室。デズデモーナは床に就く用意をしている。ここ数日の夫の言動から不吉な予感を覚える彼女は﹁もし死んだら婚礼の衣装で身を包んでほしい﹂と、女中エミーリアに依頼する。オテロが寝室に現れ、カッシオとの姦通を詰責する。デズデモーナは抗弁も空しくオテロに絞殺される。エミーリアが﹁カッシオがロデリーゴを殺した﹂と急を告げに戻ってくるが、デズデモーナが殺されているのを発見、驚いて人々を呼ぶ。エミーリアは﹁夫ヤーゴが私からハンカチを奪った﹂と証言、ロデリーゴが死ぬ前に陰謀の全てを白状した、との事実も明らかになる。形勢不利とみたヤーゴは遁走する。いまや全てを悟ったオテロは短刀で自刃し、妻の遺体に最後の接吻を求めつつ息絶えて、幕。 == 備考 ==
* 登場人物中、ヴェルディが最初に惹かれたのは悪役ヤーゴであった。1882年頃までは、作曲中のこのオペラを彼はしばしば﹃ヤーゴ﹄''Jago''と称している。彼が﹃オテロ﹄と呼ぶことに消極的だったもう1つの理由として、[[ジョアキーノ・ロッシーニ|ロッシーニ]]が既に[[オテロ (ロッシーニ)|同名の作品]]を発表していた︵[[1816年]]︶こともある。ヴェルディはロッシーニをオペラ作曲の大先輩として深く敬愛していた。 * 1887年2月5日、[[ミラノ]]・スカラ座での初演はヨーロッパ音楽界を挙げての一大イヴェント化した観があった。観客の中には、イタリアの作曲家[[フランチェスコ・パオロ・トスティ]]、[[ウィーン]]の著名な音楽評論家[[エドゥアルト・ハンスリック]]などの姿もあった。 * 初演指揮者は、このオペラ制作に﹁チョコレート計画﹂の当初から関与したフランコ・ファッチ {{External media
|topic=『オテロ』序曲<br />(通常の上演では使用されない)
|audio1=[https://www.youtube.com/watch?v=UQGTG6cii84 Verdi: Otello, Preludio]<br />[[リッカルド・シャイー]]指揮[[ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団]]の演奏、[[ユニバーサル ミュージック グループ|Universal Music]]提供のYouTubeアートトラック。}}
* オテロ役は傑出したアリアこそないものの、テノール・ドラマティコにとって最大の難役の一つとされる。「オテロ歌い」として著名な歌手には[[ジョヴァンニ・マルティネッリ]]、[[レナート・ザネッリ]]、[[ラモン・ヴィナイ]]、[[マリオ・デル=モナコ]]、[[ジョン・ヴィッカーズ]]そして[[プラシード・ドミンゴ]]が挙げられる。
* ヤーゴ役も、性格俳優的要素の強い難役とされる。[[ティッタ・ルッフォ]]、[[ティート・ゴッビ]]などが代表的なヤーゴ歌手である。
* 1887年の時点で、本作には﹃[[序曲]]﹄が既に書かれていたが、初演時を含め実際の上演で使用されることはなかった。[[リッカルド・シャイー]]の指揮による録音が存在する<ref>"[https://www.discogs.com/release/13762363-Verdi-Jean-Yves-Thibaudet-Orchestra-Sinfonica-Di-Milano-Giuseppe-Verdi-Riccardo-Chailly-Verdi-Discov Verdi Discoveries]", [[デッカ・レコード|Decca]] B0001090-02, 2003.</ref>。 * 日本初演は、1953年10月30日 - 11月3日、日比谷で、二期会、指揮グルリット、東響、柴田睦陸・伊藤亘行らであった。
== 映画 ==
{{Infobox Film
| 作品名 = オテロ
| 原題 = Otello
| 画像 =
| 画像サイズ =
| 画像解説 =
| 監督 = [[フランコ・ゼフィレッリ]]
| 脚本 = フランコ・ゼフィレッリ
| 原作 = [[ウィリアム・シェイクスピア]]<br />[[ジュゼッペ・ヴェルディ]]
| 製作 = [[メナヘム・ゴーラン]]
| 製作総指揮 = [[ヨーラム・グローバス]]<br />ジョン・トンプソン
| 出演者 = [[プラシド・ドミンゴ]]
| 音楽 = ジュゼッペ・ヴェルディ
| 撮影 = エンニオ・グァルニエリ
| 編集 = ピーター・テイラー
| 製作会社 = [[キャノン・グループ|キャノン・フィルムズ]]
| 配給 =
| 公開 = {{flagicon|USA}} [[1986年]][[9月12日]]<br />{{flagicon|ITA}} 1986年[[10月21日]]<br />{{flagicon|JPN}} [[1988年]][[9月3日]]
| 上映時間 = 122分
| 製作国 = {{ITA}}<br />{{NED}}<br />{{USA}}
| 言語 = [[イタリア語]]
| 製作費 =
| 興行収入 =
| 前作 =
| 次作 =
}}
[[1987年の映画|1987年]]に[[フランコ・ゼフィレッリ]]監督、[[プラシド・ドミンゴ]]主演で映画化された(''[[:it:Otello (film 1986)|Otello]]'')。
第58回[[ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞 外国語映画賞]]受賞(1987年)<ref>[https://web.archive.org/web/20100813153548/http://www.nbrmp.org/awards/past.cfm?year=1986 National Board of Review of Motion Pictures :: Awards for 1986]</ref>。
;キャスト
*オテロ:[[プラシド・ドミンゴ]]
*デズデーモナ:カティア・リッチャレッリ
*イヤーゴ:フスティーノ・ディアス
*エミーリア:ペトラ・マラコヴァ
*カッシオ:[[ウルバノ・バルベリーニ]]
*ロドヴィーコ:マッシモ・フォッシ
*モンターノ:エドウィン・フランシス
*ロデリーゴ:セルジオ・ニコライ
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist}}
== 参考文献 ==
* Julian Budden, "The Operas of Verdi (Volume 3)", Cassell, (ISBN 0-3043-1060-3)
* Marcello Conati & Mario Medici (Ed.), William Weaver (Tr.), "The Verdi-Boito Correspondence", University of Chicago Press (ISBN 0-2268-5304-7)
* 永竹由幸「ヴェルディのオペラ――全作品の魅力を探る」 音楽之友社 (ISBN 4-2762-1046-1)
* 福尾芳昭「二百年の師弟――ヴェルディとシェイクスピア」 音楽之友社 (ISBN 4-2762-1561-7)
== 外部リンク ==
* {{IMSLP|cname=オテロ|work=Otello_(Verdi,_Giuseppe)}}
* {{Allcinema title|3671|オテロ}}
* {{Kinejun title|1394|オテロ}}
* {{Amg movie|36706|Otello}}
* {{IMDb title|0091699|Otello}}
{{ヴェルディのオペラ}}
{{Normdaten}}
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|1-8=フランコ・ゼフィレッリの監督映画
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