概要
ゲームシステム
悪夢と現実を行き来する。アドベンチャーパートの現実世界と、アクションパートの悪夢の中に分かれている。
アドベンチャーパート
主に、現実世界にあるヴィンセント行きつけのバー﹃ストレイ・シープ﹄で行われる。
店内では友人たちや店にいる客と会話や飲酒を楽しんだり、携帯電話を使用してメールやセーブ、ゲームの難易度変更などをすることができる。店内では特定の行動を取るたびにゲーム内時間が経過していき、客の顔ぶれや会話の内容が変化したりするのが特徴。また、店内での行動や客との会話、やり取りしたメールの内容によって、その後のゲーム展開が変化することもある。
また、店内に設置されているゲーム筐体では﹃ラプンツェル﹄と呼ばれる同名の童話を元にしたミニゲームをプレイすることも可能。本編のアクションパートと違って、ゲームクリアに必須というわけではないが非常に豊富なステージが用意されているため、こちらの攻略に挑戦して﹁ラプンツェル﹂内のストーリーを楽しむのも遊び方の1つであるといえる。
帰宅時間が来て友人たちとともに店を後にしたり、店のドアから﹁帰宅﹂を選択することで後述する﹃アクションパート﹄に移行する。
アクションパート
ヴィンセントの﹁悪夢﹂の中で行われる。
足元から床が崩れていく中、ひたすら階段を上って行く。階段は普通に用意されていることもあれば、自分で﹁箱﹂を押したり引っ張ったりしないと上の段に上れないこともあるため、アクションゲームだけでなくパズルゲーム的な要素も含まれている。また、各階層の最後にはボスキャラクターが待ち構えており、ヴィンセントを追いかけるだけでなく様々な特殊攻撃を仕掛けてくる。ステージ最上段にある﹁扉﹂もしくは﹁レバー﹂に到達することができればゴールとなるが、足場から落下したり怪物の攻撃を受けたりしてしまうと、死=ゲームオーバーとなる。死んだ際、GAME OVERではなくLOVE IS OVER︵愛は終わりました。︶と表示される。
アクションパートのヴィンセント(=プレイヤー)と箱の移動ルールは以下の通り
●ヴィンセントは通常1段の段差しか登ることはできない。アイテムを使わない限り、2段まとめて飛び越えることは不可能。
●箱は上下左右隣り合った辺が接触していればその場所に留まり続ける。
●ヴィンセントの足元に足場となる箱がある場合に限り、箱を押したり引いたり出来る。
●操作によりに上下左右どこにも接触していない場合、箱がその場に維持できなくなり、一定時間揺れた後、下に落下する。
●落下途中で箱同士の辺が接触した場合箱同士がくっつく。
●揺れているモーション中はヴィンセントが上に乗ったり、移動したり、ことも出来る。
●ヴィンセントは足元に足場がない場合、箱の縁(辺)につかまって移動することが出来る。
踊り場
ステージとステージの中間に存在する安全地帯。記帳台でセーブが可能なほか、ここではほかの﹁羊﹂たちとの会話が可能で、中にはゲームを攻略する上でのヒントになる技の研究をしている者や、ステージ中に落ちているお金と交換でアイテムを売ってくれる者もいる。
また、踊り場の奥には先に進むための﹁告解の部屋﹂が設置されており、謎の人物が出す質問に答えることで上階へ進むことができるようになっている。質問は毎回ランダムで決定され、質問に答えると謎メーターに変化があり、クリア後のエンディングに影響するようになっている。なお、各ネットワーク︵オンラインプレイ︶を利用できる環境であれば、このときの回答がネットを通じて匿名で送信され、他のプレイヤーの回答も加えた集計結果をグラフで見ることができる。
アイテム
ステージ中ところどころに落ちており、入手することでヴィンセントに有利な効果をもたらす。コインと枕を除いて一度に所持できるアイテムは1つのみで、後から他のアイテムを入手すると後から入手したものが優先され、先に手に入れたものは無くなる。なお、落ちているアイテムは先に敵キャラに取られると消滅してしまうが、敵がアイテムを使用してくることはない。
コイン
お金。入手することでスコアに加算されるほか、踊り場ではスコアを減点することで他のアイテムと交換してもらうこともできる。
枕
悪夢の中でヴィンセントが常に持ち歩いている枕。いわゆる1UPアイテムで、入手するとヴィンセントの残機︵リトライ可能回数︶が増える。
聖書
赤い表紙の本。使用するとページを破って空に放ち、荒れ狂う稲妻が周囲に居る敵キャラクターを殲滅する。
白い石 / 黒い石
目の前︵1マス先︶に石を出現させる。この石は通常の石と同じく足場にすることが可能。
白い石は制限や特殊効果のない普通の石を、黒い石は動かすことのできない石を出現させる。
ドリンク
使うと一定時間赤いオーラが全身を包む。効果中はジャンプ力が強化され、通常1段ずつしか登れない石を、2段〜3段抜かして登ることができる。
鐘
金色の鐘︵ハンドベル︶。使用すると周囲の石を全て普通の白い石に変えることができる。
難易度について
Easy、Normality、Hardの難しさに挑戦することができる。この3つの難易度に関してはゲーム中、随時変更することが可能となっている。
Easyのアクションパート︵悪夢の中︶でのみSELECTボタンを押すと、石を動かす1つ前まで巻き戻すことができる。最大で10手前まで巻き戻せるので、根気があればゲームが苦手なプレイヤーでもクリアが楽になる。ただし、10手前以上は巻き戻すことは出来ない。
NormalityとHardではSELECTボタンを押しても1手前に巻き戻すことができないほか、Easyよりも石の配置がより複雑になっているため、攻略が手詰まりになりやすくなっている。
また、これらの難易度に加え、各種ネットワークを利用したオンラインアップデートを行うことで、イージーモードにお助けアイテムを登場させる﹁スーパーイージー機能﹂を追加することができる[19]。
バベル
Normality以上の難易度で一定条件を満たすと挑戦することができる。全4ステージ。
基本的に本編のアクションパートと同様のルールだが、ステージごとに定められた段数に到達するとゴールが落ちてくるので、それに触れることでクリアとなる。各面固定配置のアクションパートと異なり、ブロックがある程度ランダムに落ちてくるため、アクション要素が強い。
2P同時プレイが可能で、その場合はゴールまでの段数が少なくなる。
ラプンツェル
バーに置いてあるゲーム。全64面。
一度クリアするまでコンティニュー回数が決まっているが、クリア後はフリープレイで挑戦できる。
アクションパートと異なり時間制限がなく、純粋なパズルになっている。条件を満たした状態でクリアすると、裏面に挑戦することが可能になる。
コロシアム
一度クリアした後に挑戦することができる対戦モード。
2人のプレイヤーのうち、どちらが早くゴールに到達できるか、もしくは相手を落下させることができるかを競う。2本先取した方が勝利となる。
ストーリー
32歳のヴィンセント・ブルックスは、5年来の恋人・キャサリン(Katherine)との関係に頭を悩ませていた。結婚願望があることを仄めかすキャサリンに対し、今はまだ気楽な独身生活を楽しみたいヴィンセントは、彼女にこれといった答えを出すことができず途方に暮れる。その最中、行きつけのバー『ストレイ・シープ』で深酒をあおっていたヴィンセントは、ひょんなことから恋人と同じ名前を持つ謎の美女・キャサリン(Catherine)と出会い、彼女に誘われるまま一夜を共にしてしまう。「酒の勢いとはいえ浮気をしてしまった」と焦るヴィンセントだったが、それ以来ヴィンセントは最近町で噂されている奇妙な悪夢にうなされる日々を送ることとなる。
「落ちる夢を見たとき、すぐに目を覚まさないとそのまま死ぬ」
夢を見るのは女性関係に問題を抱える若い男性だけであり、それを裏付けるかのようにベッドの上で衰弱死した男たちの死体が次々と発見されていく。悪夢の正体は、浮気癖のある男を恨んだ魔女の呪いだとも噂されるが…。
登場キャラクター
メインキャラクター
ヴィンセント・ブルックス︵Vincent Brooks︶
声 - 山寺宏一
本作の主人公。アフロのような黒髪が特徴のサラリーマン。32歳。真面目で優しい性格だが、優柔不断な男性。エリカ曰く﹁どこか抜けていて、完璧な女性ほどほっとけない存在﹂。
キャサリン︵Katherine︶とは恋人関係かつ、彼女から結婚を迫られているが、結婚生活や将来の自分に不安を抱いており、あまり乗り気ではない。現実では突如現れたもう一人のキャサリン︵Catherine︶に振り回され、悪夢の中では枕片手にパンツ一丁でステージを駆け回る。
少年時代は活発的な性格をした周囲のリーダー的な存在で彼に憧れる者も多く、女子からの人気も高かったとされている。再就職したばかりで所得はあまり高くなく、お金が全く貯まらないことに悩んでいる節がある。
キャサリン・マクブライド︵Katherine Mcbride︶
声 - 三石琴乃
ヴィンセントの恋人。薄茶色の長い髪と眼鏡が特徴的な女性。32歳。中堅アパレルメーカー﹁バンタムスーツ﹂に勤めている。
ヴィンセントとは高校時代の同級生で、5年前の同窓会をきっかけに交際を開始した。真面目に結婚を考えているが、彼の煮え切らない態度に不満を覚えている。
気配り上手でしっかり者だが、お金に厳しく時に口うるさくヴィンセントに注意することもあるものの、彼への想いは本物。典型的なキャリアウーマンだが、思考は乙女である。
キャサリン︵Catherine︶
声 - 沢城みゆき
金髪で両側にカールさせたショートヘアに少女のような顔立ちと抜群のスタイルを持つ。22歳。小悪魔で謎めいた美女。
ある時、バー﹁ストレイ・シープ﹂で出会ったヴィンセントに好意を抱き、彼を誘惑。ヴィンセントと一晩を共にした後も、夜な夜な彼のもとを訪れる。寝ているヴィンセントを尻目に勝手に部屋に入り込み、寝ていることが多い。
性格は気紛れで奔放。一度怒ると手が付けられないほど暴れるが、好きになった相手には一途。また、ヴィンセントに自身を撮ったセクシーな画像を添付したメールを送ってくることもある。セクシーな画像は人目があると一瞬しか見られないのでトイレの個室でならこっそりと見ることができる。
リン︵Rin︶
声 - 平野綾
﹃キャサリン・フルボディ﹄から登場する新キャラクター。ピンク色の髪と水色のセーラー服を着ている謎の少女。
サブキャラクター
オーランド・ハディック︵Orlando Haddick︶
声 - 平田広明
ヴィンセントの旧友。﹁ストレイ・シープ﹂の常連客。金髪で赤いチェックの帽子を被っている。32歳。システムエンジニア。
自由奔放な性格で、流浪者のような人生観を持つ。離婚経験のあるバツイチで、﹁結婚は人生の墓場﹂と豪語する等、結婚には懐疑的な思考を持つが、強がりな一面もある。
自身の勤務先にヴィンセントが再就職してきたため、普段から彼と共に行動することが多い。
ジョニー・アリガ︵Jonathan Ariga︶
声 - 子安武人
ヴィンセントやオーランドたちとは旧知の仲。32歳。父親が経営している中古車販売店に勤めている。
﹁結婚は運命の相手とする﹂と決めている黒髪のクールな理想主義者。今の恋人には結婚するつもりがないことをすでに話している。本人いわく、浮気はしていないらしい。
エリカ・アンダーソン︵Erica Anderson︶
声 - 皆川純子
バー﹁ストレイ・シープ﹂で働くウェイトレスでヴィンセントの幼馴染。赤髪のショートヘア。32歳。
店の看板娘で、他の客からの人気も高い。町の噂に詳しく会話に割って入ってくる。トビーに惚れられている。
トビー・ネビンス︵Tobias Nebbins︶
声 - 谷山紀章
ジョニーの職場の同僚。無邪気で軽薄な言動が目立つ金髪の好青年。23歳。青いツナギを着ている。
今どきな性格で、﹁結婚は相手が居ればすぐにでもしたい﹂と考えている夢見がち。年上女性が好みで、エリカに好意を抱いている。彼女と付き合いたいために中古車を買った模様である。
マスター︵Master︶ / トーマス・マトン︵Thomas Mutton︶
声 - 若本規夫
ヴィンセントが毎夜訪れるバー﹁ストレイ・シープ﹂のマスター。年齢不詳。本名は﹁トーマス・マトン﹂。多くの修羅場を経験してきた模様。渋く独特なクセのある口調で、店に来た客の相談に乗っている。エリカ曰く、自身の大きなサングラスは過去に別れた女からの復讐を恐れてつけているものらしく、人前では取ったことがない。エリカによると﹁セクハラ癖が酷い﹂。
ジャスティン・ベイリー︵Justin Bailey︶
声 - ふくまつ進紗
バーの常連。37歳。新聞記者をしており﹁これ、ホントです﹂が口癖。町の噂に興味を持ち、調査をしている。
トッド・ボズマン︵Tod Bozeman︶
声 - 浜田賢二
バーの常連。45歳。キャサリン︵Katherine︶と同じく﹁バンタムスーツ﹂に勤めている男性。革ジャンに大きなリーゼントがトレードマーク。﹁本部長﹂を自称する気さくな人物で、人当たりもよい。警察官のモーガンとは旧知の仲。既婚者。オヤジギャグを連発しながら﹁男は成り上がるだけでは半人前、女をはべらせてこそ一人前﹂を自論に、男のあり方について説教してくる。
アーチー・ウォレス︵Archvald Wallace︶
声 - 新垣樽助
バーの常連で、トッドの部下。28歳。長髪にスーツ姿が特徴の優男で、何事にも無気力な性格。女性にはモテるらしいが実際は女嫌いで、女性を見下す発言を口にする。
ダニエル・キルシュ︵Daniel Kirsch︶
声 - 伊丸岡篤
バーの常連。32歳。コンツェルンの跡取り。女性のアンナ・ローズメント︵声 - 前田真里︶を連れてバーにやってくる。ヴィンセントとは小学校時代の同級生で、何かにつけて一方的にライバル視してくる。
モーガン・コルテス︵Morgan Cortez︶
声 - 楠見尚己
バーの常連の警察官。42歳。制服姿でビールをあおる不良警官だが、世間をにぎわせている衰弱死事件についての情報をヴィンセントに与えてくれることもある。本来は数年前に起きた別の未解決事件の捜査を担当しており、今もなお当時の犯人を追っている。
リンゼイ・ウスペンスキー︵Lindsay Uspenski︶ / マーサ・ウスペンスキー︵Martha Uspenski︶
声 - 世戸さおり︵リンゼイ︶ / 氷上恭子︵マーサ︶
バーの常連の占い師[20]。大柄で太った体型をした双子の老婦人で、外見から話し方まで何から何まで瓜二つ。二人とも20年前からモーガンに恋をしている。
バーの常連客たちについて詳しく、一緒に酒を飲んでいるとヴィンセントに彼らの過去を教えてくれる。また、ときには意味深な言葉をヴィンセントに投げかけてくることもある。
スティーヴ・デルホム︵Steve Delhom︶
声 - てらそままさき
﹁キャサリン︵Catherine︶の恋人﹂を名乗る謎の人物。42歳。ヴィンセントがキャサリン︵Catherine︶をもてあそんだと信じ込み﹁キャサリン︵Catherine︶と別れないと殺す﹂と脅迫電話をかけてくる。
ミッドナイト・ヴィーナス︵Midnight Venus︶ / 石田☆ルウ︵いしだ ルウ / Rue Ishida︶
声 - 皆川純子
ゴールデンプレイシアター / ゴールデン遊戯劇場の案内役。年齢不詳。スタイルが良く巨大なアフロヘアがトレードマーク。
ゴールデンプレイシアターでの名前は﹁ミッドナイト・ヴィーナス﹂で、ゴールデン遊戯劇場での名前は﹁石田☆ルウ﹂となっている。
アスタロト︵Astaroth︶[21]
声 - 皆川純子
踊り場の﹁告解の部屋﹂で質問をしてくる人物。正体は謎。現実世界にも関与しており、ストレイ・シープのトイレの鏡を調べた後に次回で登る塔の名前を教えてくれる。
その他のキャラクター
- ナレーション
- 声 - show[22]
- 本編中に時折出現して、ステージや技の解説などを行う羊。
- 公式サイトでも羊のアイコンをクリックすることで、彼のコメントを聞くことができる。
小説版
キャサリン
富士見ドラゴンブックより発売。ISBN 978-4-8291-4623-1 著:川上亮 本文挿絵:片桐いくみ 表紙: 副島成記(キャラクターデザイン)
基本的にはヴィンセントを主人公とし、ゲーム本編のシナリオに沿って話が展開されていくが、ジョニーやオーランド、スティーヴなどの視点から物語を描いた小説版独自の内容も存在する。また、物語の結末もゲーム版のどのエンディングとも異なるもの(厳密には特定のエンディングを組み合わせたもの)になっている。
キャサリン 〜ラプンツェル奇譚〜
一迅社DMC NOVELSより発売。 ISBN 978-4-7580-4239-0 著:柄本和昭 本文挿絵:田上俊介
原作の設定や世界観を元に独自の展開を描いたオリジナル小説。ストーリーとしては本編から数ヶ月前の出来事で、本作のオリジナルキャラクターを中心に話が展開されていく番外編︵前日談︶的な内容。
なお、本作における設定やストーリーはゲーム本編に直接関わるものではなく、アトラスからの公式見解を示すものではないことが冒頭で挙げられている[23]。
関連項目
●ラプンツェル - ゲーム内に登場するアーケードゲーム。同名の童話をモチーフにしている。
●ペルソナ3ポータブル - 開発時期が重なっており、製作スタッフが同じため、同作にヴィンセントによく似た男が﹁一人で飲んでいる男﹂として出演している。別人である証拠として、目尻にヴィンセントにはないホクロがある[24]。
●ゴールデン洋画劇場 - OPムービーの一部は﹃ゴールデン遊戯劇場﹄と題されており、この番組のOPをリスペクトした内容になっている。
●VoiceText - ペンタックスの音声合成ソフトウェア、﹁モヤモヤさまぁ〜ず2﹂で使用され、一躍有名になった。本作でも使用されている。
脚注
外部リンク