「コククジラ」の版間の差分
削除された内容 追加された内容
m →天敵 |
m →個体数 |
||
141行目:
1975年の[[ワシントン条約]]の発効時から、ワシントン条約附属書Iに掲載されている<ref name="species+" />。[[北太平洋]]では[[北米大陸]]側の個体群に関してはその後の捕鯨禁止が功を奏し、直近の絶滅の懸念が無くなる程に回復してきているが、後述の通り生息環境の悪化によって大量死が複数回発生している。また、東アジア沿岸の個体群は一時は[[絶滅]]したと判断される程に減少が著しく、現在の残存数はわずか100-150頭と危機的な状況にある<ref>水口博也, 2013年,﹃クジラ&イルカ生態ビジュアル図鑑﹄, 148頁, 株式会社誠文堂新光社</ref>。数値統計上、アジア系個体群は実質的に[[日本]]の捕鯨業によって壊滅した{{efn|[[朝鮮半島]]、[[大亜湾]]などの中国の大陸部の各地、[[台湾]]など様々な地区に[[日本]]の捕鯨基地を林立し、東アジアの沿岸の[[ザトウクジラ]]やアジア系の[[シロナガスクジラ]]や[[ナガスクジラ]]、[[セミクジラ]]など数多くの[[ヒゲクジラ類]]も[[日本]]由来の商業捕鯨によって大打撃を受けた<ref name=MM /><ref name=GrayJapan />。}}。沿岸の開発の影響も受けやすく、アジア系個体群にとっては[[樺太|サハリン]]北部で行われている[[ロシア]]の[[油田]]開発事業﹁[[サハリン2]]﹂による影響がとくに懸念されている。 保護活動の結果、北米大陸側の個体群は一時期は28,000頭前後まで回復したが、人間活動との軋轢によって死亡する個体だけでなく、人類の影響による環境破壊と[[環境収容力]]の低下から小型化したり<ref name=13Smaller />[[餓死]]する個体が増え、[[2023年]]もふくめて何度かの大量死が発生しており、これらの複数回の大量死によって14,000~16,000頭前後まで個体数が激減し、最大で'''50%以上'''が死亡したとされる<ref name=UME>{{Cite web |author=|year=2023|url=https://www.fisheries.noaa.gov/national/marine-life-distress/2019-2023-gray-whale-unusual-mortality-event-along-west-coast-and |title=2019-2023 Gray Whale Unusual Mortality Event along the West Coast and Alaska |work= |publisher=[[アメリカ海洋大気庁]] |doi= |accessdate=2023-11-02}}</ref>。この様な生息環境の悪化による[[北太平洋]]での大量死は[[ザトウクジラ]]にも発生しており、[[2013年]]から[[2021年]]にかけて北太平洋で7,000頭以上のザトウクジラが餓死したと推測されている<ref>{{Cite web|author=Ted Cheeseman et al. |date=2024-02-28|url=https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rsos.231462 |title=Bellwethers of change: population modelling of North Pacific humpback whales from 2002 through 2021 reveals shift from recovery to climate response |website=[[王立協会]] |access-date=2024-03-04}}</ref>。 本種が人類によって減少する以前の生息数には諸説あるが、[[遺伝子座]]などを利用した測定の結果、76,000頭から118,000頭という範囲で推定されており、いずれにしても現在の生息数︵14,000~16,000頭前後︶よりも遥かに多く生息していたことが示唆されている<ref>{{Cite journal|last1= Alter |first1= SE |date=May 2012 |title=Pre-Whaling Genetic Diversity and Population Ecology in Eastern Pacific Gray Whales: Insights from Ancient DNA and Stable Isotopes |journal= PLOS ONE |volume= 7 |issue= 5 |pages= e35039 |last2= Newsome |first2= SD |last3= Palumbi |first3= SR |author-link3= Stephen Palumbi |doi= 10.1371/journal.pone.0035039 |pmid= 22590499 |pmc=3348926|bibcode= 2012PLoSO...735039A |doi-access= free }}</ref>。また、[[環境収容力]]の推定ではさらに多くが生息していた可能性も指摘されており、生息環境のデータが得られた地域に限定しても[[北太平洋]]だけで最大で約173,000頭の生息が可能であり、データが得られなかった[[北太平洋]]の他の地域も合わせればこれ以上になった可能性がある。さらに、この推定には[[北大西洋]]の[[環境収容力]]の推定値は含まれていない<ref name=Pyenson />。 |