「コククジラ」の版間の差分
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かつては[[北半球]]全域に生息していた。沿岸性であり、[[和名]]の由来通り﹁[[クジラ]]﹂としてはさほど巨大でなかったことから、古くから[[捕鯨]]の対象とされてきたが、特に近世になってからは乱獲により急速に個体数が減少させられた。[[大西洋|北大西洋]]の個体群は[[18世紀]]ごろまでに絶滅し、北[[太平洋]]においても激減した。その後の捕鯨禁止が功を奏し、北太平洋のうち北アメリカ沿岸の個体群はかなり回復してきているが、他方、東アジア沿岸の個体群は一時は絶滅と判断されたほどで残存数わずか100<ref>水口博也、﹃クジラ&イルカ生態ビジュアル図鑑﹄株式会社誠文堂新光社、2013年、148頁</ref>-150頭と危機的な状況にある。数値統計上、アジア系個体群は実質的に日本の捕鯨業によって壊滅した<ref group="注">[[朝鮮半島]]、[[大亜湾]]など様々な地区に日本の捕鯨基地を林立し、東アジアの沿岸の[[ザトウクジラ]]やアジア系の[[シロナガスクジラ]]や[[ナガスクジラ]]、[[セミクジラ]]など数多くの[[ヒゲクジラ類]]も日本由来の商業捕鯨によって大打撃を受けた。</ref><ref name=MM /><ref name=GrayJapan />。コククジラは沿岸棲で東アジア︵日本を含む︶の沿岸の開発の影響を受けるのだが、更に現在[[樺太|サハリン]]北部で行われている[[ロシア]]の[[油田]]開発事業﹁[[サハリン2]]﹂によって生存を脅かされている。 1975年の[[ワシントン条約]]の発効時から、ワシントン条約附属書Iに掲載されている<ref name="species+" />。保護活動の結果、北米側の個体群は一時期は2万8千頭前後まで回復したが、人間活動の影響による環境破壊と[[環境収容力]]の低下から餓死する個体が増え、[[2023年]]もふくめて何度かの大量死が発生しており、これらの複数回の大量死によって1万4千~1万6千頭前後まで個体数が激減し、最大で'''50%以上'''が死亡したとされる<ref name=UME>{{Cite web |author=|year=2023|url=https://www.fisheries.noaa.gov/national/marine-life-distress/2019-2023-gray-whale-unusual-mortality-event-along-west-coast-and |title=2019-2023 Gray Whale Unusual Mortality Event along the West Coast and Alaska |work= |publisher=[[アメリカ海洋大気庁]] |doi= |accessdate=2023-11-02}}</ref>。 本種が人類によって減少する以前の生息数には諸説あるが、[[遺伝子座]]などを利用した測定の結果、7万6千頭から11万8千頭という範囲で推定されており、いずれにしても現在の生息数︵1万4千~1万6千頭前後︶よりも遥かに多く生息していたことが示唆されている<ref>{{Cite journal|last1= Alter |first1= SE |date=May 2012 |title=Pre-Whaling Genetic Diversity and Population Ecology in Eastern Pacific Gray Whales: Insights from Ancient DNA and Stable Isotopes |journal= PLOS ONE |volume= 7 |issue= 5 |pages= e35039 |last2= Newsome |first2= SD |last3= Palumbi |first3= SR |author-link3= Stephen Palumbi |doi= 10.1371/journal.pone.0035039 |pmid= 22590499 |pmc=3348926|bibcode= 2012PLoSO...735039A |doi-access= free }}</ref>。また、[[環境収容力]]の推定ではさらに多くが生息していた可能性も指摘されており、生息環境のデータが得られた地域に限定しても[[北太平洋]]だけで最大で約17万3千頭の生息が可能であり、データが得られなかった[[北太平洋]]の他の地域も合わせればこれ以上になった可能性がある。さらに、この推定には[[北大西洋]]の[[環境収容力]]の推定値は含まれていない<ref name=Pyenson />。 |