シャールヴィ
北欧神話に登場するアースガルズの住人(人間)
シャールヴィ[1]︵古ノルド語: Þjálfi︶は、北欧神話に登場するアースガルズの住人︵人間︶。スィアールヴィ[2]、シアルフィ[3]、シアルヴィ[4]、、チアルフ[5]、チャールヴィ[1]、シアールフィ[要出典]とも。なお詩人エイリーヴはシャールヴィ︵チャールヴィ︶を﹁ヴロスカの弟﹂というケニングで呼んでいる[1]。
![](//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/77/Ed0012.jpg/200px-Ed0012.jpg)
﹃古エッダ﹄の、19世紀にスウェーデンで出版された版より。山羊に牽 かれる箱車にトールと共に乗っているのはシャールヴィ、レスクヴァ、ロキであろう。
シャールヴィの実家は農家であった。トールとロキがウートガルズへの遠征の際に彼の家に立ち寄ったときにトールのヤギであるタングリスニとタングニョーストの肉を食べる機会を得る。その際、骨を損傷しないようトールから指示されたにもかかわらず、髄が好物だったため、骨を割って髄を食べてしまい、ヤギの脚に障害を与えてしまう。それがトールの激昂を招くが、父母ともども謝罪する姿を見て彼は怒りを解き、シャールヴィが妹レスクヴァとともにトールの従者としてウートガルズへ赴くことで許した。これ以後、二人はずっとトールに付き従うこととなった。︵﹃スノッリのエッダ﹄第一部﹃ギュルヴィたぶらかし﹄第44章による︶[6]
俊足であるが、ウートガルザ・ロキによってフギ︵ウートガルザ・ロキの思考︶と競走をすることとなり、完敗を喫する。︵﹃ギュルヴィたぶらかし﹄第46章による︶[7]
また、トールがフレーセイという島で女性のベルセルクを斃した折には、鉄棒を振り回して反撃してくる彼女たちに追い払われてしまった。︵﹃古エッダ﹄の﹃ハールバルズルの唄﹄第37-39節による︶[8]
しかしながら、スカルド詩﹃トール讃歌﹄においては、トールとシャールヴィが巨人ゲイルロズの館へ赴く途中、困難を乗り越えて海を渡った勇敢さが語られる。
また、巨人に囲まれても2人が敏速に逃れる様が描写される。
さらに、トールがフルングニルと決闘をした際には、フルングニルに駆け寄って﹁地中からトールが攻めてくるから楯を伏せたほうがいい﹂などと嘘を言い、まんまと彼を無防備にしてしまう。また、霜の巨人たちが応援のため差し向けた巨大な土人形、モックルカールヴィを破壊するなど、活躍ぶりを見せる。︵第二部﹃詩語法﹄による︶[9]
なお、この土人形破壊のエピソードについては次のような推論がある。すなわち、神話はしばしば劇として上演されることがあり、この物語を上演する際にはフルングニルに見立てた土人形をトールに扮した神官が破壊する場面があって、それが神話をまとめる過程でシャールヴィの活躍として神話に入り込んだのではないか、という解釈である[10]。
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/77/Ed0012.jpg/200px-Ed0012.jpg)
脚注
編集参考文献
編集
●谷口幸男﹁スノリ﹃エッダ﹄﹁詩語法﹂訳注﹂﹃広島大学文学部紀要﹄第43巻No.特輯号3、1983年。
●V.G.ネッケル他編﹃エッダ 古代北欧歌謡集﹄新潮社、1973年、ISBN 978-4-10-313701-6。
●山室静﹃北欧の神話 神々と巨人のたたかい﹄筑摩書房、1982年、ISBN 978-4-480-32908-0。